
最初の1枚が、超重要。
冬装備の中でも、ベースレイヤー(インナー)は肌に密着するため、体温調整に影響する最重要アイテム。特に冬場は汗冷えで体調を崩すこともあるので、ウェアの性能がライドの良し悪しを左右します。
とはいえ、生地の素材も厚さも各メーカーによってさまざまなので、どれを選べば良いかわかりづらいかもしれません。そこで自分のスタイルに合ったベースレイヤーを見つけられるように、選び方とおすすめのプロダクトを紹介していきます。
本格的に寒くなる前に、そして欲しい色・サイズが売り切れる前に早めに揃えてください。
text/Tats(@tats_lovecyclist)
1. 冬用ベースレイヤー(インナー)の種類
ベースレイヤーは生地の厚さで3タイプ、素材で2タイプに大きく分かれます。
生地の厚さ

ライトウェイト(薄手)
速乾性が高く動きやすいため、走行時のストレスがもっとも少ない。オールシーズン使えるのが特徴で、真冬ではほかのベースレイヤーと重ね着して使うこともできる。
ミドルウェイト(中厚手)
適度な厚さで動きを妨げないため、気温が低いときでもストレスフリー。秋冬では最も汎用性が高い。
ヘビーウェイト(厚手)
1枚でもかなり暖かい厚手の生地。その分速乾性や放熱性が犠牲になっているため、強度の高いトレーニングライドにはあまり向かない。極寒地でのライド、あるいは冬のポタリングなどで使用するタイプ。
生地の素材

メリノウール
素材自体が吸湿して発熱するため、保温力に優れる。また肌触りが良さや抗菌性の高さも特徴。
天然素材のため化繊より速乾性は劣ると言われることもあるが、スポーツメリノは化繊と混紡しているため、機能性に差はほとんどない。
化学繊維
速乾性に優れているのが最大の特徴。汗を透過して濡れ戻りを防ぐ化繊タイプは、激しいライド後も快適に過ごすことができる。
保温性においても、ウール素材に劣らないものもある。
2. 最適なベースレイヤーの選び方
走り方に適した厚さと素材を選ぶ
ライドスタイルや気温によって適切なベースレイヤーが異なります。強度の高い場合はライトウェイトタイプをベースに必要に応じて重ね着し、低い場合はミドルウェイトタイプを選択します。
素材自体は肌触りの好みに拠るところが多く、着心地を求める場合はメリノ、コストを重視するなら化繊という選び方ができます。
ヒートテックはNG
すでに通説ですが、ヒートテックはタウンユースの肌着として作られています。スポーツで使用すると汗抜けせず身体が冷えてしまうため、ライドでの着用は非推奨です。
タイトフィットのものを選ぶ
タイトフィットはサイクルウェア全般に通じる基本ですが、ベースレイヤーにおいても汗を吸い上げられるように肌に密着するサイズとシルエットを選ぶのが鉄則。
登山用のものを選ぶこともあると思いますが、密着しないリラックスフィットの場合もあるので注意してください。
3. 快適なベースレイヤーの組み合わせ

冬用ベースレイヤーは1枚だけでも使用できますが、夏用のドライレイヤーを1枚目に着ておくことで、汗をかいたときにより快適に過ごせるようになります。
ドライレイヤーで吸い出された水分は、冬用ベースレイヤー(セカンドレイヤー)に吸い取られていくので、汗冷えしづらくなります。
もし冬用1枚で汗冷えが心配な場合は、夏用と組み合わせて2枚着てみてください。いつもより快適に過ごせるのが実感できると思います。
※夏用インナーは↓こちらを参考にしてください
4. おすすめベースレイヤーブランド5選
dhb(UK)
Wiggle CRCの高機能ブランド「dhb」。
暖かいメリノウール素材のベースレイヤーを入手しやすい価格で展開し、初めての冬用インナーを揃えるのに最適なブランドです。
dhbのベースレイヤー

● Aeron Winter 長袖ベースレイヤー【化繊/中厚手】
ダブルニットが気持ち良い、高強度のライドに最適化されたベースレイヤー(¥4,900)。
● メリノ長袖ベースレイヤー【ウール/中厚手】
胸元にロゴがなくて使いやすい、真冬に最適なベースレイヤー(¥6,250)。
finetrack – ファイントラック(日本)
夏用のサイクリングインナーでも知られている、高機能なファイントラック。
冬用の「メリノスピン」シリーズは、メリノウールの保温性と化学繊維の速乾性を組み合わせた高機能なハイブリッドベースレイヤーです。
またファイントラックは前述のようなドライレイヤーとベースレイヤーの組み合わせを強く提唱しています。夏用にドライレイヤーを持っていれば、冬用のメリノスピンは組み合わせに最適。
ファイントラックのベースレイヤー

● メリノスピンライト 【ウール×化学繊維/薄手】
ライトタイプは厳冬期を除く秋冬春の3シーズンに使えるモデル(¥7,920)。
● メリノスピンサーモ 【ウール×化学繊維/中厚手】
サーモタイプはウィンタースポーツにもOKな厳冬期に活躍するモデル(¥9,130)。
Craft – クラフト(スウェーデン)
保温について熟知しているスウェーデン生まれのCraftは、40年近くにわたってベースレイヤーの改良を繰り返してきました。
そのラインナップは、コンフォート/インテンシティ/エクストリーム/ウールの4つのカテゴリーに分けられ、その中でも「インテンシティ」「エクストリーム」の2シリーズがサイクリングに適しています。
クラフトのベースレイヤー

● アクティブエクストリームX 【化繊/薄手】
-5〜+10℃に最適なクラフトのアクティブシリーズ。『エクストリームX』はベース生地にCOOLMAXを使用しており、高強度でも汗抜けが良いのが特徴(参考価格¥5,800)。
● アクティブインテンシティ【化繊/薄手】
『インテンシティ』はエクストリームよりも快適性を重視しており、それほど強度を上げないライドを主体とするサイクリストに最適(参考価格¥4,400)。
mont-bell モンベル(日本)
もともと登山用ベースレイヤーであるモンベルの「ジオライン」は、サイクリストの間でも定番のベースレイヤーとなっています。
制菌効果も高いため、長時間着用していても臭わなく、また価格が手頃なので最初のベースレイヤーとして購入しやすいのが強み。
モンベルのベースレイヤー

● ジオライン L.W. 【化学繊維/薄手】
ライトウェイトタイプは速乾性に優れ、オールシーズン使えるモデル(¥3,562)。
● ジオライン M.W. サイクルアンダーシャツ【化学繊維/中厚手】
ミドルウェイトタイプのサイクリング特化型。蒸れやすい箇所にはL.W.を用いたハイブリッドモデル(¥4,400)。
Rapha – ラファ(UK)
高品質のベースレイヤーを展開するラファ。どれも着心地が良い。
ウールは汗で濡れても寒く感じないので不快にはなりません。気になる場合は中にドライインナーを組み合わせれば暖かく快適なレイヤリングができます。
Raphaのベースレイヤー

● メリノベースレイヤー 【ウール/薄手】
着心地良く、秋から春にかけてロングシーズン活躍する薄手のモデル(¥11,000)。
● Pro Team Thermalベースレイヤー 【化繊/中厚手】
首元まで暖かい、0℃前後から着るための真冬専用ベースレイヤー(¥11,500)。