【プロダクトレビュー】Fizik Tempo Beat:デザインもコンセプトも最高なSPDシューズだが制約はある。

ここ2年くらい白いSPDシューズが欲しいと思ってきたが、やっと履きたいと思えるデザインのものが今夏Fizikから発売された。すぐに購入して使ってきたので実際の使用感をレビューする。

text & photo / Tats@tats_lovecyclist

1. スペック

2024年7月に発売されたフィジークの『Tempo Beat(テンポ ビート)』。
フィジークのプロダクトはVentoやTempoなどの名称がつくが、レース向けのVentoに対してTempoはオールラウンドライド向けのライン。
Tempo Beatのクリートは2穴のSPD対応だが、舗装路と未舗装路両方で使うことを想定した“ロードサイクリングシューズ”として発売されている。

アッパー エンジニアードメッシュアッパー
クロージャー レースアップ
ソール BEATアウトソール
TPUトレッド+ナイロンシャンク

剛性指数 4/10
重量(カタログ値) 355g(サイズ42)
重量(実測値) 351g(サイズ41)
サイズ展開 36〜45(ハーフサイズなし)
価格 ¥29,500(税込)

 

2. 導入の目的

従来のSPDシューズ(グラベルシューズ)は汚れる未舗装路ライドを想定しているため、ダークカラーやアースカラーが多く、形も耐久性を重視してゴツめのものがほとんどだった。
グラベルメインのライドであればそれでも全然OKだが、舗装路でもバイクを降りたときの歩きやすさを重視してSPDシューズを履くこともある。そういうシーンでは従来のSPDシューズがあまりマッチしない。そしてロードサイクリングのスタイルでは、圧倒的に白シューズの汎用性が高い。だからロードシューズのようなシュッとした白いSPDシューズをずっと求めていた。

Tempo Beatは“舗装路でも未舗装路でも走りを楽しみたいライダーのための、洗練されたシルエットの万能ロードシューズ”とFizikがうたっているが、まさにニーズに適うプロダクトだった。

サイズ選び

41サイズを着用。FizikのシューズはほかにVento Feroxを所有しており、同じサイズでOKだった。ちなみにほかのブランドの適合サイズは、Specialized42、LAKE41、Nimbl42、Udog41、Shimano41。

 

3. Pros/Cons

Pros

最高オブ最高なデザイン:ソールが厚いのでカジュアル感はあるが、つま先にかけてロードシューズっぽいシュッとした要素が含まれている。色は白をベースに彩度の高いアクセントカラーが含まれているので、土臭さが一切ない。公式ページにはPNSと合わせたスタイリングの写真が掲載されており、いまどきのサイクルウェアに激しくマッチする。

ソールのグラデーションも、ペダリングのときにチラ見えして可愛い。こういうのを求めていたのよ…!

歩きやすい:アウトソールの剛性指数は4/10。アッパー柔らかい素材なので、しなって歩きやすい。SPDを選ぶ一番の理由がここなので、オフバイクでも違和感ないのが良い。

つま先が狭くない:Fizikのロードシューズは全体的に幅が狭めだが、Tempo Beatは若干広めなので幅広な足にもきつくない。シューレースの調整しやすさと相まって、つま先が当たるストレスはないのが良かった。

つま先は若干広め

Cons

アッパーが柔らかすぎる:アッパーが非常に柔らかく、ペダリングでぐにょぐにょする。歩きやすさにかなり重点を置いているのはわかるが、本音はもう少しアッパーがかっちりして欲しい。

つま先部分が明確に柔らかい

インソールが微妙:Fizikシューズ全般に言えることだが、付属インソールはペラペラで滑るので、足が微妙にシューズの中で動く。毎回シューズを買うたびにインソールをSolestarに入れ替えているのだが、今回もそれで解決した。アッパーが柔らかいので、Solestarにしたとしても歩きやすさは損なわれていない。

付属インソールは毎回一応試すが、結局Solestarに付け替える

長距離/高強度は向いていない:シューズのコンセプトからもガチライド向けではない。がっつり踏む必要のあるライドのときは、同じSPDシューズでも剛性指数の高いものか(Vento FeroxDistanza)、あるいはロードシューズを選んだ方が快適。

汚れやすい:メッシュアッパーは汚れが入り込みやすく、いつも使っているスペシャルクリーナーではほとんど汚れが落ちない。ちょっとケアが面倒だが、汚れたらライド後すぐに中性洗剤で洗うようにしている。

SPDだからといって調子に乗ってグラベルライドするとすぐに汚れる

 

4. 結論

長年患っていた白グラベルシューズ欲が解消された。走り方がグラデーションのように変化する昨今のサイクリングシーンにおいて、Tempo Beatのようなプロダクトが出るようになって良い時代だなと感じる。
長距離/高強度には向いていないと書いたが、Tempo Beatはスタイルが良いので、ちょっと距離が長いライドでも気にせず履いてしまうことが多い。

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著者情報

Tats Tats Shimizu@tats_lovecyclist
編集長&フォトグラファー。スポーツバイク歴11年。ロードバイクを中心としたスポーツバイク業界を、マーケティング視点を絡めながら紐解くことを好む。同時に海外ブランドと幅広い交友関係を持ち、メディアを通じてさまざまなスタイルの提案を行っている。メインバイクはStandert(ロード)とFactor(グラベル)。