ショートノーズサドル比較購入ガイド – Specialized / Prologo / Fizik / Supacaz etc.

ショートノーズサドル比較購入ガイド

サドルの新たな形状として2017年頃からトレンド入りした「ショートノーズ」。
もともとはトライアスリートが好んで使っていた形状ですが、2015年にSpecializedがPOWERサドルを発売したことに端を発し、ロードバイクマーケットでもショートノーズが徐々に定着していきます。

それを受けて各メーカーからショートノーズのサドルが出揃ったのが2019年。
よりアグレッシブに走りたいサイクリストや、股間の痛みを気にするサイクリストは積極的にショートサドルを試せるタイミングに来ています。

ここではSpecializedを含む7メーカーの各モデルを比較紹介。自分に合ったサドル選びのマイルストーンにしてください。

1. ショートサドルがもたらす新たな走りの世界

ショートノーズとロングノーズ比較

ショートサドルは、通常のサドルと比較すると「全長が短い」&「座面の幅が広い」という特長があります。

通常のサドルの多くが全長280mm前後なのに対し、ショートサドルは全長250mm前後
また座面の幅は、通常のサドルが幅130mm前後からラインナップされているのに対し、ショートサドルは幅140mm以上のものがほとんど。

その特徴的な形状によって、通常のサドルとは異なるいくつかの違いが生まれます。

①ライドポジションの変化

ニュートラルポジションよりも前側に着座して、体重を乗せたトルクがかけやすくなる「前乗り」

強度の高いライドスタイルを好むサイクリストにとって前乗りポジションは一般的ですが、通常のサドルで前乗りした場合、ノーズがペダリングを阻害したり、股間の痛みを生む原因となることがあります。
ショートサドルの場合、その原因となるノーズがカットされていることで、サドルを前側にセッティングすることが可能。
さらにワイドな後部座面によって骨盤が安定し、前乗りのエアロポジションを無理なく維持することができるようになります

前乗りポジション

前乗りポジションを可能にするショートサドル。ニュートラルポジションよりも膝が前に出ることで体重を乗せやすくなる。骨盤を立てたきれいなエアロポジションも可能に。

②サドル沼を終わらせるポテンシャル

サイクリストがサドル探しを終わらすことができない理由のほとんどが「現状のサドルに不快感を持っている」ということ。

不快感が股の痛みだとすれば、ショートサドルはそのサドル沼を終わらせるポテンシャルがあります。
ショートサドルの形状は、短いノーズによって股間の圧迫が軽減され、幅広の座面によって圧が分散されるため、骨盤でしっかり着座できて長時間乗っても痛みが出にくいもの。

男性・女性問わず、通常のサドルで不快感を感じていた場合は、理想のサドルに出会うための新たな抜け道となると思います。

③そして外観をスマートに

重量は通常のサドルとそれほど大きな差はありませんが(モデル差があるので一概に比較はできない)、短いノーズによってバイク全体の見た目をすっきりとさせる効果は絶大。
一度ショートサドルの外観に慣れると、通常のサドルは見た目が少し重く感じてしまうほど。

S-Works Power & Power with Mimic

スマートな印象のショートサドル

 

2. ショートサドルは誰に向けたものか

(欧米基準ですが)177cm以下のサイクリストはショートノーズを好む傾向があると言われています*。それは低身長ほど着座位置の可動域が少なくて済むから。
だからほとんどの日本人にとって、ショートサドルは適正のある形状。

ただ一概にどんなライドスタイルのサイクリストでも適しているというわけではなく、少なくとも今使っているサドルがロングノーズで、少しも不満を抱いていないのであればショートサドルを選ぶ必要はありません。

その代わり、ショートサドルは前乗りポジション向けであり、また股の不快感を軽減させる形状であることから、

  • トルクをかけた高強度の走りを好む
    ・ヒルクライムを好む

    現状のサドルに不快感がある

といったタイプのサイクリストに向いています。

*4 Things To Know About Short Saddles(Road Bike Action)

セッティングの注意点

ショートサドルは前後の可動域が狭いため、通常のサドル以上にセッティングがシビアになります。
その分、自分にとって最適な位置にピンポイントでセッティングできれば、最大限のポテンシャルを引き出すことが可能。
そのため、できる限りフィッティングを受けることをおすすめします。

 

3. ショートサドルメーカー7選

Specializedのような総合メーカーからトレンドが生まれたショートサドルですが、現在ではその流れを受けて主要サドルメーカーもラインナップを揃えてきました。各メーカーごとのモデルの特長と、それぞれのスペックを比較していきます。

① Specialized – スペシャライズド

Specializedショートサドル

あらゆるニーズに応える死角のないサドル

ショートサドルの代名詞となるほど、サドルとしては異例のヒット作となったSpecializedの「POWER」シリーズ。
フラット座面の“POWER”とラウンド座面の“POWER ARC”に大きく分類され、その中でカーボンレールの“S-Works”モデルとチタンレールの“Expert”モデルでグレード分けされています。

また業界初の女性用ショートサドル“POWER with MIMIC”も新たに加え、この界隈では最も死角のないラインナップが揃い踏み。

Specialized主要ラインナップ

  POWER系
POWER ARC系
モデル S-Works
Power
Power
Expert
S-Works
Power Arc
Power Arc
Expert
幅(mm) 143/155 143/155/168 143/155 143/155
重量(g) 159/161 233/235/238 141/145 243/256
税抜価格 ¥26,000 ¥15,000 ¥26,000 ¥15,000
特徴 ・フラット
・カーボンレール
・フラット
・チタンレール
・ラウンド
・カーボンレール
・ラウンド
・チタンレール
購入リンク 公式サイト 公式サイト 公式サイト 公式サイト

② Prologo – プロロゴ

Prologoショートサドル

ピュアレーサーにも刺さる魅力的なオプション

Prologoのショートサドルは「Dimension(ディメンション)」シリーズ。
レールやパッドの厚みなどで派生モデルが複数存在するところはサドルメーカーならでは。名前の後ろに付けられた以下モデル名によってスペックを判別します(“Dimension CPC Nack”のように)。

  レール
表面加工 パッド量
モデル名 Nack Tirox T4.0 CPC NDR
特徴 カーボンレール ステンレスレール クロム合金レール 座面のグリップ向上 通常のパッド+3mm

レールは3つのうちいずれかですが、表面加工とパッド量については“DIMENSION NDR CPC TiroX”など複数の特徴が組み合わさって長い名前のモデルも。
どれを選ぶか迷うところですが、特にCPC加工はPrologoならではのグリップテクノロジーで、ハイケイデンスでもブレないペダリングを実現したいピュアレーサーにとっては魅力的なオプション。
このように自分の乗り方に合う特徴があれば試す価値の高いモデルが揃っています。

Prologo主要ラインナップ

モデル Dimension
Nack
Dimension
CPC Nack 
Dimension
Tirox
Dimension
CPC Tirox
幅(mm) 143 143
143 143
重量(g) 149 159 179 189
税抜価格 ¥28,000 ¥32,500 ¥14,800 ¥20,500
特徴 ・ラウンド
・カーボンレール
・ラウンド
・カーボンレール
・CPC加工
・ラウンド
・ステンレスレール 
・ラウンド
・ステンレスレール
・CPC加工
購入リンク Amazon Amazon  Amazon  Amazon

③ Fizik – フィジーク

Fizikショートサドル

スマートなデザインとラインナップ

Fizikはデザイン性の高い2種類のショートサドル「VENTO ARGO(ヴェント・アルゴ)」「TEMPO ARGO(テンポ・アルゴ)」を展開。

「VENTO」はレーサーモデルで、パッドは薄く、前傾姿勢でペダリングがスムーズに行えるようにノーズが湾曲しています。
対して「TEMPO」はエンデュランスモデル。より骨盤を立てたアップライトなポジションに合うように、後部に厚めのパッドを配し、ノーズはストレートになっています。

いずれもカーボンレールの“R1”と、キウムレール(Fizikオリジナルの金属レール)の“R3”の2グレードから選択可能。

Fizikラインナップ

  Vento系  Tempo系 
モデル Vento
Argo R1
Vento
Argo R3
Tempo
Argo R1
Tempo
Argo R3
幅(mm) 140/150 140/150 140/150 140/150
重量(g) 176/186 213/220 195/202 229/235
税抜価格 ¥22,200 ¥15,800 ¥21,600 ¥15,200
特徴 ・ラウンド 
・レーサー用
・カーボンレール
・ラウンド 
・レーサー用
・キウムレール 
・ラウンド 
・エンデュランス用
・カーボンレール 
・ラウンド 
・エンデュランス用
・キウムレール  
購入リンク Amazon Amazon Amazon Amazon

④ Supacaz – スパカズ

SUPACAZショートサドル

カラーバリエーション&価格の魅力

色とりどりのバーテープで有名なSupacazがリリースした初めてのサドルはショートノーズ「Ignite Ti(イグナイト)」。
モデルは1種類のみですが、カラーラインナップが14種あり、バーテープと揃えたコーディネートが可能なところがとても魅力的。
全体的に柔らかめのフォームが配されていて、エンデュランス系のライド向きです。求めやすい価格もGood。

Supacazラインナップ

モデル Ignite Ti Saddle
幅(mm) 143/155
重量(g) 255/266
税抜価格 ¥13,700
特徴 ・フラット
・チタンレール
購入リンク Amazon

⑤ Bontrager – ボントレガー

Bontragerショートサドル

ロードでもグラベルでも使える高い柔軟性

Specializedサドルのヒットに呼応するように、TREK傘下のBontragerもショートサドル「Aeolus(アイオロス)」を2019年にリリース。

左右に分割されたシンプルな形状は、股やお尻にかかる圧迫感を軽減するだけでなく、とてもスマートな印象。TREKバイク以外に取り付けても違和感のないデザインです。
また、この形状とノーズ先端まで伸びたレールによって、しなりを生み振動吸収性を高める効果も。

レール素材によってPro/Elite/Compの3種に分かれ、Proだけは座面が固めの仕様。

Bontragerラインナップ

モデル Aeolus Pro Aeolus Elite Aeolus Comp
幅(mm) 145/155 145/155 145/155
重量(g) 170/173 219/222 286/289
税抜価格 ¥22,400 ¥13,600 ¥8,300
特徴 ・セミラウンド
・カーボンレール 
・セミラウンド
オーステナイトレール
・セミラウンド
・スチールレール 
購入リンク 公式サイト 公式サイト 公式サイト

⑥ Selle Italia – セライタリア

Selle Italiaショートサドル

オールドファンに応える豊富なバリエーション

サンマルコとともに「世界2大サドルブランド」と呼ばれるセライタリア。1897年創業と古い歴史を持つメーカーは、旧くからのファンに応えるように、既存のシリーズを改良するかたちでショートサドルを展開しています。

ショートサドルがラインナップされているのは以下3つのシリーズ。いずれもレールのグレードや穴あき/穴なしで複数モデルが存在します。

SP-01 分割したサドル後部でペダリングを安定させる中長距離向けモデル
SLR フラットな座面で、最も軽量な短距離向けレーシングモデル
NOVUS ホールド感が高い座面で、着座時の安定性・快適性を高めた中長距離向けモデル

ほかのメーカーと比較すると全体的に値が張る点は老舗ブランドの信頼によるものかもしれません。

Selle Italia主要ラインナップ

  SP-01 SLR
Novus
モデル SP-01
Boost KIT
SP-01
Boost TM
SLR
BOOST KIT
SLR
BOOST
Novus
Boost KIT
Novus
Boost
幅(mm) 130/146 130/146 130/145 130/145 
135/146 135/146
重量(g) 163/166 213/218 132/139 170/175 182/187 235/240
税抜価格 ¥30,000 ¥20,000 ¥32,000 ¥22,000 ¥30,000 ¥20,000
特徴  ・ラウンド
・カーボンレール
・中長距離向き
・ラウンド
・チタンレール
・中長距離向き
・フラット
・カーボンレール
・短距離向き
・フラット
・チタンレール
・短距離向き
・フラット
・カーボンレール
・中長距離向き
・フラット
・チタンレール
・中長距離向き
購入リンク Wiggle Wiggle Wiggle Wiggle Wiggle Wiggle

⑦ gebioMized – ゲビオマイズド

gebioMizedショートサドル

フルームが使う新星サドル

ショートサドルのダークホースとなるgebioMized。もともとはドイツのフィッティング会社ですが、その知見を元にロード用サドルを開発しています。
ラインナップはフラット座面の“Sleak(スリーク)”とラウンド座面の“Area(アリア)”の2種。
gebioMizedのフィッティングにおける知見の高さは、2019年にチームイネオスとテクニカルパートナーシップを結んでいることからも明らか*。

現状オンラインでは購入できませんが、国内でも一部の店舗で取り扱いがあるので、フルームなどイネオスの選手にあやかりたいサイクリストは試す価値のあるモデルです。

*参考:Team INEOS公式アカウントのツイートより

gebioMizedラインナップ

モデル Sleak Area
幅(mm) 135/145 135/145
重量(g) 230/241 236/242
税抜価格 ¥22,000 ¥22,000
特徴 ・フラット
・チタンレール
・ラウンド
・チタンレール
購入リンク 店頭のみ 店頭のみ

 

Appendix. 価格帯別比較表

ハイエンドグレード(¥25,000前後)

メーカー Specialized Prologo Fizik Bontrager Selle Italia gebioMized
モデル S-Works
Power
S-Works
Power Arc
Dimension
Nack
Vento
Argo R1
Tempo
Argo R1
Aeolus Pro SP-01
Boost KIT
Novus
Boost KIT
Sleak Area
幅(mm) 143/155 143/155 143 140/150 140/150 145/155 130/146 135/146 135/145 135/145
重量(g) 159/161 141/145 149 176/186 195/202 170/173 163/166 182/187 230/241 236/242
税抜価格 ¥26,000 ¥26,000 ¥28,000 ¥22,200 ¥21,600 ¥22,400 ¥30,000 ¥30,000 ¥22,000 ¥22,000
特徴 ・フラット
・カーボンレール
・ラウンド
・カーボンレール
・ラウンド
・カーボンレール 
 ・ラウンド 
・レーサー用
・カーボンレール
・ラウンド 
・エンデュランス用
・カーボンレール  
 ・セミラウンド
・カーボンレール 
 ・ラウンド
・カーボンレール
・中長距離向き 
・フラット
・カーボンレール
・中長距離向き 
・フラット
・チタンレール
・ラウンド
・チタンレール
購入リンク 公式サイト 公式サイト Amazon Amazon Amazon 公式サイト Wiggle Wiggle 店頭のみ 店頭のみ

ミドルグレード(¥15,000〜20,000)

メーカー Specialized Prologo Fizik Bontrager Selle Italia Supacaz
モデル Power
Expert
Power Arc
Expert
Dimension
Tirox
Vento
Argo R3
Tempo
Argo R3
Aeolus
Elite
SP-01
Boost TM
Novus
Boost
IgniteTi
幅(mm) 143/155/168 143/155 143 140/150 140/150 145/155 130/146 135/146 143/155
重量(g) 233/235/238 243/256 179 213/220 229/235 219/222 213/218 235/240 255/266
税抜価格 ¥15,000 ¥15,000 ¥14,800 ¥15,800 ¥15,200 ¥13,600 ¥20,000 ¥20,000 ¥13,700
特徴 ・フラット
・チタンレール

・ラウンド
・チタンレール

 ・ラウンド
・ステンレスレール
・ラウンド 
・レーサー用
・キウムレール 
 ・ラウンド 
・エンデュランス用
・キウムレール  
・セミラウンド
・オーステナイトレール 
 ・ラウンド
・チタンレール
・中長距離向き
・フラット
・チタンレール
・中長距離向き 
・フラット
・チタンレール
購入リンク 公式サイト 公式サイト Amazon Amazon Amazon 公式サイト Wiggle Wiggle Amazon

* * *

サドルは個々の相性の問題が大きく、どのモデルがおすすめということは断言することができません。ただショートモデルだけでもこれだけの数があるため、サドル沼から連れ出してくれる運命のモデルは必ずどこかにあると思います。

ことショートサドルに関しては、僕自身も周囲も「導入して良かった」と感じるケースがほとんど。
ショート未経験の方はぜひ試してみて、最終的に良いサドルと巡り合えることを願っています。

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