【プロダクトレビュー】Suplest ROAD PRO:走りへ駆り立てる、次のレベルのロードシューズ。

Suplest Road Proレビュー

以前から好きだったSuplestが日本に再上陸した。しかも最新モデル『ROAD PRO』は大きく進化を遂げているらしく、先んじて試着した仲間から「高いけれど履く価値がある」と聞いていたので、試すのが楽しみだった。
その後手元に届いて1ヶ月使ってきたので、実際の使用感を詳しくレビューする。

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photo / Rin@f430_lisa_

1. スペック

Suplest(スープレスト)」は、2007年にスイスで設立されたシューズ専門ブランド。シューズでライド体験そのものを進化させることを理念にハイエンドモデルを製造している。

プロチームでは、カンチェラーラが率いる「TUDOR プロサイクリングチーム」をサポートするほか、パリ五輪代表の梶原悠未選手や小原佑太選手が履いている。

日本では2012〜2016年の間ゼータトレーディングが代理店だった。その後撤退し、Suplestを国内店舗で入手する手段はほとんどなかったが、2025年から新たに井元産業が代理店となり、精力的に販路を広げている。

Suplest ROAD PRO(¥72,000)

ROAD PRO』は、同ブランドのフラッグシップモデルで、世界トップクラスのレーサーのニーズに応えるために開発されたロードシューズ。特にフィット感と剛性を高めるために、さまざまなテクノロジーが組み込まれている。

ROAD PROスペック

アッパー素材 3Dメッシュ+TPUコーティング(サンドイッチ構造)
アウトソール(合成指数) ERGO 360°カーボンソール(10/10)
クロージャー BOA® Fit System Li2
ヒール ERGO 360° 3Dヒールキャップ
インソール ERGO 360° SOLESTARインソール
重量 272g(42サイズ)
国内展開サイズ 39〜44(42.5のみハーフサイズあり)
カラー BLACK / OFF WHITE / WHITE
発売日 2024年12月
価格 ¥72,000(税込)

カラーはブラック/ オフホワイト/ ホワイトの3色展開

 

2. 導入の目的

Edge3 pro 着用イメージ6

Suplestを履くきっかけとなった2018年のMAAPコラボシューズ

7年前にMAAPとコラボしたシューズ『Edge 3 Pro』を履くようになってからSuplestフリークだった。当時からスタイルもフィット感も飛び抜けて優れ、所有する喜びは格別だった。

この時すでに代理店は撤退していたので、その後発売されたモデルも個人的に直販で購入していたが、ほかのブランドの台頭もあってSuplestはしばらく疎遠になっていた。が、2025年に新しい代理店によって再上陸。ちょうど昨年新モデルが出たタイミングなので、ぜひまたSuplestを使いたいと思った。

これぞ機能美というデザインが素晴らしい

新モデル『ROAD PRO』はデザインが大きく洗練され、以前のモデルよりシャープに。決してミニマルではないが、なぜ各パーツがこのようなデザインに至ったかのかをロジカルに把握できる機能美と、ウェア合わせしやすい最新のスタイルを兼ね備えている。

つくりが非常に綺麗なROAD PRO

使う前にROAD PROを手に取ったとき、シューズ自体のつくりが非常に綺麗だと感じた。代理店に品質管理について確認したところ、ROAD PROは台湾の名のあるシューズ専用工場でつくられているという(誰もが知るトレラン界のトップブランドもいくつか手掛けている)。長く使うためにも、こうした品質の高さがパッと見てわかるのは嬉しい。

インソールを外すとそのつくりの良さが顕著にわかる

 

3. Pros/Cons

ヒルクライムやロングライドなどさまざまな環境でテスト

Pros

足にフィットさせる4つの工夫がすごい

このシューズはかなり細かい点まで工夫されるので、ひとつひとつ見ていくと本当に面白い。

①アナトミック・ラップで甲が包まれる:“アナトミック・ラップ”という 2枚のアッパーが折り重なる構造は、旧来からSuplestシューズが持つ特徴のひとつだった。普通のシューズはタンを左右から被せる構造だが、Suplestは外側の長いアッパーが足の甲全体を多い、内側の短いアッパーでそれを被せている。この構造は足の甲を丸々包み込まれている感覚にさせる。この感覚がずっと好きで、新モデルもそれは変わらない。

2枚が折り重なって甲を包むアナトミック・ラップ

②カーボンシールドで甲の負担が消える:アッパーに配置されるカーボンシールドもSuplestシューズの特性で、足の甲に食い込んでくるBOAワイヤーの圧力を分散させる。LAKEのように柔らかいアッパーにそのままワイヤーをあてるシューズは、甲のせり上がった箇所に圧がかかることを感じるが、カーボンシールドが存在することで圧が分散されて自然なフィット感になる。日本人の甲高な足型ほどその恩恵を受けられる。

ちょうどワイヤーが当たる部分にカーボン素材を配置

③フレックスゾーンが親指&小指に優しい:アッパーは全体的に硬いが、親指と小指部分だけ柔らかくなっているフレックスゾーンが非常に効果的。シューズは特に小指が当たって痛いというケースが多いが、踏んで圧がかかったときに末端に負担をかけないことがわかる。だから僕のような幅広の足に無理なくフィットするし、ペダリングしていても自然な感覚になる。

柔軟性がある末端部分のフレックスゾーン

④Solestarインソールが薄くなった:SuplestはSoletarと2016年から提携していて、従来のモデルもSolestarインソールが付属してきた。本モデルには、改良されたオリジナルのSolestarインソールが入っていて、アーチ部分のサポートが旧モデルよりも弱くなっている。これまでのアートサポートが、一部のライダーにとって硬さや痛みの原因となることがあったためだ。
個人的には旧モデルでも問題はなかったが、改良版でも足の安定性は問題なく、むしろ良くなっている。ラスト(靴型)が良いからなのか、シューズ全体のフィット感が増したことでインソールに依存する部分が少なくなったように感じる。

アーチ部分が改良されたインソール

硬いアッパーなのに疲れない

アッパー自体はレース仕様なだけあって硬い。最初に履いたときは、個人的にはBONTのシューズを想起させた。ガチガチで足に余裕を与えない感じ。だから履いているうちに疲れるかと思ったが、走ってみるとそんなことは全然なくて驚きだった。履いただけではわからなかったが、部位ごとに素材が細かく使い分けられているのがペダリング動作で効いてくる。がっちりホールドされていて、踏み続けられるのに疲れない。
これまではどちらかというとアッパーは柔らかめが好みだったが、硬いアッパーが良いと感じられる日が来るとは思わなかった。

蒸れにくいのが良い

暖かくなる日も増え、汗を垂らしながら山を登る季節になってきたが、そんな場合でも足元は不快にならない。インソールに使われるEPP(発泡ポリプロピレン)は非常に軽量な素材で、熱や湿気を適切に逃がす特性があるもよう。

総じて、踏みやすいしずっと使える

アウトソールの剛性も高く、走っている間はその感触の良さに足元の喜びを感じざるを得ない。「パワー伝達効率」と「快適性」という相反する要素をよくここまで落とし込めたものだなと、その特性を感じるだけでライド中に胸が踊る。

Cons

歩行には向かない:アッパーが硬いため、歩行が多いライドでは足首が疲れる。あくまでライド体験を極限まで高めることに特化したスペックなので、撮影などバイクから降りることの多いライドではSPD系シューズを使うようにして、用途を分けている。

長時間歩くとアッパーが当たって甲の付け根が痛くなる

乗車中の使用感では特に弱点は見当たらない。価格は確かにデメリットと言えるかもしれないが、最初からハイエンドシューズを求めるサイクリストにとってそこは大きく悩むポイントではないだろう。

 

4. サイズ選び

42サイズを着用している。ほかのブランドの適合サイズは、Specialized42、LAKE41、Nimbl42、Udog41、Shimano41。足形は甲高・幅広の典型的な日本人型。

※サイズ確認の方法は「SIZE FINDER」を参照
※試着したいときは「取り扱いショップ一覧」を参照

Suplestはオンラインでも購入できるが、サイズ交換したいときは、「返金ポリシー」を参照する。記事公開時点(2025年3月)では、“シューズのサイズが分からない場合、2足ご購入いただき、合わなかった方を送料着払いでご返送いただけます”とある。

※クリート部分の保護シールを剥がすと返品・交換不可となるので注意

 

5. 結論

Suplestにしかできないアイデアが詰まった設計と最新のテクノロジーを掛け合わせ、次のレベルに到達したシューズ『ROAD PRO』。
ROAD PROの履き心地と踏みやすさを知ると、積極的にこれを履いてライドしたくなる。何年経っても、やっぱりSuplestが好きだ。
再上陸したSuplestが与えるレーシーな走りの楽しさを、ぜひ体感してみてほしい。

Suplest ROAD PROを購入する(公式サイト)

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著者情報

Tats Tats Shimizu@tats_lovecyclist
編集長&フォトグラファー。スポーツバイク歴11年。ロードバイクを中心としたスポーツバイク業界を、マーケティング視点を絡めながら紐解くことを好む。同時に海外ブランドと幅広い交友関係を持ち、メディアを通じてさまざまなスタイルの提案を行っている。メインバイクはStandert(ロード)とFactor(グラベル)。

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