ときに氷点下の寒さが襲う真冬のライド。
強度を上げれば体を温めることはできますが、いったん脚を止めると、それはもうつらくて帰りたくなるし、耳や指先などの末端はどうしても冷えてしまいます。
そこで症状別に体の冷えを緩和するアイテムを紹介します。各アイテムを組み合わせて、真冬を少しでも快適に走るために備えてください。
text / Tats(@tats_lovecyclist)
*本記事は2019年公開記事を現状に即して改訂したものです。
冬コーデの基本+防寒ポイント
冬コーデの基本
真冬の基本コーデ
防寒アイテムを導入する前に、まず冬コーデの基本を把握しておきます。基本コーデをベースに、症状に応じて必要なアイテムを追加していくのがポイント。あまり着こむと動きづらく汗冷えするため、機能性の高いウェアを選んで重ね着は最小限にします。
●上半身:3枚重ねが基本。1枚目は汗を排出し、2枚目は保温し、3枚目は冷気をシャットアウトするという役割を持つ。
●下半身:起毛素材のビブタイツ1枚で防寒(好みによっては冬用ビブショーツ+レッグウォーマーに変更)。
4つの防寒ポイント
基本コーデをした上で、症状が出る部分を防寒アイテムで対処していきます。
真冬のライドでつらいポイントは大きく4つ──①頭部、②体幹、③指先、④つま先に分けられます。
つらく感じる部位に合わせて、以下から必要なものを選択してください。
【症状1】頭・耳・首元が冷える
耳、首元、ヘルメット穴を通した頭など、露出が多い頭部。頭部の冷えは判断力に影響する部分なので優先的に対処していきます。
ウィンターキャップ
防寒力 | ★★★ | 価格帯 | ¥3,000〜5,000 |
頭と耳をすっぽり隠すことができる冬用のサイクルキャップ。通常のサイクルキャップと同様ヘルメットの下に着用できるので、暖かく見た目もすっきり。特に氷点下のライドで活躍します。
生地が厚めなのでヘルメットが少しタイトになりますが、その場合はストラップの長さやバックルの締め具合で調整します。
ヘッドバンド
防寒力 | ★★☆ | 価格帯 | ¥2,000〜4,000 |
頭部や耳の冷えに効くヘッドバンド。ひと桁の気温であれば十分対応可能です。
暑くなったときに脱いで収納しやすく、ヘルメットがタイトにならないコンパクトさは、軽装を好むサイクリストにとって最適です。
ネックチューブ
防寒力 | ★★★ | 価格帯 | ¥2,000〜3,000 |
ネックチューブは首元から鼻先まで覆うことができるので、ヘッドバンドやウィンターキャップと組み合わせれば頭部の冷え全般に対処できます。症状に応じて覆う範囲を調整できるので非常に便利。
バラクラバ
防寒力 | ★★★ | 価格帯 | ¥2,000〜5,000 |
いわゆる目出し帽。これひとつで首元・耳・頭部を完全に覆うので、ほかのアイテムを買い揃えるよりもコストが抑えられます。
ただ見た目に威圧感があるため、バラクラバの着用を許容するかどうかは個人の判断になります。またお店に立ち寄る際は、必ず目元・口元が見えるようにしてください。
【症状2】体が温まらない
冷え込みが厳しい中、体幹が温まっていない状態で走るのは本当につらいもの。防寒アイテムをまとって少しでもライドを楽にしていきます。
断熱ジレ
防寒力 | ★★★ | 価格帯 | ¥15,000〜 |
ジレの中でも保温性の高い「断熱ジレ(インサレーテッド・ジレ)」。
通常の防風用ジレよりも厚手で、体温を蓄えてくれるので体幹がまったく冷えなくなります。暑くなったらジッパーを開けて簡単に調整できるので、真冬ならジャケットの下に着ると対応気温がかなり広くなります。
バックポケット付きであれば、収容力がアップするというメリットも。
ジレの着こなしや断熱ジレのラインナップは↓こちらを参考にしてください。
ウエストウォーマー(腹巻き)
防寒力 | ★★★ | 価格帯 | ¥3,500〜4,000 |
お腹周りの冷えに効果的なウエストウォーマー。通称“腹巻き”という前時代的なイメージとは裏腹に、見えない部分で内臓まわりを暖めてくれるので、ライドで体調を崩しにくくなるスマートなアイテムです。
簡単に脱着できるモデルもあるので、断熱ジレよりも手頃に体幹を暖めたいときに最適。
ウエストウォーマー一覧
ワイズロード|TOKYO WHEELS
マッサージジェル/ホットクリーム
防寒力 | ★☆☆ | 価格帯 | ¥1,500〜3,000 |
「マッサージジェル」は、血行を促して筋肉を温めるもの。
走る前にジェルを足や腕に塗ってしっかりマッサージしておけば、筋肉がほぐれて運動に最適な状態になります。脚のつり予防にも最適。
マッサージジェルおすすめ
ファイテンウォーミングアップジェル(Amazon)
「ホットクリーム」は、皮膚を温めて寒い外気から体を守るもの。
寒さ対策としてはマッサージジェルよりも強力なので、寒がりには最適。
ホットクリームおすすめ
Muscle Balm(Amazon)
【症状3】指先がつらい
指先は風を直接受けるので冷えやすい部分。防風グローブを利用するのはもちろんのこと、すでに持っている手袋を活用しつつ、アイテムを追加して防寒性を高める対策も有効です。
インナーグローブ
防寒力 | ★★☆ | 価格帯 | ¥2,000〜3,000 |
ウィンターグローブの中に着用することで保温性を高めるインナーグローブ。0℃近い気温になると活躍してくれます。
気温の変化に応じてインナーを脱着して調整できる点も便利です。
インナーグローブ一覧
Amazon
ハンドルカバー
防寒力 | ★★★ | 価格帯 | ¥4,000〜8,000 |
ドロップハンドル専用に設計されたハンドルカバー。取付時の存在感はともかく、極寒条件において手指の冷えを守るには最強のアイテム。
シマノ・カンパ・スラムに対応していますが、本格的なライドというより通勤用などに向いています。
ドロップバー用ハンドルカバー一覧
Amazon
【症状4】つま先が冷える
ロードシューズは風通しが良いので、高速で風を切っているとすぐにつま先が冷えます。感覚がなくなって力も入らず、悪化すると痛みが現れることも。そこでつま先を守るためのアイテムを4つ紹介。
つま先用カイロ
防寒力 | ★★★ | 価格帯 | ¥300〜 |
足の甲につま先用カイロを貼るのは最もローコストな手段で、しかもかなり効果的です。後述のオーバーシューズと組み合わせれば、熱が逃げずシューズの中が常にポカポカ。
ただつま先のフィッティングを圧迫することもあるので、シューズの締め付け具合で調整します。
つま先用カイロ一覧
Amazon
ウィンターソックス
防寒力 | ★☆☆ | 価格帯 | ¥2,000〜4,000 |
通常のソックスよりも少し厚手のウィンターソックス。単体では劇的な効果は望めませんが、オーバーシューズやカイロなどの防寒アイテムと組み合わせることで万全の対策ができます。
トゥカバー
防寒力 | ★☆☆ | 価格帯 | ¥2,000〜3,000 |
つま先を覆うトゥカバーは着脱が簡単なので、靴全体を覆うオーバーシューズを使うほどでもないというときに最適。
前述のつま先用カイロとの相性が抜群です。
トゥカバー一覧
Amazon
オーバーソックス/オーバーシューズ
防寒力 | ★★☆ | 価格帯 | ¥3,000〜8,000 |
シューズ全体を覆うカバーは、ソックス生地の「オーバーソックス」と、ネオプレーン素材等を使った「オーバーシューズ」に分類されます。
オーバーソックスは安価に導入でき、デザイン性にも優れています。ただ耐久性は低く、1シーズンしか持たないものがほとんど。また防寒性能もオーバーシューズに比べると劣ります(ソックス生地でも商品名で“オーバーシューズ”と謳っているものもあるので、素材で判断してください)。
オーバーシューズはエアロ効果を目的とした薄手のものと、防寒を目的とした厚手のものがあります。
厚手のオーバーシューズは値段も張りますが、その分防風・保温効果も高いため、足元の防寒アイテムとしては最も安心。
このように、寒さを乗り越えるための便利なアイテムが揃っています。比較的安価に入手できるものが多いので、症状のつらい部分から対処してください。
著者情報
Tats Shimizu(@tats_lovecyclist) 編集長&フォトグラファー。スポーツバイク歴11年。ロードバイクを中心としたスポーツバイク業界を、マーケティング視点を絡めながら紐解くことを好む。同時に海外ブランドと幅広い交友関係を持ち、メディアを通じてさまざまなスタイルの提案を行っている。メインバイクはStandert(ロード)とFactor(グラベル)。 |