NDLSS:サイクリングに想像力を与える、2つのデザイナーコラボキット。

Endless SS22ウェア

スペインのハイブランド『NDLSS(エンドレス)』が春夏シーズンの締めに出したのは、デザイナーコラボレーションキット。
いつものNDLSSの雰囲気から少しだけはみ出したジャージは、遊びとニュアンスが加わって、このブランドが持つ素晴らしい世界観をさらに引き出しています。

サイクリングに造詣が深い2人のデザイナーによる解釈は非常に面白く、ウェアのデザインに興味を持つ人にも刺激になるはず。本コレクションの着心地だけでなく、そのアイデアのプロセスも一緒に見ていきたいと思います。

レビュアー

Tats@tats_lovecyclist
Love Cyclist編集長。ロードバイクを中心としたスポーツバイク業界を、マーケティング視点を絡めながら論じることが好き。海外のアパレルブランドとも幅広い交友関係を持ち、メディアを通じてさまざまなスタイルの提案を行う。
Rin@f430_lisa_
スポーツバイク歴7年。さまざまなコニュニティを通じて仲間と出会い、価値観を共有しながら自身のライドスタイルを確立。昨年はバンクーバーに留学し、現地のコミュニティに入ってライドを楽しむなど、さまざまな視点を絡めながら自転車と向き合っている。

Yukari@hii_road
スポーツバイク歴5年。Ridleyアンバサダー。ロンドン留学中に見た「弱虫ペダル」にはまり、帰国後すぐロードバイクを購入。ヨーロッパ18カ国をバックパックで回ってきた行動力や、仕事として携わってきたファッションへの感性を活かし、自転車に関わる活動を幅広く行っている。女性アスリートを中心に幅広く女性の支援を行う「ANGEL project」のメンバーとしても活動中。

Review/Rin, Yukari, & Tats
Edit & Photo/Tats

*本記事のウェアはNDLSS提供のものです。

1. 2人のデザイナー

僕たちが着るそれぞれのコラボレーションウェアは、2人のデザイナー兼サイクリスト──ロエルMJジャクソンによって手掛けられました。

ロエル・ファン・エーケレン ©NDLSS

「Cranky Club」という気楽でイケてる自転車コミュニティを運営するロエルは、オランダを拠点とするグラフィックデザイナー。

MJジャクソンによるアイデアボード ©NDLSS

MJジャクソンはサイクリングに特化したロンドンのクリエイティブエージェンシー「Conductor」の創業者であり、CANYONやSpecializedなど大手メーカーやメディアをクライアントに持ち、数々のクリエイティブを手掛けています。

これまでのNDLSSのウェアは、自然界にあるものから着想を得て、落ち着いたカラーパレットで構成されるシンプルなものがほとんどでした。そんなNDLSSとコラボするにあたって、2人のデザイナーはライド中に発見したさまざまな事象を解釈して、シンプルな世界に新しい想像力を加えています。

 

2. コラボレーション①MJジャクソン

キャンディー、混沌、そして絶望がテーマ

RDC Jersey – Olive(€115)

Instagramには、イケてるカフェでラテとサンドイッチを摂取する華やかな世界が溢れています。でも実際には、コンビニや自販機でお腹を満たして家路に着くというライドがほとんどなはず。

MJジャクソンが手掛けた2つのジャージは、そんなライドスタイルを受け入れる架空のお店「ロードサイドダイナーズクラブ」がコンセプト。

コラボレーション作品は一般的にデザインの制約を受けるため、デザインに取り掛かる前に、MJジャクソンは自分とサイクリングの関係についてストーリーやテーマを書き留めていきました。背景となるストーリーをしっかりと作り込むことで、アイデアに一貫性を持たせ、アイデアの中に色や柄だけではない“遊び”を持たせることができます。

RDC Jersey – Pink(€115)

実際にデザインに取り掛かるのはずっと後で、ストーリーが固まり、何度もライドする間にアイデアが膨らんで適切なものに変化していきます。それはライドですっかり疲れてしまったとき、遠くにコンビニがちらりと見えた瞬間にインスパイアされました。
コンビニに置かれた、五感を刺激する明るい色のパッケージ。そうした色彩のブロックと商品名を、ジャージの上に表現していきます。

そして、お菓子のパッケージそのままの鮮やかな色ではなく、カラーパレットをNDLSSに揃えていきます。最終的な仕上がりは、MJジャクソンがしたためたストーリーとNDLSSの世界観が見事に調和したもの。

【カラー:PINK】お菓子っぽいパッケージのジャージも、自然とNDLSSの世界に溶け込んでいくデザインの力。ピンク色を元にしながら、落ち着いた色味に昇華させており、非常に格好良い

【カラー:OLIVE】秋っぽく落ち着いたオリーブ色の中に、ポップな文字が入っていて可愛い

このジャージは通常の「AWAY」ジャージに近い仕上がりです。適度なフィットでシルエットも綺麗だし、背面がメッシュ素材なので汗抜けも十分。バックポケットも伸縮性が高く使い勝手が良い。

本コラボではベースレイヤーも展開。胸元には“ロードサイドダイナーズクラブでのお買い物ありがとう”と書かれており、ジャージと一緒に着ることで、MJジャクソンが描くストーリーに僕たちも組み込まれていく

 

3. コラボレーション②ロエル・ファン・エーケレン

ライド中のエレメントが身体に貼り付く

FAST Jersey – Roel Van Eekelen(€140)

多くのロードバイク乗りはスピードを好みます。だから走行中は、周囲の小さなディテールが視界の隅を飛び交うモヤのようになっていく。それは危険に目を向けて車道を安全に走るためでもあるけれど、心の中では瞬間的に車や建物や仲間の挙動など、いくつかの要素が切り取られてスナップのように保存され、あとで鮮明に思い出すことができます。

ロエルは、この“気づき”や“要素”をどのようにキットにするかという実験を行いました。まるでライド中に全速力で体にぶつかってきたエレメントが引っかかってしまったかのように

「サイクリングで頭をスッキリさせることで、新しいことを取り入れたり、自分の中のクリエイティビティを解放する余裕が生まれる」と語るロエル。このコラボレーションのコンセプトも、停滞していたアイデアの中でNDLSSのチームと何度もやりとりしながら、サイクリングを通して道筋を導き出しています。

風車、雨、花、自動車──抽象化された要素とその色使いがとても可愛い

ベースは従来のFASTジャージと同じで、MJジャクソンのコラボジャージよりもレーシーな仕上がり。基本的には薄手でサラサラした生地で、サイドにはメッシュパネルが使用されています。

袖にも滑り止めがついている

 

4. NDLSSサイズガイド

NDLSSのジャージはXXSからXLまで6サイズ展開(すべて男女兼用)。商品ページにサイズガイドがあるので、記載の胸囲に合わせて選択すればOKです。各メンバーの着用サイズも参考にしてください。

↑写真左から
Tats(177cm/60kg):ジャージS、ビブショーツS

Yukari(162cm):ジャージXS、ビブショーツXS
Rin (167cm/52kg):ジャージXS 、ビブショーツXS

ユニセックスのため、ビブを女性が履く場合は、お腹部分が短く、丈が長くなる点は注意。太ももの一番細い部分が裾になる

 

5. 気づきを取りこぼさないように。

デザイナーのロエルは“小さなディテールが人生を美しくするのだと思う”と語ります。
ともすれば、ライド中はまわりのディティールに目を向ける余裕がないほど強度を上げることがありますが、一方で、意識すると多くのことが周りに起こっていることに気づきます。
それは例えば道端に咲いた彼岸花であり、乗り捨てられて錆びたクラシックカーであり、友人の何気ない所作だったりもする。これらはすべて名もないストーリーを含んでいます。

アプローチは異なるものの、2人のデザイナーのアイデアのきっかけとなったのは、ライド中に得られた「気づき」。NDLSSのコラボレーションキットは、それらを取りこぼさないように心に留めておくことが、ライドそのものを豊かにしてくれるのだと感じさせてくれます。

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Review/Rin, Yukari, & Tats
Edit & Photo/Tats