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タッチポイントを最適化。
最適なサイクリンググローブ選びは、安定したバイクコントロールや長距離のライドを可能にし、そしてサイクリストのスタイルを完成させるもの。
でもウェアと同様に、季節や乗り方によって必要なグローブの選択肢は数多くあります。
ショートフィンガー/フルフィンガー、パッドあり/なし、メッシュ/防風といったように機能やスタイルがさまざま。
そこで、シーンごとに必要なグローブの機能と最適なモデル選びについてまとめていきます。
Contents
1. グローブの機能&選び方ガイド
グローブの機能
ショートフィンガー/フルフィンガーのグローブが備える基本的な機能は以下のようなもの。
夏用グローブ
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- グローブが外しやすくなるプルタブ
- 通気性を上げるメッシュ素材
- 疲労を軽減するパッド
- 汗&鼻水が拭えるワイパー
- ストレッチ式/ベルクロ式のカフ
冬用グローブ
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- タッチパネル対応
- 防風・防水(耐水)素材
- 疲労を軽減するパッド
- 汗&鼻水が拭えるワイパー
- ストレッチ式/ベルクロ式のカフ
パッドの選び方
これらの機能の中でも、グローブを選ぶときに特に重視する点はパッドのあり/なしと素材。
パッドの有無
神経の圧迫や突き上げの衝撃を緩和するパッドですが、厚さが増すほど操作のダイレクト感が損なわれる点も考慮します。
グローブ自体を好まないサイクリストも一定数いるように、路面の状況を素肌で感じながら操作したいときはパッドのないものや薄いものを選択します。
逆にブルベやロングライドなど一定ペースで長時間走るときは、厚いパッドを選択。
自身のライドスタイルと好みに合わせて選択します。
パッドの素材
パッドの素材は、フォーム/EVA(エチルビニルアセテート)/ゲルの3種。
フォーム | 最も安価な素材で、エントリークラスのグローブに採用 |
EVA | ランニングシューズにも使用されるクッション性の高い素材で、ミドルクラス〜ハイエンドのグローブに採用 |
ゲル | 柔らかくふわふわな質感で、ミドルクラス〜ハイエンドのグローブに採用 |
予算が許せば、快適性のためにEVAやゲルを推奨します。
サイズの選び方
グローブは大きすぎても小さすぎてもNG。
大きすぎると生地が余って正しいグリップができなくなり、また小さすぎると食い込んで不快になります。
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あらかじめメジャーを使って自身の手のサイズを把握しておき、各メーカーのサイズガイドを元に最適なサイズを選択してください。
基本は「手の周長(A)」が基準になり、場合によって「中指から手首までの高さ(B)」を第2の基準にします。
2. シーズンごとに最適なグローブ
ウェアと同じように、グローブも気候に応じて細かく使い分けることでライドが快適になります。
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ショートフィンガー/フルフィンガーの大分類からさらに細分化される
15℃〜:ショートフィンガー
春・夏・秋にかけて長く活躍する指ぬきタイプ。指先が露出しているのでレバー操作のダイレクト感が損なわれず、また停車時のスマートフォンの操作もそのままできます。
10℃〜:フルフィンガー(薄手)
薄手のフルフィンガータイプ。薄いのでレバー操作をあまり妨げません。
真夏の気温の高い日でも、指先の日焼け防止や、あるいは転倒時の怪我を防ぐ理由であえてこのタイプを選択するサイクリストもいます。
5℃〜:フルフィンガー(中厚手)
厳冬期を除く秋冬に長く使える中厚手のフルフィンガータイプ。
着用したままスマートフォン操作できるようにタッチパネル対応モデルもありますが、感度はあまり高くないものがほとんど。
0℃:フルフィンガー(厚手)
凍える真冬用グローブ。防風・保温性能を持つものがほとんどで、たとえどんなに寒くても外を走りたい僕らサイクリストという人種には欠かせないもの。厚みがあるため操作のダイレクト感はかなり損なわれます。
居住地域によっては出番があまりないかもしれません。
*
以下では、機能性とスタイルを両立する上質なモデルを対応気温別にピックアップ。どんなウェアブランドにも合うように、グローブを専門領域とするブランドを中心に選んでいます。コーディネートを完成させるお気に入りのモデルを見つけてください。
3. 【15℃〜】ショートフィンガー
GIRO – XNETIC KNIT(¥5,500)
フィット感の高いニット素材で万能なトップモデル
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パッド | あり(EVA) | カフ | ストレッチ |
GIROのグローブはフィット感抜群。
「XNETIC KNIT」は、GIROシューズに使われているニット素材を新たに採用し、柔軟性とフィット感をこれまでのグローブ以上に高めている最上位モデル。パッドもあるので長距離もOK。
ニットの雰囲気はコーディネートに抜け感を与えてくれます。
GIRO – JAG(¥3,200)
初めてにも最適。EVAパッド付きエントリーモデル
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パッド | あり(EVA) | カフ | ベルクロ |
「ジャグ」は丁度よい2mmの厚さのEVAパッドを備え、快適性を重視したモデル。
ベルクロで手首周りのフィット感も調整できるため、はじめてのサイクリンググローブでも抵抗なく使うことができます。GIROらしいシンプルなデザインも良い。
Handske – Cycling Glove(¥3,500)
グリップと密着感に優れた全コンディション対応モデル
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パッド | なし | カフ | ストレッチ |
存在感のあるデザインが目を引く「ハンドスケ」のサイクリンググローブ。
ジャージと同じようにかなりタイトにつくられており、隙間を作らず手を包みます。
またシリコンプリントによるグリップ力が秀逸で、濡れても簡単に滑ることはありません。雨でも嵐でも使える全コンディション対応モデル。
Rapha – Pro Team Mitts(¥8,000)
シンプルで合わせやすい上質なモデル
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パッド | なし | カフ | ストレッチ |
小物の質が高く、シンプルでどんなウェアにも合わせやすいRapha。
「プロチームミット」は薄手で着脱しやすく、手の平のスエード生地がグリップ力を高めてダイレクト感に優れる仕様。縫い目が少ないので着けたときのストレスもありません。
手首にエンボス加工された“RAPHA”ロゴが所有欲をそそります。
4. 【10℃〜】フルフィンガー(薄手)
GIRO – TRIXTER(¥2,992)
軽い付け心地の春夏グローブ
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パッド | なし | カフ | ストレッチ |
着け心地が軽く、夏でも着用できる通気性を持った「トリックスター」。グラベルやMTB用途がメインですが、グローブが苦手だけれど、日焼け防止や安全性のために着用するというロードサイクリストにも最適。
パッドはないので路面のフィードバックをダイレクトに感じ取れます。
dhb – 軽量サイクリンググローブ(¥2,400)
エントリー向け多機能パッドモデル
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パッド | あり(フォーム) | カフ | ベルクロ |
春・夏・秋に使えるメッシュの薄手素材、そして手の平のフォームパッドで、初級者に最適な「軽量サイクリンググローブ」。
着脱容易なプルタブや親指の汗拭き生地も採用するといった機能性を充分に備えつつ、dhbならではの抑えられた価格という点がとても魅力的です。
5. 【5℃〜】フルフィンガー(中厚手)
DeFeet – DuraGloves(¥2,800)
扱いやすいニットタイプの定番グローブ
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パッド | – | カフ | – |
見た目“軍手”と侮ってはいけない、非常に扱いやすいニットグローブ。
「デュラグローブ」は柔らかく手に馴染むので、シフト&ブレーキ操作を阻害せず、しっかり冷気からも手の先を守ってくれます。
真冬にはインナーグローブとしても使える万能モデル。
Café du Cycliste – クラシックグローブ(¥9,581)
冬ファッションを楽しむクラシカルなグローブ
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パッド | なし | カフ | ストレッチ |
クラシカルな雰囲気が素敵なCafé du Cyclisteのグローブ。
外側が防風パネル、内側がフリース素材で保温効果も抜群。手のひらはグリップ力の本革製。
ブランドロゴがないのでほかのウェアとも組み合わせやすいのが良い。スタイルを大事にするサイクリストに。
100% – Brisker(¥4,200)
コスパ良すぎるしなやかなグローブ
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パッド | なし | カフ | ベルクロ |
Speedcraftなどのアイウェアで知られる『100%』による防寒グローブ「ブリスカー」。
しなやかな人工皮革クラリーノを使っていて、ハンドル周りの操作がしやすいつくり。内部はマイクロファイバーなので防寒性能も高く、冬用グローブの中でも非常にコスパに優れています。
アイウェアとのペアコーデも楽しめるアイテム。
6. 【0℃】フルフィンガー(厚手)
dhb – ウィンターグローブ/メリノ裏地付き(¥6,500)
改善を続けるdhbの厳冬モデル
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パッド | あり(フォーム) | カフ | ベルクロ |
ユーザーのフィードバックから改善を続けるdhbのプロダクト。このウィンターグローブも、裏地をフリース素材からメリノ素材に変え、抗菌・防臭・透湿効果を強化。手汗をかいても快適性が維持されます。
防水・防風の外側は、悪天候や厳冬期に対応。
Rapha – Deep Winter Gloves(¥23,000)
氷点下対応の最強防寒モデル
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パッド | あり(ゲル) | カフ | ストレッチ |
極寒のノルウェーでテストした上で作られた、最高の防御力を持つ「ディープウィンターグローブ」。
完全防水で氷点下でも対応できるため、日本の都市部では過剰装備かもしれませんが、冬に山間部に赴く場合など特定の条件下では最も安心感を与えてくれます。
【さらに】finetrack – インナーグローブ(¥3,630)
防寒を強化し、快適な冬のライドを。
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冬用グローブの下に着用するために薄手で作られたインナーグローブ(ライナー)。
ウェアのベースレイヤーと同様に、手の汗を逃して体温調節ができ、また空気の層が増えることで一層暖かくなります。
厳冬期の快適性を求めたり、手持ちのグローブの防寒性能をさらに進化させたいときなどに、着回しの幅を拡げてくれます。
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走りに合った最適なモデルを見つけよう
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Handske サイクリンググローブ
さまざまなコンディションに対応できるように全4タイプのグローブを所持しておくと便利ですが、グローブは比較的消耗が激しいので2〜3シーズンで買い換えることになります。
最初は「ショートフィンガー」と「中厚手のロングフィンガー」をひとつずつ揃えればOK。そこから必要に応じて買い足していきます。
ぜひ自分のライドスタイルに最適なグローブを見つけてください。
著者情報
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Tats Shimizu(@tats_lovecyclist) 編集長&フォトグラファー。スポーツバイク歴11年。ロードバイクを中心としたスポーツバイク業界を、マーケティング視点を絡めながら紐解くことを好む。同時に海外ブランドと幅広い交友関係を持ち、メディアを通じてさまざまなスタイルの提案を行っている。メインバイクはStandert(ロード)とFactor(グラベル)。 |