自転車と小さな冒険。僕らのバイクパッキング<白馬・前編>

白馬バイクパッキング前編

コロナ禍では自転車のスタイルが多様化の方向へ向かおうとしています。リアルのレースやイベントがほとんど開催できないこともあり、多くのサイクリストが自分で目的意識を持って自転車の楽しみ方を見つけるような前向きな変化。世の中と同じように、自転車界もなにか今までとは違うフェーズに入っていることを感じます。

僕たちも、以前から「ロードバイク」という名前に連想されるイメージとは少し違う楽しみ方を取り入れてきましたが、もっと自分たちがやったことのないベクトルの走りを試したい気持ちがここ1年で強くなっています。

自転車界からは「グラベルバイク」「Eバイク」という新しい自転車カテゴリの提案はありますが、そういったバイクのセールスありきのものだけではなく(それも必要なものだけれど)、Love Cyclistでは“自転車遊び”に立ち返った体験を見せられればいいなと考えています。

こうしてスタイルが多様化していけば、自転車の間口が広がるかもしれないし、速くてもそうでなくても構わない優しい世界がもっと普通になるかもしれない。

今度はどんなライドをしようかと考えていたときに、Peloton de Parisから「新しいバイクバッグが出たから、これで走ってきてみないか?」という提案をもらいます。

ちょうど新しいスタイルを試したいと思い始めた時期。すぐにメンバーを集めてバイクパッキングライドの計画を立てました。

Text/Tats
Photo/Tats, Rin, & Riku

*本企画はPeloton de Parisのサポートを受けて行っています。

いつものライドの延長上に

必要最低限のものだけを持って自転車でツーリングをするバイクパッキング。
自転車の旅は、これまではツーリングバイクに乗るのが一般的でしたが、ロードやグラベルバイクと比べるとポジションやスピードは全く異なるものでした。ここ数年で多くのサイクリストがバイクパッキングをするようになったのは、ロードやグラベルロードに太いタイヤが装着されるようになったこと、そしてバイクパッキング用バッグのラインナップが増えたことで、普段のライドの延長上にツーリングが楽しめるようになったことが大きな理由のひとつ。

僕たちもこのライドでやりたかったのは、気の置けないメンバーといつもの感じで走ること
大事なのは自分たちのパッキングの障壁を上げないことで、ちょっと違うのは“お楽しみ”をバッグに詰めることだけ。あまり小難しくせず、できるだけ新たな機材を買い足さなくていいバイクパッキング。

車から自転車を降ろしてバッグをセット

選んだステージは白馬。車や人通りを気にすることなく、山も休憩もちょっとしたグラベルも楽しめるコースを引いて走ります。

バイクパッキングスタイル① Rin

フラットバー×Tシャツの心地良さミックス

気楽にいきたい1日にRinが選んだのは、いつものTarmacではなくフラットバーロード。そしてジャージではなくTシャツ。「Atlas メリノTシャツ」は速乾性が高く、ライドで汗をかいてもすぐにさらさらになる。大きなフロントキャリアバッグにがっつり荷物を載せて。

Tシャツ: Atlas Merino Cycling T-shirt Khaki €69.95、ビブショーツ: Recon Black Cargo Bib Men €165、サドルバッグ: Saddle Bag Tool Roll €39.95、トップチューブバッグ: Top Tube Bag 0.8L €70/Peloton de Paris、フロントバッグ/私物

 

はじまりの山、白沢峠

最初に目指すのは、標高1100mから後立山連峰を一望できる白沢峠(距離7.7km/獲得標高404m)。

麓の日差しは都内と変わらず強く、踏むたびに汗が染み出してくる。
知らない道を走るときの高揚感は遠出する醍醐味。最初からテンション上げ気味になる。

白沢峠の道のりとなる国道406号線は、白馬から高崎市まで繋がる道路。途中道幅が狭く少し荒れているところもあるけれど、この日は車通りもほとんどなく全体的には走りやすい。

初めての峠で、しかもほとんど人と出会わない道は、タイムを気にすることなく登りそのものがただ楽しめます。

30分ほど自転車を担いで登ると(担いでない)、頂上のちょっとした展望台に到着。
斜度はそれなりにあるものの苦しさはほとんどなく、ずっと登っていたくなる「ゾーン」に入った峠でした。

白沢洞門から覗く北アルプス後立山連峰。この日は厚い雲がかかって完璧に稜線が見えたわけではないけれど、それでも3000m近い山々の存在感が、離れた位置にいる僕たちを圧倒してくる。

しばらく後立山連峰と一緒に、最初のヒルクライムの余韻を感じながら過ごします。

バイクパッキングスタイル② Hiroki & Mei

機動性と積載量を両立したロードスタイル

MeiとHirokiは、いつものロードに大容量サドルバッグ(7リットル/13リットル)とハンドルバーバッグ(2リットル)を組み合わせ。大抵のものはこの中に全部入る。ウェアはミニマムなジャージだから、いつも走っている感じと大きく変わらない。綺麗に整備されている日本の道路はこのスタイルでも十分。

【Hiroki】ジャージ: Recon Ochre – Recon Jersey SS €125、ビブショーツ: Sprinteur Black Bib Shorts €145、サドルバッグ: Saddle Bag 7l Black €169、ハンドルバーバッグ: Handlebar bag 2l Black €89.95/Peloton de Paris
【Mei】ジャージ: Recon Ochre – Recon Jersey SS €125、ビブショーツ: Sprinteur Black Bib Women €145、サドルバッグ: Saddle Bag 13l Olive €169、ハンドルバーバッグ: Handlebar bag 2l Olive €89.95/Peloton de Paris

 

舗装路を外れて

登ってきた道を下りながら、ちょっと脇に入ると、どこに続いているかわからない、いい感じの道があったりします。予定にはなかった道もぐいぐい挑戦してみる。

ときには無理せず歩いて

日本ならではのグラベルロード×田園風景

標高の高い地域の天候は不安定で、不意に雨がパラつくことも。でもそのおかげで、夏の熱気が落ち着いて心地よい空気に。暑かったら川にも入ろうかと考えていたけれど、その必要はなさそう。

先を急がない。いつもロードで走っているときとはまた違う時間の使い方になるのは、気持ちもスタイルもラフだから。

突発的にゴールスプリントする競技出身者たち

表情を変えていく景色と自由すぎるメンバーが一緒で、その空間に飽きることがない。

バイクパッキングスタイル③ Riku

シクロクロス×Tシャツのオフロード仕様

ピュアレーサーでもあるRikuは、未舗装路も走ることを見越してシクロクロスバイクを選択。サドルバッグ・トップチューブバッグ・ハンドルバーバッグを取り付け、より走破性の高い組み合わせで。メリノTシャツで抜け感も忘れない。

Tシャツ: Atlas Merino Cycling T-shirt Grey €69.95、ビブショーツ: Recon Black Cargo Bib Men €165、サドルバッグ: Saddle Bag 7l Anthracite €155、トップチューブバッグ: Top Tube Bag 0.8L €70、ハンドルバーバッグ: Handlebar bag 2l Anthracite €89.95/Peloton de Paris

 

ちょっと休憩

お昼は自転車ラックのあるカフェ「GARDEN & CAFE EST A」へ。メンバー以外とは極力接触しない行程を組んでいるため、テラス席を貸し切りランチをいただきます。

サドルバッグに入れていたサンダルに履き替えて息抜き仕様に。こうしてON/OFFの切り替えができるのも良い。

ソーセージピザ

環境に配慮したペレット窯で焼いたピザ。500℃以上の高温で一気に焼き上げてくれるので、外はカリッと、中はモチっと。

早起きして白馬に向かったこともあり、ちょっと眠気が出てきたお昼どき。サンダルに履き替えてリラックスしたから、しばらく何もない時間をだらだらと過ごします。

バイクパッキングスタイル④ Tats

常に撮影モードなオールラウンドコーデ

被写体の前へ後ろへあらゆる角度にまわったり、先行して画になるスポットを探ったり、状況に応じてさくっと移動できるよう装備は身軽に。ハンドルバーバッグとサドルバッグには替えのレンズや三脚、バッテリーなど撮影アイテムを中心に携行。28cのタイヤはグラベルもそこそこイケるオールラウンダー。

ジャージ: Classic Stripe Blue Stone/Pinapple – Domestique Jersey SS €105、ビブショーツ: Domestique Black Bib Shorts €145、ハンドルバーバッグ: Cordel Dürüm Handlebar bag ¥9,900/Peloton de Paris、サドルバッグ/私物

バイクパッキングの醍醐味はこれから

オーソドックスなヒルクライムやグラベルライドで、いつものライドの延長を楽しんだ前編。後編では、よりバイクパッキングの醍醐味を感じるキャンプ遊びへ続きます。

後編はこちら

– Bike Packing Team –
Member/Rin, Riku, Hiroki, Mei, & Tats

Text & Edit/Tats
Photo/Tats, Rin, & Riku

Supported by Peloton de Paris
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