モノづくりの世界には「つくり手半分、使い手半分」という言葉があります。たとえば職人が器をつくったあと、使い手がそれを日常的に使う中で、つくり手の思いを超えたものになっていくことがある。
それは自転車も同じことだと思っていて、僕たち使い手は、渡された「半分」を自分なりのスタイルで埋めることができる。今回のバイクパッキングは、その半分を使って好きなように遊ぶ企画。
前編ではオーソドックスなヒルクライムやグラベルライドの様子をお届けしましたが、後編ではよりバイクパッキングの醍醐味を感じるキャンプ遊びへ向かいます。
動画もあるよ
Text/Tats
Photo/Tats, Rin, & Riku
Movie/Mei
*本企画はPeloton de Parisのサポートを受けて行っています。
キャンプの前に、もうひと山
「あの山の上まで行くよ〜」
せっかく白馬に来たのだから、たくさん山に登りたいよね。ということで白沢峠に続いてもうひと山、小熊山パラグライダー場まで(距離8.0 km/獲得標高561m)。
白沢峠とコースプロファイルは似ていますが、全体的に斜度は高め。序盤の道は細く荒れているため、路面を見ながら進みます。
道中ではカモシカやサルなどにも遭遇。「小熊山」という名前の通り熊も生息しているため、野生動物の気配には注意します。人よりも動物に会うことの方が多い道。
補給はPOW BARで。
補給食は、北海道ニセコ発の国産エナジーバー「POW BAR」。今シーズンLove CyclistはPOW BARからサポートを受けることになりました。
POW BARは白砂糖・添加物・動物性食品を使っていない自然素材由来の味。過去の記事にも書いたように、もともとPOW BARが大好きで、ライド中だけでなく在宅中もつい食べてしまうほど群を抜いて美味しいエナジーバー。ジャケ買いしたくなるパッケージ含めて、自転車×ライフスタイルを大事にしたい僕たちにちょうどフィットしている補給食です。
10%を超える斜度が続き、眺望はほとんどない道のり。本来はつらいはずだけれど、変化の多いコースプロファイルは8kmのヒルクライムをあっという間に終盤へ運びます。
頂上で一気に展望が開ける
バイクバッグ① ハンドルバーバッグ
普段使いもできる基本スタイル
もうすべてのサイクリストの必須アイテムと言っても過言ではないハンドルバーバッグ。容量が多く手元でサッと取り出せるので普段のライドでも常用しています。
防水生地とジッパーで雨が降っても中身は平気。サイドポケットに補給食を入れ、バッグの前面にある伸縮性のあるコードは、レインジャケットやジレを挟んでおくのに最適。また左サイドはベルクロ素材で、ワッペンを貼ってデコレーションまでできる。
Handlebar Bag 2l Lightweight €89.95
天空を見晴らして
天空に浮かぶパラグライダーと、木崎湖の静かな湖面。ここまでずっと木々に覆われていた道中との対比が鮮やか過ぎて、しばらくはため息しか出ない。
勇敢に飛んでいくパイロットたちを遠くから見守る
キャンプでゆったりするのが一番の目的だけれど、その前に山を登ってしまうのはサイクリストだから。ある程度ガッと走った方が、休憩を含めた1日の満足度が100%に近づくことはわかっている。
汗が引いたころ、ここまで登ってきた道を慎重に下ります。
バイクバッグ② サドルバッグ
大容量で旅に出る
バイクパッキングの基本アイテム、大容量サドルバッグ。スタンダードな7リットルと、数日間の旅にも使える13リットルの2種を選択可能。防水性の高い裏地で完全防水を実現。底部は荷物を保護するために補強されていて、簡単に掃除ができるようになっています。何よりカラー・デザインが格好良い。
基本的にサドルバッグには衣類・防寒具・スペアタイヤなど軽くてかさばるものを入れて、ダンシングへの負担を減らします。
7リットル:Saddle Bag 7l €155
13リットル:Saddle Bag 13l €169
まずはドボン
デイキャンプのために向かったのは「木崎湖POW WOWキャンプ場」。サンダルに履き替えると、当然のように全員がそのまま湖へ。
すぐ乾くサイクルウェアは湖水浴にぴったり
気持ち良いことを一番最初に、好きなだけやる。オフのときはそんな刹那的な心持ちがちょうど良い。
行きまーす
先鋒:陸上部出身Riku
次鋒:競泳部出身Mei
Rikuの飛び込みを見た競泳部出身のMeiが、「これが本物の入水だ」と、美しすぎるノースプラッシュ入水で示しをつけます。
跳んで、泳いで、浮かんで──ダイナミックに遊べる湖。
夏はライド中に川に入るのが気持ち良いけれど、これはこれでやりたい放題なのが良い。
果てしなく水遊びをしたら、少しお腹が空いてきました。
バイクバッグ③ ツールロール
スタイリッシュにパンク対応
普段のライド向きの多目的ツールロール。チューブ、タイヤレバー、CO2などを入れてパンクに対応。サドル下にコンパクトに収められるデザインがスタイリッシュ。マグネットバックルで簡単に脱着できます。
Saddle Bag Tool Roll €39.95
ラブサイカフェへようこそ
キャンプ場ではサイトを一区画貸し切っているので、そこで即席のカフェを開業。サドルバッグに仕込んでおいた調理器具を使って、コーヒーとおやつを用意します。
サドルバッグに取り付けていたワイヤードリッパーとマグ
まずはお湯を沸かす
お湯を沸かしている間に、持参した元住吉のコーヒー屋さん「Mui」の豆を手挽きミルでぐるぐる挽いていきます。
挽き終わったらドリッパーに豆をセット。Peloton de Parisのマグが可愛すぎて、キャンプの雰囲気にぴったり。
ドリップするときは、チタンマグに「ワイヤースキッター」を取り付けてお湯を注ぎます。ドリップケトルまでとはいかないけれど、ポタポタと注ぐ湯量を細かく調整できるようになるので、荷物を減らしたいアウトドアでは重宝します。
コーヒーを入れている間に、ホットサンドメーカーを使っておやつ作り。
焦げ目が良い感じ〜
ライドに生モノは持ち運べないので、メインのおやつは「ランチパック」。これをホットサンドメーカーで両面1〜2分ずつ温めると、良い感じに焦げ目がついて本格的なホットサンドに変貌。ただ温めただけで、ランチパックが3倍美味しくなる。
コーヒーとホットサンドでおやつ時間
2回目のドリップをするバリスタRin
基本的に各々が好きなように過ごすメンバーなのでサイト内はとっ散らかりますが、走るときは一緒に走って、バイクから降りたときは勝手気ままに過ごす距離感がちょうど良い。
サンダルに履き替えたキャンプ遊びは、これまでのソールの硬いシューズによる縛りから開放され、それぞれの「サイクリスト以外の面」が現れます。
最後はゴミの片付けをして帰路へ
バイクバッグ④ トップチューブバッグ
さっと取り出し、さっと補給
ジャージのバックポケットにモノを詰め込みたくないときに、トップチューブバッグは最適な容量と位置。
財布、スマホ、補給食などをいれるのに最適。サイドポケットには補給し終わったエナジーバーの包み紙をさっと入れて。
自転車遊びを追求する。
2〜3年前までロードに乗るときに先行していたのは、ウェアはタイトじゃなきゃいけないし、バイクはなるべく軽くした方が良いという気持ち。でも少しずつ、そんな枠組みが自分のスタイルを狭くしているんじゃないか、と考えるようになっていきます。ちょっとラフでもいいし、バイクも重くなったっていい。そこから別の楽しみ方ができるなら、試してみないと損だな、と。
それは今回の企画でも強く実感します。普段からガチガチにトレーニングしているわけではないけれど、こういう走り方もできるなら、いつでもスタイルを切り替えるのは簡単なんだなって。
ロードバイクは一歩引けば自転車の一種に過ぎないし、あえて自転車を変えなくてもウェアリングや外付けバッグによってライドの幅は変えられる。
もちろんこれまで通り純ロード的なスタイルも楽しみたい気持ちは変わらない。ひとつの趣味の中に、複数のスタイルを掛け持つような幅が許されるのが自転車というカテゴリ。
どれも僕たちにとっては「自転車遊び」だから、“使い手半分”の部分を好きなように考えて、これからもその幅や深みを探求していきたいな、と思います。
– Bike Packing Team –
Member/Rin, Riku, Hiroki, Mei, & Tats
Text & Edit/Tats
Photo/Tats, Rin, & Riku
Movie/Mei
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Supported by Peloton de Paris
Special Thanks to POW BAR