text by Tats(@tats_lovecyclist)
dhbが最も力を入れている素材選び。
“メリノには自信がある”とウェア開発担当者が言うように、素材の中でもメリノは強くPRされています。
メリノは他ブランドでも好んで採用するところがあり、私服のような質感とパフォーマンスを損なわない機能性が僕たちのライドスタイルにとてもマッチすると以前から感じています。
dhbのメリノを試す中で最も強く感じたのが、(言葉を選ばずに言えば)「dhbなのにスタイリッシュ」だということ。
dhbはプロ仕様に進化している、と以前のインタビューで聞きましたが、機能面だけでなくスタイリング面においても、以前のような安価なdhbのイメージが覆されています。今回はその新しい姿の詳細をレビューしていきます。
*本レビューで着用するウェアはWiggle CRC提供のものです。
Contents
1. メリノ長袖ジャージ
Merino Long Sleeve Jersey – ¥9,000 ¥12,000 25%OFF
クラシカルな印象のメリノウールに、モダンなシルエットを与えた「メリノ長袖ジャージ」。
生地はメリノ44%、ポリアミド(ナイロン)33%、ポリプロピレン23%の混紡です。(商品ページにはメリノ35%となっていますが、タグに記載されている数値を正としている)
メリノ比率を高めると汗抜けが悪くなるため、スポーツメリノは化繊と混紡するのが基本。
保温性・抗菌性・着心地が特徴のメリノに、耐久性や速乾性に優れた繊維を混ぜることで、ジャージとして最適な生地に仕立てられています。
抜け感のあるdhbが新しい
このジャージはdhbの印象を大きく変えました。着心地については、天然繊維らしくメリノカーディガンを羽織ったときと同じような柔らかい感覚を味わうことができます。
ここまでは着る前からある程度想像できていましたが、さらに白眉だったのが生地感とシルエットの相性。柔らかくよく伸びるため、体のラインに優しくフィットするシルエットがまず良い。その綺麗なシルエットに、メリノのクラシカルな雰囲気が融合すると、見た目に抜け感が出ます。(ジャージの上に他ブランドのジレを羽織ってコーデしていると「それどこの?」と聞かれるほど)
使い勝手
縫製は品質を判断するときにもっともわかりやすい要素。その点dhbは2年前のジャージと比較すると縫製の仕上がりが改良されていることがわかります。ほつれやずれなど、かつて気になっていた要素はなくなり、高品質のウェアになっています。
インナー+メリノジャージで快適な気温は12〜20℃の間。
肌に密着するので、それより低い気温のときはミドルレイヤーとしても優秀です。ジレを足すことで10〜18℃、ジャケットを足して3〜12℃という使用感。
バックポケットは高さがあり、よく伸びるので多くのものを収納できます。右側には4thポケットまで用意してあるところが細かい。
とはいえ、このジャージの綺麗なシルエットを活かすためにはあまりモノを詰め込まないほうが良いかも。
サイジング
177cm/胸囲86cmでXS着用
サイズガイド通りの選択でフィット感は問題ありません。スタイリング面で気になるところを挙げるとすれば、ほかのブランドと比較すると袖と丈が1〜2cm長めに作られている点。そのため僕が着用すると少し袖が余ります。幅広い体型のサイクリストにマッチするように、少し余裕を持たせて仕立てられているようです。
Highs
- ・肌に馴染む生地
・タイトだが柔らかな着心地
・体のラインに沿う綺麗なシルエット
Lows
- ・少し袖と身丈が長い
2. メリノタイツ
Merino Tights – ¥20,000
dhbのタイツの中でも、プロ仕様の「Aeron Labビブタイツ(¥22,500)」と並ぶ高価格帯の「メリノタイツ」。
ただ2つの性格は全く異なります。コンプレッションが強くパフォーマンスに主眼を置いて作られたAeron Labに対し、メリノタイツはあらゆるライドで快適に過ごせることを考えて作られたようなビブタイツ。
適度なコンプレッションと天然繊維の温度調整によって、ウィンターシーズンを通して着用できるタイツに仕上がっています。
使い勝手
ビブタイツの中では最も汎用性の高い中厚手の生地。裏地は滑らかな肌触りの起毛素材です。
商品詳細には“5℃までの温度で効果的”という説明がありますが、日本のほとんどの地域の冬(0〜10℃)であればこれ1着で対応できます。
肩紐はAeron系と同じ幅広のものが使われているので、肩周りへのストレスはほぼありません。それでいて、パッドがずれないように上方向に伸ばす固定力がしっかりあります。
Aeron系のビブと同じ「Paris HP」というシャモアが採用されています。秋冬は強度を少し下げてロングライドをするのに良いシーズンであることから(厳冬期を除く)、長時間&長距離に対応する仕様。
必要な部分に厚みがあり、肌当たりも滑らかで良いパッドだと感じます。
ひとつ欠点として、(僕の足首が細いせいもありますが)足首周りが大きめに作られているので生地が余ってしまうこと。Aeron Labではこういったことはないので、メリノ系の特性として少しゆとりがある点は留意が必要です。
Highs
- ・適度にタイトな着心地
・フラットな肩紐がストレスフリー
・パッドがしっかりして長距離に対応できる
・丈が丁度良い
Lows
- ・足首まわりが少し大きいため密着しない
dhbのイメージを覆すコレクション
dhbは英国内のマーケットをメインターゲットとして開発されています。そのためシルエットやカラー展開などは英国向きの部分もありますが、あらゆるサイクリストを包括するよう意識してつくられたウェアは、日本マーケットにも広く受け入れられるようになっています。
かつて「安くてそれなりに良いウェア」だったdhbが、「手頃な価格で高品質なウェア」のブランドになったのはここ2年くらいのこと。
まだかつてのイメージを引きずっている感はありますが、Aeron系のパフォーマンスとメリノ系のスタイリングの良さは、一度試したサイクリストにかつてのイメージを覆すような力があります。今後長い目で見ていくと、これらのラインナップは、より強い存在感をマーケットに示していくだろうと感じさせてくれます。
今回レビューしたウェアはこちら
・dhbメリノ長袖ジャージ – ¥9,000 ¥12,000 25%OFF
・dhbメリノタイツ – ¥20,000