Love Cyclist Journal vol.1【2019年6月号】- 広がりを楽しむ。

Text by Tats(@tats_lovecyclist

今回からちょっと新しい切り口の企画、“Love Cyclist Journal”を始めます。

LOVE CYCLISTは今年で運営4年目に入り、昨年からは“Ride with your style.”をテーマに、自分らしいスタイルを実現するためのウェアやアイテムなどを中心にみなさんにお届けしてきました。

最近はライド中に声をかけていただくことや、業界の方からのお問い合わせが増え、それだけ多くの方に読まれるようになっていることに、(動画の時代と言われて久しいですが)ウェブサイトを通じて発信することの可能性を感じています。

そして同時に、文章でも色々な切り口や表現の方法がまだまだできると思っています。
だから最近は意図的に記事のスタイルを変えてみたりしているのですが(気付いている方がいればうれしいです)、その試みのひとつとして、“Journal”という形式での発信を始めたいと思います。

Journalが「雑誌」とか「日記」といった意味を持つ言葉なのはご存知だと思いますが、ここでは文字通り雑誌のコーナー欄のようにちょっとラフな感じで、僕が普段感じていることや最近のトピックなどを、不定期連載というかたちでライトに伝える場にしていきます。

ソファに寝そべりながら、電車のつり革につかまりながら、お昼を食べながらリラックスして楽しんでもらえればと思います。

梅雨の楽しみ方。

梅雨のシーズンに入りましたね。僕らサイクリストにとって再び宿敵の登場。

ここ関東は週末をピンポイントで狙うような空模様だったりして、週末ライダーにとって雨マークが刻まれた天気予報は、良くない結果を知らせる合否通知のように感じさせます。

あるいは、明日の降水確率なら走れるかもしれないと期待を込めてベッドに入った翌朝、鈍い光の中で耳にしとしとした雨音が入ってくる瞬間はとても残念な気持ちが身を覆います。

そんな悲しいことばかり考えがちな季節ですが、でも同時に、「この空いた時間で代わりに何をしようか」と考えることが、ライドが中止になったときのひとつの楽しみにもなります。

そういうとき、僕は室内トレーニングを選択することもありますが、代わりに、よく近所にあるお気に入りのカフェの開店に合わせて妻と出かけ、暖かいコーヒーを飲みながら、ゆったり話をしたり、本を読んだり、文章を書いたりします。

走れていればそれは楽しかったであろう時間でしたが、それとはまた別の種類の、デンマークの習慣で言う「ヒュッゲ」のようなリラックスした心地よい時間になります。

そうやって自転車に乗っている時間と、そうでない時間をどちらもめいっぱい楽しめるということが、サイクリストにとってはすごく大事なことではないかとこの頃は感じています。

“ロードバイクで走る”という楽しみの内側と外側に、ゆったりした幅をもたせること。そうすることで、(これまで何度も言っていることですが)「速く走ること」以外の価値観による、自転車とそれを取り巻く人たちの間に親密な空気感が生まれていきます。

そういう考え方が自転車との向き合い方にもっと必要だと感じるようになり、僕はこれまでの活動に加えて、意識的に広がりを生む活動へと取り組むようにしています。

新メンバー、RyujiとMika。

そのひとつが、新しいメンバーを迎えること。

いつも年始めにLOVE CYCLISTをどういう方針で運営していくかを自分の中で定めるのですが、2019年は「仲間を増やす」ということを大きく掲げていました。これまでライティングもデザインもコーディングもひとりでやってきましたが、いち個人でできることの限界も感じていて、メディアとして次のステージに行くためには、新たな価値観とのミックスアップが必要でした。

そして(本当に運が良いと思うのですが)多くの縁に恵まれ、今年からは、これまでのサイトのコンセプトに共感してくれる仲間と一緒につくっていけるようになりました。

仲間のひとりはRyuji@marusa8478。彼は自転車専門誌の編集、サイクルウェアメーカー勤務というキャリアによる高い経験値から、機材の価値を推し量る確固たる物差しを持っています。
今はアパレル業界に身を置くファッション好きで、僕と一緒にウェアや機材のレビューをしています。

もうひとりはMika@mika_No.3)。デザイナーの彼女は、素敵な新しいロゴをデザインしてくれたり、そのクリエイティブな視座を活かしてRaphaのデザイン戦略についての考察を書いてくれたりしています。
最近のウェアレビュー写真の多くは彼女の撮影によるものです。

そして、ふたり以外も協力してくれる心強い仲間が周りにいます。LOVE CYCLISTは本当に周囲に助けられて続けています。

これからもちょっとずつ、色々なかたちで読者の元へ面白いコンテンツをお届けできるようにできればと思います。

トークショーに出演しました。

そして6/8には、RyujiとMikaと一緒にヨコハマ・サイクルスタイルでのトークショーでおしゃべりしてきました。

5月にTOKYO WHEELSから出演の打診をいただき、メディアとしての幅を広げるすごく面白い機会だと感じ、快諾させていただきました。

内容は「ロードバイクのファッションについて本音で話す」というもの。
ファッションがテーマではありましたが、その根幹には業界が抱える課題があって、それらに対して僕らがどう取り組んでいくのが良いか、というところを中心にお話しました。

はじめて公で話すイベントでしたが、MCをつとめられた河西啓介さんの場つなぎ力がすごくて、とても楽しい30分になりました。

河西さんいわく僕らは「スリーピースバンドみたい」笑

終わったあとMikaから「ワークショップのファシリテーションをするWeb系の人だった」と言われました。かつてそういうことばかりやっていたのでその癖が出てしまいます。

記事以外でも、こうして外に発信することも楽しいな、と強く思いました。
ご来場いただいた方、TOKYO WHEELSの方々、河西さん、一緒に出てくれたバンドのメンバー(謎)に深く感謝します。

 

今月のライド

最近のライドで、素敵だったコースをご紹介。

碓氷峠

S-Works Roubaixのレビューのために軽井沢の碓氷峠を走りました。

計14kmの道のりは綺麗で、平均斜度4%の勾配もちょうど良い感じ。登坂区間の景色は木々に覆われていますが、途中でキツネやサルがいたり、都心を走るのとは違う軽井沢らしい落ち着いた空気感を楽しめます。

そしてRoubaixの乗り心地も楽しいのもあって、久しぶりにずっと登っていたいと思う「ゾーン」に入った峠でした。

下りの途中では綺麗に鏡面反射する碓氷湖でリラックス。

また有名な「めがね橋」もある国鉄信越本線の静謐なたたずまいを見上げながら、この地にかつてあった歴史を想像します。
土地の空気感を直に感じながら走ることができるロードサイクリングの楽しさを改めて感じた峠でした。

 

今月のカフェ

お気に入りのカフェについて。

Blue Door Coffee(ブルードアコーヒー)

横浜の「こどもの国」近くにあるBlue Door Coffeeは1〜3人でゆったりするのにぴったりな場所(営業時間9:00 -19:00)。

お店の名前の通り、かわいい青いドアから入る店内は、カウンター数席だけですが、小さく穏やかな空間。
コーヒーの豆はオリジナルブレンドもシングルオリジンもあり、個人的には苦味が強めなブレンドをリクエストしてバニラアイスと一緒にいただくのがぴったり。

休憩が終わったら、北に抜けて尾根幹方面に行くのも良いし、南に抜けて境川CRを走るのもOK。ロードバイクだからこそ行きやすい、素敵なカフェです。

 

新しく、親密な空気感のために。

梅雨はまだ続きますが、これが明けるとすぐに暑い日差しが差し込んできます。
季節の転換を感じるにつれ、かつて夏日の高揚感が青年を旅へと駆り立てたように、新しいことに向き合う情熱が湧いてきます。

ロードサイクリングとそれを取り巻く空気、そしてLOVE CYCLISTとみなさんとの間に流れる空気がより親密なものになるように、これからさらに広がりを楽しみながらコンテンツをお届けしていければと思います。