プロなりきりグッズ。
僕たちが機材を購入するときのひとつの参考となるのが、プロが使っているかどうかという点。
レースで使われる機材はスポンサー商品ではあるものの、「プロが使っている=過酷な状況を走り抜く性能があることの証明」であり、その機材を選択することは失敗しない買い物の目安ともなります。
その中でも、頂点を極めるスター選手が使っているものは特に気になるもの。ここ1年でアイウェアブランド100%の人気が急上昇したように、トップスターに機材を供給することは、そのメーカーにとってはスポンサー費用以上の対価を得られるケースがあります。
そこで今回ツール・ド・フランス2018を終えて、結果を出したスター選手たちのギアに目を向けてみます。
Contents
1. 勝者たちの機材
まずは表彰台に上がった6選手の機材を見ていきます。僕個人が気になるアイテムについてはピックアップして詳しく紹介。
ゲラント・トーマス(チーム スカイ)- 個人総合1位、ステージ2勝
トラブル続きで調子の上がらないフルームに代わり、安定感のある走りでマイヨジョーヌを獲得した新エース、Gトーマス。応援したくなるキャラクター性に溢れています。
Dogma F10はスカイ好きなサイクリストには相変わらず最高の機材であり続けます。
アイウェア: Oakley Racing Jacket(生産中止)
レーシングジャケットは既に廃盤のため在庫分や中古しか出回っていませんが、デュアルレンズタイプでは今も根強いファンの多いアイウェア。マイヨジョーヌを機に復刻しないだろうかと思います。
シューズ:fi’zi:k Infinito R1(¥41,000)
モビスターの選手だけでなく“G”も使っているシュッとした細身のシルエットが格好良いInfinito R1。試着したときはスマートでぴったりなフィット感でした。
fi’zi:kはシューズの歴史は浅いものの、近年プロ選手への提供で存在感を高めています。( Bikeinn )
ペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)- ポイント賞、ステージ3勝
3度目の離婚を乗り越えてぶっちぎりの477ポイント獲得となった無敵のスプリンター・サガン、強すぎ。後半大きな落車がありながら無事に完走しました。
機材はもちろんSpecializedで固められています。
このメーカーは自社の研究データに基づいた機材開発が基本スタンスで、そのストイックさが機材に触れると顕著にわかります。
フレーム:S-Works Venge(¥540,000)NEW!!
第3世代となるヴェンジは空力の改善を数値で示しただけでなく、勝利できるフレームであることを証明しました。Vengeの結果にコミットした事実は、ほかのエアロフレームの存在を無意味にしてしまいます。( 公式サイト)
アイウェア:100% Speedcraft Air(¥52,800)
鼻腔を拡げて酸素を取り込む量を増やすことができる唯一のアイウェア。視覚以外のパフォーマンスを上げるアイウェアはSpeedcraft Airだけ。そしてサガン似合い過ぎ。
ステージによって“S2”と使い分けていました。( Bikeinn)
シューズ:S-Works 7 Road Shoe(¥39,960)
S-Worksは日本人の足型に合いやすく、洗練された外観が足元をスマートに見せてくれます。
トップモデルのS-Works7はダイヤルがオーディオのボリューム調整つまみのようなクールなデザインで、タイト/ルーズの微調整がすっごく滑らか。( 公式サイト)
ジュリアン・アラフィリップ(クイックステップ フロアーズ)- 山岳賞、ステージ2勝
パンチャー脚質のアラフィリップは、昨年出場できなかった雪辱をマイヨ・アポワとステージ2勝という結果で果たしました。地元でも人気のフランス人。
こちらもオールSpeclializedと、ツールにおけるプロモーション効果はバッチリ。
フレーム:S-Works Tarmac(¥507,600)
勝てるフレームその2のターマックは、ヴェンジよりも守備範囲の広い最強のオールラウンドフレーム。外観はエアロに近く、所有満足度がとても高そう。( 公式サイト)
ヘルメット:S-Works Prevail Ⅱ(¥28,080)
2017年に進化した「プリヴェイルⅡ」。プリヴェイル時代から長らくSpecializedのハイエンドヘルメットの代表の座にいます。
額に大きく空いた横一線と、垂直に並ぶ縦の開口部がこのヘルメットの個性で、高い通気性とエアフローを確保。( 公式サイト)
アイウェア:Ekoi Perso Evo 9(£76〜)
アラフィリップが着用するアイウェアは“Ekoi”というあまり聞き慣れないフランスメーカーのものですが、1本£76〜とプロが使用するものと考えるとかなり安価。フレームカラーを自由にカスタマイズできます。
国内では取扱代理店がないため、メーカー公式サイトの直販のみ。( 公式サイト)
ピエール・ラトゥール(AG2Rラモンディアル)- 新人賞
地元フランスチームAG2Rの活躍は総合6位のロマン・バルデだけでなく、アシストであるピエール・ラトゥールが新人賞を獲得。
15歳のとき自分の両脚にベルナデットとブリジットという名前をつけた泉田的なスターに今後が期待されます。
ちなみに「高速のベルナデット!(右脚)」「冷静のブリジット!(左脚)」とか言ってたらしい。
FACTORのポストモダンなグラフィックと水色は最高に相性が良いです。
アイウェア:Bolle Shifter(発売日未定)NEW!!
ボレーはスノー用ゴーグルでも有名なフランスのアイウェアブランドで、ツールのタイミングで新作を導入。
これまでボレーは釣り目デザインのアイウェアを展開していましたが、“Shifter”はトレンドを取り入れて上方視野の広いレトロデザインに仕上げてきました。フラットでシンプルなのが今っぽくて素敵。
シューズ:Mavic Cosmic Pro(¥33,000)
シューズもフランスブランド。マビックはわりと黄色を主張してくるので好みが分かれるところですが(ラトゥールのモデルも黄色とロゴの主張が激しい)、Cosmic Proのホワイトモデルはすっきりしていてキレイめなデザイン。
ホイールとトータルコーデしたり楽しめそうです。( 公式サイト)
トム・デュムラン(チーム サンウェブ)- 総合2位、ステージ1勝
チームスカイの圧倒的コントロール力の前でマイヨジョーヌには及ばずという結果でしたが、その中でジロに続いて総合争いができるデュムランは相変わらず孤高の強者という印象を受けました。
機材はフルGiantがサンウェブの証。Specializedと並んで総合メーカーの強さが表れています。
ホイール:Giant SLR0 42(¥230,000)
フレームメーカーオリジナルのホイール性能は近年顕著に向上が見られると言われています。SpecializedのRoval、TrekのBontrager、そしてGiant。それぞれ完成車トータルで考えられたバランスの良さや、自社開発によるコストパフォーマンスに優れています。
その中でもジャイアントのホイールを見ると本当に安い(沼思考)。
SLR0 42はリムハイト42mm・前後1395gのオールラウンドカーボンクリンチャーで23万。Giant乗りだったらぜひ使ってみたい。( 公式サイト)
クリス・フルーム(チーム スカイ)- 総合3位
ダブルエース体制においてマイヨジョーヌはGトーマスに委ねる結果となりましたが、僕らは彼がついこの間ジロで成し遂げた逆転劇を忘れないし、この先ブエルタでの走りやその後の動向について、引き続き声援を送りながら見守っていきたいと思います。
第17ステージ山頂フィニッシュ後の下りで起きたF◯ck you事件もきっと忘れません。
ヘルメット:KASK Valegro(¥27,000)
登りが得意なフルームにとって優れた軽量ヘルメット。ステージに応じてProtoneと使い分けています。
ストレスのかからない重量とフィット感は従来のKASKファンを確実に満足させてくれます。( Bikeinn)
レビュー記事はこちら↓
シューズ:SIDI SHOT(¥43,000)
しばらくフルームが好んで使っているシディの「ショット」。BOAが側面ではなく甲の真上についているのは、均等な締め付けができるようにするため。
戦闘力の高そうなグラフィックが従来のSIDIのイメージと異なっていて、個人的にも気になるモデル。( Bikeinn )
2. ワイルドカード枠
ワイルドカードでの選出よろしく、表彰台以外から独断で選んだ3選手の機材を見ていきます。
マルセル・キッテル(カチューシャ・アルペシン)- 第11ステージリタイア
ここのところイケメン枠で敵なしのキッテル。
カチューシャに移籍してツールに臨んだ生粋のエーススプリンターは、第11ステージの超級山岳でタイムリミット→昨年に続きリタイアという結果となりましたが、その随一の端正な顔立ちはプロトンからいなくなってもずっとスター性を残しています。
ヘルメット:Oakley Aro5(¥25,920)
丸く無駄のないシルエットが特徴的なオークリーのヘルメット。
生粋のスプリンターのキッテルにとってそのエアロダイナミクスはプラスに働いたはず。
MIPS搭載、BOAによる360°フィットシステムに加え、Sサイズで279gと重量も控えめ。( Wiggle)
ヴィンチェンツォ・ニバリ(バーレーン・メリダ)- 第13ステージリタイア
骨折により第13ステージリタイアとなりましたが、それまでは表彰台を狙えるポジションにいた“メッシーナのサメ”ニバリ。
彼が所属しているバーレーン・メリダはチーム総合2位につけています。これぞ王道といえる青赤に派手なゴールドの配色は、オイルマネーの息吹を感じます。
アイウェア:Rudy Project Traryx Fade(発売日未定)NEW!!
ツールで新しく投入されたルディプロジェクトの「トラリクス・フェード」。歴史のあるブランドらしく従来のトラリクスデザインを継承していますが、バーレーンメリダカラーが全身の統一感に一役買って格好良すぎ。
トレック・セガフレードやロット・ソウダルにもスペシャルカラーで提供されています。
シルヴァン・シャヴァネル(ディレクトエネルジー)- 個人総合39位、ツール連続最多出場
ツール連続出場18回目、歴代単独1位の出場回数となる39歳のシャヴァネル。最終ステージで引退を発表し、シャンゼリゼで単独で飛び出して最後の姿を見せてくれたことが印象的でした。
フレーム:Wilier Cento10 Pro(¥540,000)NEW!!
Cento10 AIRの後継モデルとして開発され、ツールで実戦投入された”プロ”。
ネーミングに「iPadか」と突っ込みましたが、形状の変化はなく、選手のリクエストに応えてねじれ剛性が6%アップしているのが変更点です。10AIRでも充分な剛性を感じますが、アップデートにより更に反応が向上しているはず。
シャバネルの乗っていたラマートカラーのキラキラに惚れます。
ヘルメット:Limar Ultralight+(¥24,000)
30年の歴史を持つイタリアブランド“リマール”のトップモデルはMサイズで175gと超軽量。
ツールではチームカラーデザインの黄色い丸がすっごく目立っていました。( Bikeinn )
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年間を通して最大のお祭りが終わって寂しい気持ちですが、選手動向やスポンサー契約の話などまだ話題は尽きないもの。これからもスター選手たちはもちろん、それを取り巻くスポンサー企業の動きを見続けていきたいと思います。