パンチャーのように緩急で攻める。
サイクルウェアのおしゃれな海外ブランド第3弾で紹介した英国の“This Is Cambridge”。
ポップアートのようなヴィヴィッドなカラーを展開するブランドが、SS18で新たに生まれ変わったラインナップを発売しました。
どれも輝く太陽に合うプレイフルなスタイルで、思わず「かわいい!」という言葉が出てしまうほど。
その中から素敵なジャージを提供いただいたので、詳しくレビューしていきます。
This Is Cambridgeが掲げるもの
”This Is Cambridge”は「サイクリングにおいて男性・女性の区別はなく、そこにあるのは“我々”だけ」というニュートラルジェンダーをコンセプトに掲げ、このブランドウェアを制作しています(そのためメンズ/ウィメンズは共通のラインナップ)。
そして「目立ちたいと考えるサイクリストのためにデザインされたウェア」は見るからにずば抜けた個性。
また創設者Daphne Kaufholdは5年前に交通事故に遭って以来、「慢性疼痛」に悩まされています(英国で7人に1人、日本でも5人に1人が患っているとされる)。そのひどくつらい痛みに対しては、サイクリングのような有酸素運動が緩和ケアになることが研究でまとめられています。
彼女はticブランドを通して、同じように慢性疼痛に苦しむ人たちにサイクリングによるセルフケアを促進するような運動をしています。
そのことを思うと、この鮮やかな色彩のデザインは、ただ目立ちたい人のためだけでなく、慢性的な痛みに悩む人を積極的にサイクリングへと誘う効果も意図してのことではないかと思います。
そういったコンセプトは、少なからず何かしらの病気を抱える(であろう)僕らにとって、海を越えて励みを与えてくれるものだと感じます。
New Puncheur Jersey
Puncheur Short Sleeve Jersey – Black & white(£96.00)
今回レビューするのは、白黒コントラストのはっきりした大小のドットに、丸くてかわいいロゴのピンクがアクセントとなった素敵な「パンチャージャージ」。
“機能性の高いイタリアの生地を使い、パフォーマンスを引き出すために徹底的にテストして作られた”というコピーが実際どのように実現されているか見ていきたいと思います。
着用イメージ
サイズ:S(身長177cm/胸囲86cm)
ticのウェアは、着る前は派手すぎるかもしれないと思いますが、着てしまうと意外なほどしっくりくるんです。
その理由のひとつがこのシルエット。
チームにおける「パンチャー」という脚質を冠したこのウェアは、ただドット柄が可愛いだけでなく、その名が示すように、強い攻めの姿勢を持ったアグレッシブカットになっています。
タイトなおかげで膨張しがちな派手な柄も引き締まって見えるため、遊び心と攻め心がすごく絶妙なバランスで調和します。
ディティール
袖は長く、肘の手前まで伸びています。
切りっぱなしの袖口(これはエアロ系ジャージのスタンダードですね)は腕のラインを凹凸なく延長するので、滑らかで気持ち良い。特に長い袖でこの設計は、見た目もスマートになります。
首のラインに沿うように丸くカットされた襟はカラーレスと言えるほど低く、空力のパフォーマンスだけでなく首のラインを綺麗に見せる効果も。
首元が締め付けられることもないので、常にジッパーを上げてエアロな状態をキープできます。
ジッパーの裏にはピンクのジップガードが貼られていて、デザインアクセントに。
このジャージの場合、走行中にジッパーを下ろすことはほとんどありませんが、休憩中のチラ見せポイントになります。
“もっと高く、もっと遠く、もっと速く” ── 柔らかい丸ゴシック体でしれっとストイックな言葉を発するドS感に惚れる。そう、こういう精神がロードバイクの乗ることの旨味成分のひとつであることを、僕らはずっと前からわかっているんです。
生地はポリエステルとポリウレタンの混紡でつるつるな肌触り。イタリア製の品質は、着心地もざらつきがなく気持ちが良い。
脇部分はメッシュ地で通気性を考慮。
縫製も、フラットロックステッチやバックポケットを補強するパッチなど丁寧な仕上がりです。
バックポケットはスタンダードな扱いやすいつくりで、右側だけちょっと工夫が。
裏側に防水シートが貼られていて、簡易的な防水ポケットになっています。ここに入れるとモノが蒸れなくなるので、ハンカチやスマートフォンを素で入れるときなどに最適。
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パフォーマンス重視で作られた設計であることは、ライド中にもはっきり感じられます。
袖口や襟がぴったり身体に沿っているので、空気は一切ジャージの内部に侵入しないように。だからバタつきが起きず、ストレッチ性の高い生地でどんな深い前傾姿勢でもストレスなくペダルを回し続けることが可能。
そして速乾性の高い生地と脇のメッシュで、30℃近い気温でもがいても、熱がこもることなく爽やかにライドを続けられる機能性の高さも持ち合わせています。
ticの世界観を固定するアームウォーマー
アームウォーマーもセットの柄で。左右で柄が異なるのが面白いデザイン。
S・M・Lの3サイズ展開で、かつタイトな設計なので、僕のように腕が細くてもピッタリフィットするようになっています。腕周りを計測して、サイズガイド通りに選択すればサイズを間違うことはありません。
ドットが腕まで行き渡ると一気にデザインの遊びゴコロが拡大します。
起毛した厚手の生地で、早朝やダウンヒルなど、10℃台の冷えるタイミングで充分に活躍できる暖かさです。
「tom’s cycling」のふたりも、tic。
最近注目の「tom’s cycling」の爽やかなふたりも、ticジャージをペアで素敵に着こなしています。
ticならではのヴィヴィッドなテイストは、色の吸引力があって、男女問わずとても可愛いですね。
シルエット・素材感など、ジャージに対する感想も僕に近い感じ方。動画でわかりやすくお話されているのでぜひご覧ください;)
ふたりの着用サイズ
(ジャージのサイズと着用感をお聞きしました)
TOMIさん:胸囲90cmでMを選択。サイズガイドより1サイズアップしていますが、それでもややぴったりめ。ただストレッチ性が高いため全く問題なく着られています。
YOPIさん:身長156cmの細身でXSを選択。ちょうどよく着られています。
※個人的にも1サイズアップで丁度よいと感じます。公式サイトにも記載がありますが、極端なアグレッシブフィットをを望まない限り、サイズガイドから1サイズ上げることをおすすめします。
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ギャップを最大限に楽しむ。
可愛い外観と裏腹に、つくりは究極なほどレーシー。このギャップ、本当にすばらしい。
ただ可愛いジャージは「可愛い」という感想だけで終わってしまいますが、ロードサイクリングにおいてパフォーマンスを出すことまで考えると、ここまで振り切ったスタイルにすることで、可愛さだけでなく、着ている本人の格好良さもさえ引き出すポテンシャルを持ち合わせています。
そのギャップをうまくライドで表現できる小粋な無邪気さを身につけるべく、ticのウェアをめいっぱい楽しんでいきます。
ticのウェアを購入する
tic公式サイト(メンズ/ウィメンズ)