KASK Wasabiレビュー:雪のように美しい、冬用エアロヘルメット。

親愛なるKASKに更にハマる。

イネオス・グレナディアーズの選手の頭に『Wasabi』が初めて装着されたのは、2021年3月のストラーデ・ビアンケ。それは光沢のある赤と黒に塗り分けられた、あまりにも戦闘的なカラーリングだったため、当時は「あぁ、新しいエアロヘルメットが出たのね」という感想しか抱くことができませんでした。

でも後日コンシューマー向けカラーが発表されたとき、それが今最も求めていたヘルメットだったことに気が付きます。
ただのエアロなヘルメットではなく、被り心地もスタイリングも新しい『Wasabi』。KASKのほかのヘルメットとの違いを含めてレビューしていきます。

レビュアー

Tats@tats_lovecyclist
Love Cyclist編集長。海外のアパレルブランドと幅広い交友関係を持ち、メディアを通じてさまざまなスタイルの提案を行う。最も愛用するヘルメットはKASK Valegro。

Text/Tats
Photo/Rin, Ryuji, & Tats

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1. KASK Wasabi

KASK Wasabi

KASKにはかつて開閉式の通気口を持つモデル『Infinity』がありましたが、『Wasabi』がその機構を継承し、新たなエアロヘルメットとして誕生しました。
そのためKASKの現行エアロヘルメットは『Wasabi(ワサビ)』と『Utopia(ユートピア)』の2モデル。

WasabiとUtopiaの比較

モデル Wasabi
Wasabi
Utopia
Utopia
通気性 ★★★★☆ ★★★★☆
空力 ★★★★☆ ★★★★★
用途 オンロード
グラベル
シクロクロス
オンロード
トライアスロン
サイズ S:50-56cm
M:52-58cm
L:59-62cm
S:50-56cm
M:52-58cm
L:59-62cm
重量(Mサイズ) 270g 260g 
税込価格 ¥38,500 ¥31,900
安全基準 CE-EN1078、WG11(欧州)、JCF公認(日本)

アウターシェルが縦に長いUtopiaは、空力に特化することでオンロードのレースシーンに最適
対してWasabiは丸みが強く、オンロードだけでなくグラベルロードにも対応。カラー展開を見ても、マットカラーのWasabiがライフスタイルに寄ったモデルであることは明確です。

 

2. Wasabiのここがイケてる

寒くない&通気口の開閉が便利

wasabi走行

通気口が少ないエアロヘルメット全般は、真冬ライドの強い味方。だからWasabiを導入した最たる目的は「防寒」でした。
Wasabiはシェルを閉じたクローズドモードにすると、前面の通気口がすべて塞がるため、頭部に風が侵入しなくなります。明らかに穴の空いたヘルメットと体感温度が異なり、普通に「あったかい」と感じられるレベル。

wasabiオープン&クローズドモード

オープン/クローズドのモード切り替え

オープンモードにしたときの変化も顕著で、“1.5℃下がる”と公式は謳っていますが、体感的にはそれ以上の風の抜け。
そして開閉機構を「ガッ」といじって変形する楽しさもあります(トランスフォームとかデストロイモードとかに共通するやつ)。気温に応じて開閉するだけでなく、雨が降ってきたら閉じるといった対応もできるのがこのギミックの特性。

wasabiエアフロー

開口部から風が通るような溝のデザイン

価格はKASKのロード用ヘルメットの中でも最高値ですが、開閉機構によって2通りのスタイルが使えることを考えると、この価格にも納得感が生まれます。

丸みのある形状&マットホワイトがすごくいい

wasabi側面
wasabi背面

エアロヘルメットの多くは「空力」という競争指標があるため、デザインもレーシーになることがほとんど。
でもKASKにはすでに空力に優れたUtopiaが存在していたため、Wasabiは競技性を抑えた丸みのある形状になりました。そのおかげで、オンロードだけでなくグラベル系のスタイリングにも合うようになっています。

wasabi前面 クローズドモード

マットな質感が良すぎる

色もすごく良い。マットブラック・マットグレー・マットホワイトの3色は、どれも汎用性が高いので決めかねていましたが、実物を見て、雪のような白の質感が圧倒的に美しいマットホワイトを選択
エアロヘルメットのように表面積が広いモデルだと、グロスカラーは主張が強くなりすぎますが、マットカラーのおかげで全身と調和するようになります。
あまりレーシーでない雰囲気のエアロヘルメットを探していた僕にとって、Wasabiに落ち着くことは必然でした。

深い被り心地&メリノウールパッドで包み込まれる

wasabi オクトフィット

オクトフィットシステム

KASKヘルメットの伝統的な「オクトフィット」システムは、相変わらず素晴らしいフィット感をもたらしてくれます。垂直方向と水平方向の調整域が他メーカーよりも広いため、気持ちよく頭部にハマる部分が見つけられる。KASKが丸形のアジア系にもフィットするのは、このシステムの恩恵に依る部分が大きいと思います(僕自身は楕円形なので欧州フィット寄り)。

wasabiフィット調整

Wasabiだけにしかない特徴もあります。
それはシェルに高さがあり、ValegroやProtoneよりも被り心地が深いこと。そしてメリノウールのパッドにボリュームがあるため、包み込まれている感覚が最も強いこと。特にメリノパッドのフカフカな感触は、Wasabiを被っている喜びを増長してくれます。

厚みのあるメリノウール製「REDA ACTIVE」パッド

wasabi重量

重量は実測値272g。実用面でストレスはない

valegroとwasabiのバックル

←従来のバックル | Wasabiの新バックル→

軽量化のためか、ベルトのバックルは形状は肉抜きされたものに。

バックルは形状が変わって若干はめづらくなっている

新安全基準「WG11」で回転衝撃耐性を示す

競合メーカーが続々とMIPSのような回転衝撃緩和システムを組み込んでいる中、KASKは頑なに搭載を拒否してきました。その代わりに、昨年から「WG11」という欧州の回転衝撃に対する新安全基準を採用しています。
これにより、WasabiをはじめとするKASKヘルメットのほとんどがWG11をクリア。

MIPS搭載ヘルメットと、WG11をクリアしたヘルメットのどちらが回転衝撃に優れているかを定量的に把握する術はありませんが、従来の安全基準である「CE EN1078認証」と「JCF公認」を得ている点は、一定の安全性を担保することを示す安心材料となっています。

wasabi背面

背面には小さな反射テープ

 

3. Wasabiのここが惜しい

アイウェアホルダーがない

Wasbiはアイウェアホルダーなし

アイウェア用の穴がないのはデザインとのトレードオフか

Wasabiにはテンプル幅の穴がありません。アイウェアを外したとき、いつもの習慣から頭に挿そうとしますが、そこに穴がないことに気づき戸惑いが生まれます

トンネル内、休憩時など、アイウェアを外すシチュエーションはライド中に多々あるし、同じエアロヘルメットのUtopiaはアイウェアホルダーがあるだけに、これだけは惜しい点。仕方なく、外したときは後頭部から耳に掛けています。

 

4. KASKのスタイルを象徴する、エアロヘルメット。

個人的に愛用しているヘルメットValegroの唯一の課題「寒い」に対して、真っ向から対処してくれるWasabi。冬ライドにかつてない安心感をもたらしてくれ、オープンモードでは想像以上に風が通るため、春秋にも快適に使えることと思います。またValegroとは正反対の丸くてころっとした形状が新鮮だし、マットカラーの落ち着いた雰囲気はウェアと合わせやすい。

スタンダードで色褪せないProtone」「軽くてスマートなValegro」といったKASKのスタイルを代表するヘルメットにもうひとつ、「エアロで美しいWasabi」が加わったことで、そのラインナップはあらゆる天候、季節、ライドスタイルをカバー。
シチュエーションに応じて最高にフィットするヘルメットが選べるようになり、親愛なるKASKに対する熱情はさらに深まっています。

Highs

  • ・温度調節可能な開閉機構で寒くない
    ・マットカラーが非常に美しい
    ・素晴らしい調整機構&フィット感

Lows

  • ・アイウェアを挿すことができない
    ・真夏はより通気性の高いモデルを推奨

Wasabiを購入する(Wiggle)

Text/Tats
Photo/Rin, Ryuji, & Tats