Text by Ryuji(@marusa8478)[PR]
ZWIFT(ズイフト)をはじめとするバーチャルライドサービスが普及して以来、オンライン上で仲間とライドを楽しむことは一般的になりました。
また現在は、コロナウイルスによってライドの在り方が見直され、これまで実走派であった人もバーチャルライドへの参入を検討されている方が多いかと思います。
とはいえ、ZWIFTを最大限楽しむためにまず必要となってくるのは、高価なスマートトレーナー。ハイエンド機は一般的に15〜20万円とかなり高額で、検討段階では各メーカーのスペック表を見て、価格とスペックの折り合いに頭を悩ませることになります。
2018年にxplova(エクスプローバ)がリリースした『NOZA』は、ダイレクトドライブ方式の高性能なスマートトレーナーとしては、定価¥88,000という破格の価格設定で大きなインパクトを与えました。そのNOZAがモディファイされ、2020年に『NOZA S』(定価¥98,000)として登場。
昨今進化のスピードが著しいスマートトレーナーの中でも、真新しいNOZA Sの実力を詳細にインプレッションします。
*本レビューで使用するNOZA SはNCD(xplova日本代理店 日本コンピュータ・ダイナミクス株式会社 以下NCD)から一定期間貸与されたもので、レビューはLOVE CYCLISTオリジナルの中立的なものです。
レビュアー Ryuji
基本的には外を走ることが好き。これまで何度かローラー台を所有しては、その退屈さに嫌気がさしてやめてしまったローラー三日坊主。今回バーチャルライドを本格的に体感して、スマートトレーナーが本気で欲しくなっている。
1. スペック&前モデル比較
spec.
サイズ | 593.4×514.5×465.15㎜ |
重量 | 17㎏ |
最大対応出力 | 2500W |
最大シュミレーション斜度 | 18% |
フライホイールサイズ | 20.5㎝/5.9kg |
パワー計測精度 | +/−2.5% |
ファームウェア | アップデート対応 |
接続 | ANT+、Bluetooth、ANT+FE-C |
対応エンド規格 | QR*: 130㎜/135㎜ TA*: 12×142㎜/12×148㎜ |
定価 | ¥98,000(税抜) |
*QR=クイックリリース、TA=スルーアクスル
静音性に優れるダイレクトドライブ方式を採用する『NOZA S』は定価10万円を下回りますが、最大対応出力や最大シュミレーション斜度、パワー計測精度などのスペックをメジャーブランドのハイエンド機と比較しても大差なく、非常に高いコストパフォーマンスを誇っています。
スペック比較は以下の記事も参考にしてください。
前モデルからの改良ポイント
・フライホイールの大型化(17.5㎝/5.7kg→20.5㎝/5.9kg)とカバードデザインによる安全性の向上
・前側脚部の高さ調整機構の最適化
・ベルトとプーリーの改良による静音性の向上
見た目には前作と大きな違いがあるようには見えませんが、フライホイールのアップデートを始め、細部にまで改良がなされています。
2. セットアップ
それでは実際にセットアップしてみます。
本体は大きな段ボールに梱包され、本体部分と前後の脚部が組み立て式となっています。付属の六角ナットのサイズに合った工具も同梱されているので、組み立て自体は簡単。
脚部を組み立てたら、自分のロードバイクのエンド規格に合ったアダプターに付け替え、自前のスプロケットを装着します(10速用スペーサーも付属されています)。
そしてバイクをセットしていきます。
一般的なトレーナーの場合は、バイクの前輪を持ち上げるライザーが必要ですが、『NOZA S』の場合は前脚の高さが調整できるので基本的には不要です。
最後に本体右側にある接続口にアダプターを接続し、上部のランプが青く光ればセット完了です。
NOZA Sセットアップの詳細はこちら
3. 静音性
インドアライドを始めるにあたっては、まず何よりも騒音の問題が立ちはだかります。
ホイールを介して駆動させるクラシックタイプのトレーナーのほとんどは、集合住宅のような家では耐えられるレベルの音量ではなく、僕のライド仲間でも家族や近隣への影響を考えて導入を諦めてしまう人がたくさんいたと記憶しています。
しかしバーチャルライドサービスの登場とともにローラー台は急速に進化し、ダイレクトドライブ式のローラー台が登場したことで、静音性は飛躍的に向上しました。『NOZA S』もダイレクトドライブで稼働するため、前作も含め静音性には定評があります。
またスペック値では前作同様58db(30km/h)とされていますが、ベルトとプーリーの改良により前作よりも空転時のラチェット音がさらに静かになった印象です。
NOZA S実走動画
00:15あたりで250W-300W、00:35あたりで700W-800Wを出しています
室内にほとんど家具がないこともあって少し音響がありますが、チェーンの摩擦音と変速音の方が大きく聞こえるほどで、ローラー台自体の稼働音はかなり静か。
Tacx Neo 2Tとの静音性比較
メジャーブランドのローラー台とも比較するため、知人宅でTacx『Neo 2T Smart』を試乗しました。Neo 2Tの場合はフライホイールの回転数が上がっていくとモーター音のような高めの音が鳴りはじめ、音の静かさという点では完全に『NOZA S』に軍配が上がります。
音とは別に床に対する振動に対しては、マットを敷いた状態あれば、かなり抑えられているように感じましたので、アパートやマンションでも真夜中でなければ、問題なく使用できるレベルにあると思います。
参考:生活音との比較
dB(デシベル)という指標は一般的にあまり馴染みがないため、客観的に評価されている資料から『NOZA S』の58dbがどれほどの騒音レベルなのかを比較します。
60dB | 静かな乗用車・普通の会話・洗濯機(1m)・掃除機(1m)・テレビ(1m)・トイレ(洗浄音)・アイドリング(2m) |
50dB | 静かな事務所・家庭用クーラー(室外機)・換気扇(1m) |
40dB | 市内の深夜・図書館・静かな住宅地の昼 |
58dbは普通の会話や洗濯機の音と同等のレベルとされています。
ただ近隣に与える影響に関しては、日本建築学会の資料によると日本の一般的な住宅の遮音性は20〜30dBとされており、単純計算で『58dB(NOZA Sの騒音)-20dB(住居の遮音性)=38dB』となります。つまり『NOZA S』の58dBというスペックはかなり優秀であることが分かります。
*参照元:騒音の基礎知識(岐阜県環境保全課)
4. 実走感
フライホイール大型化の影響
前作からのアップデートとして一番大きなトピックと言えるのがフライホイールの大型化。
17.5㎝/5.7kg→20.5㎝/5.9kgとなったことで、より大きな慣性が発生し実走感が向上しています。また放熱性のあるカバードデザインとなったことで走行時の安全性も確保されています。
漕ぎ始めは少し重さを感じますが、ケイデンスを徐々に上げていくと、外を走っている時と同じように自然なペダリングをすることができるようになります。
これは、僕がこれまで所有していた小さなフライホイールのクラシックトレーナーでは再現できなかったクオリティです。
放熱性を高めるベンチレーション
10kmほど走行するとフライホイールが熱を持ち暖かくなりますが、今作で改良されたベンチレーションからしっかりと放熱されているのが分かりました。
負荷の再現性
コース内に現れる勾配を再現する負荷の再現性についてもNeo 2Tと比較してみましたが、この点に関しては特に差がなくどちらも至って自然。Zwiftの画面で斜度が上がったり下がったりする時も、リニアに負荷が変わっていき、インドアライドの楽しさを増幅してくれます。
負荷の調節量は、使用するバーチャルライドサービスによってアルゴリズムが異なります。この点について国内輸入代理店となるNCDに確認したところ、今後も積極的にファームウェアのアップデートを行い、Zwift以外のサービスとの親和性も常に高い状態に更新されていくとのことでした。
5. 収納性
セットアップのチャプターでも紹介しましたが、本体は前後の脚部が工具を使った組み立て式となっているため、折りたたみはできません。基本はそのままの状態で据置しておくことになるかと思います。
ただ長期間使用する見込みがないときは、前後の脚を解体して段ボールに入れたあと、クローゼットなどに収納しておくことをおすすめします。
6. 国内のサポート体制
工業製品である以上、どんなメーカーの物でも数千台、数万台に1台は必ず欠陥品があると言われています。いかに高性能な製品を生み出したとしても、アフターフォローがしっかりとされなければユーザーには満足してもらえません。
今回テストする際に、接続方法やファームウェアのアップデートに関してNCDに問い合わせをする機会があったので、一般の人に対するサポート体制についても聞いてみました。
「現在xplovaのサイトは本国のサイトをそのまま日本仕様にしているため、まだまだ改善点が多い状態です。その代わりに我々が日本のカスタマーサポートとして、ユーザー様お一人おひとりのお問い合わせに柔軟に対応させていただいております。」とのこと。
僕自身、カスタマーサポートの窓口に問い合わせをして、丁寧な説明と素早いレスポンスを体感できたので、アフターフォローに関しても特に心配する必要はなさそうです。
問い合わせに関しては、xplova日本代理店NCDのサイトにある「お問い合わせ」より連絡することができます。
7. ライドスタイルを変える1台
バーチャルライドを十分に楽しむには、静音性や実走感、仮想空間の再現性など、それなりのスペックを搭載したスマートトレーナーが必要ですが、約2週間バーチャルライドを楽しんだ結果、『NOZA S』はその必要条件を十二分に満たすスマートトレーナーでした。
僕は元々ローラー台での練習に対しては苦手意識がありましたが、『NOZA S』での体験から今ではバーチャルライド自体を素直に楽しいと感じています。
仕事終わりのちょっとした時間に、普段のライド仲間だけでなく、世界中のサイクリストと簡単にライドを楽しむことができる。すでにスマートトレーナーでバーチャルライドを楽しんでいる人からすれば「何をいまさら」と思われるかもしれませんが、外ライドに慣れてしまった(僕のような)ステレオタイプなサイクリストの中には、まだこの楽しさに対して食わず嫌いを発揮している人がいるのも事実です。
自らのライドスタイルが大きく変わる体験をもたらすスマートトレーナー。それを定価10万円以下で手に入れられる『NOZA S』は、時宜にかなった非常に良い投資になると感じています。
NOZA Sを購入する
Text by Ryuji(@marusa8478)
[PR]提供:NCD(日本コンピュータ・ダイナミクス)
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