
MBOは、数々の海外ブランドのOEM/ODMを手掛ける工場が立ち上げた中国のブランドだ。玉石混交の中国ブランドの中で、欧米ブランドの実績をベースにしたMBOは、最も王道に近いブランドと言える。そのMBOが2026年に日本へ正式に上陸した。
model / Masanaga, Acchan, & Moe
text & photo / Tats(@tats_lovecyclist)[PR]
hypersupp. vs MBO

ウェアや機材などカテゴリにかかわらず、中国ブランドをこのメディアで取り上げることについては非常に慎重になっている。品質や持続可能性という観点で不透明な部分が多いからだ。

以前に上海のhypersupp.(以下supp)をレビューしたが、ここはブランド構築が非常に巧かった。
ストリートの匂いと鮮烈な世界観をまとい、着る者の情緒を刺激する。機材と比べて短い周期で買い替えるウェアは、今この瞬間のライドを、自分が心から良いと感じられる一着で走れるかどうかが大事だ。
そういった意味で、suppは新興ブランドにもかかわらず、ウェアに対してこだわりの強い(めんどくさいとも言う)我々を動かす世界観を提示してきた。

対してMBOは、suppのような「情緒的価値*」はほとんど感じられない。正直に言えば、憧れとかこのブランドに身を染めたいと思わせるような世界観は薄い。それでもレビューしたいと思ったのは、suppには存在しない強力な「機能的価値*」を持つブランドだからだ。
*ブランドの価値には「情緒的価値」と「機能的価値」という二つの軸があると以前論じている
世界最高峰の実績を携える

MBOは2022年に生まれた比較的新しいブランドだが、MBOを立ち上げた企業は、2009年に創業した世界最大級のサイクリングアパレルメーカー「BOHANG(ボーハン)」だ。ボーハンは年間約75万着を生産し、世界30か国以上、40を超えるブランドのOEM/ODMを手掛けている。その中には我々がいつも着ている欧州のプレミアムサイクリングアパレルも含まれている。
MBOの特徴は、ボーハンの実績がゆえに、新興ブランドにもかかわらずOEKO-TEX、GRS、BSCIなど国際認証がひと通り揃っており、世界トップレベルのクオリティに仕上がっていることだ。
MBOが取得する国際認証

OEKO-TEX®(エコテックス®):繊維・皮革製品に含まれる人体に有害な化学物質を対象とする世界最高水準の安全証明
GRS:製品に含まれるリサイクル原料の含有量を証明し、その製造工程が環境的・社会的に配慮されていることを保証する国際的な認証基準
BSCI認証:グローバルサプライチェーンにおける労働環境や人権保護、公正な取引、環境配慮などを監査・評価する国際的な認証基準
ただ工場が同じだからといって、欧州ブランドの世界観や憧れまで受け継げるわけではない。MBOの強みは、実績から来る王道の機能的価値だ。そして中国ブランドらしく、価格は欧州ハイブランドと比較して30〜50%抑えられている。

つまり情緒的なものを除けば、機能・価格・デザインを含めて、MBOは「これを選んでおけば外れはない」というレベルに達していると言える。これはかつてのdhb的なポジションと言えばわかるサイクリストはいるだろう。
ザ・スタンダード。

ジャージ/C100 MEN’S SHORT SLEEVE JERSEY(¥15,400)、ビブショーツ/T100 MEN’S BIB SHORTS(¥18,700)
MBOはナンバリングでシリーズを分けていて、ベーシックな100、カラフルでレーシーな300、長距離向きの500、エアロな700という分類となる。

左から100、300、500、700シリーズ
正直300のラインの中には、他ブランドの模倣と捉えられかねないデザインも含まれるため、現時点では推奨できないことは付け加えておく(国内代理店もそこは問題視しているため仕入れておらず、ブランド側に是正を求めている)。
レビューするのは、ブランドが最も力を入れているベーシックライン「100」シリーズ。モノトーンで合わせやすい。

ジャージ/C110 WOMEN’S SHORT SLEEVE JERSEY(¥15,400)、ビブショーツ/T110 WOMEN’S BIB SHORTS(¥18,700)
100シリーズのフィット感は「ザ・スタンダード」というつくりで、今のウェアのトレンドをきちんと押さえている。着たときのシルエットは素直に綺麗だ。アジア人体型に合わせてパターンを調整しているらしく、欧州ブランドのような極端に短い丈ではないので、年齢・体型を選ばず誰でも着こなしやすい。今の時代のウェアづくりの基準を知るなら、MBOは良い教科書になると感じる。

ビブショーツ/T110C CARGO BIB SHORTS(¥19,580)
100シリーズのビブショーツは、イタリアのElastic Interface社製パッドを採用している。欧米ブランドでも定番として使われている上質なパッド。100kmを超える長距離でも、痛みやしびれは出ない。日々のあらゆるライドで安心して履ける。

しっかりした生地。真夏用の薄手ジャージと比べれば厚みは感じるが、その分だけ丈夫で、長く着られるつくりになっている。特に良いと感じるのは袖口と裾の丁寧な折り返し処理で、縫い目が肌の境目にピタッと沿って収まる。細部の作り込みで着心地が良い。

100シリーズはジャージもショーツも色展開が多く、色味が主張しすぎないおかげで、上下どの色を組み合わせても破綻しない。

ウィンドジャケット/W155 LIGHTWEIGHT WIND JACKET(¥16,940)

長袖ジャージ/W150 LONG SLEEVE JERSEY(¥16,940)、ジレ/W135 PREMIUM LIGHTWEIGHT WIND VEST(¥15,400)
さっと羽織れるジレやジャケットもラインナップ。軽やかに防寒できて色合わせもしやすい。

カーゴビブがラインナップにあるのがいい。ポケットのつくりが丈夫で、スマートフォンや補給食がさっと取り出せる。カーゴビブは利便性を知ってしまうと、普通のビブを履きたくなくなるもの。走行中にポケット内の小物が揺れたりせず、実用性は文句ない。

100シリーズは、着た瞬間にテンションが爆発するような、そういう種類のウェアではない。良くも悪くもオーソドックスで、個性を前面に押し出すというより、無難に綺麗に着こなすという方向のウェアだ。でもこの無難さこそが強みなのだと走りながら感じた。
お店に並んでいたらまず選ぶ

100シリーズの国内定価は、半袖ジャージが¥15,500円、長袖が¥16,940、ビブショーツが¥18,700、カーゴビブが¥19,580となる。欧州プレミアムブランドの半袖が2.5〜3万前後と思えば、近い品質の中でこの価格はかなり市場に対して優しいと言える。
ウェアに対して特別強いこだわりがないのであれば、あらゆるミドルグレードの選択肢の中でMBOは基準となるだろう。

MBOはこれまで日本では正式な流通がなかったが(直販で買うユーザーは一定数いた)、2026年3月からYMSRが国内総代理店として正式に取り扱いを開始した。ワイズロードで販売が始まっており、店舗の話を聞くと、大きなプロモーションをしていないにも関わらず、すでにかなりの数が売れているという。

店舗で手に取ると、落ち着いた色展開やつくりの良さがわかるのだろう。
初心者は誰もがワイズロードに足を運ぶものだが、個人的にも、もし初心者に戻ってワイズロードではじめてウェアを選ぶとしたら、MBOを選択していると思う。
スイートスポットにある存在


グローバルにおけるウェア市場は二極化している。欧米プレミアムブランドの[高品質✕高価格帯]と、中国やアジア圏ブランドの[低〜中品質✕低価格]の2カテゴリだ(国内ブランドはガラパゴス化しているためこの文脈では語れない)。
その中でMBOは、間を埋める[高品質✕中価格帯]の存在だと言える。中国ブランドは品質や持続可能性という点で不透明なところが多いと書いたが、MBOに関しては企業母体が確かで事業活動が安定しているため、長期的にブランドを構築するポテンシャルがある。日本に入っていない一部のデザインが課題だが、ここが解消されればさらに化けるだろう。

歴史や哲学や希少性をまとった欧米ハイブランドへの憧れは、誰もが心のどこかに持っているものだし、多くのサイクリストはその頂点に手を伸ばしたいと思う。
MBOはその頂点への通過点でいい。ちょうどいい価格で機能的価値の最高峰に触れられるのだから、まずは良いウェアとは何かをMBOで体験してほしいと思う。そこからさらに上を目指すのもいいし、MBOで十分だと感じるのもいい。どちらを選んでも、走るときの心地よさは完全に満たされる。


著者情報
![]() | Tats Shimizu(@tats_lovecyclist) 編集長&フォトグラファー。スポーツバイク歴12年。海外ブランドと幅広い交友関係を持ち、メディアを通じてさまざまなスタイルの提案を行っている。同時にフォトグラファーとして国内外の自転車ブランドの撮影を多数手掛ける。メインバイクはStandert(ロード)とFactor(グラベル)。 |
model / Masanaga, Acchan, & Moe
text & photo / Tats(@tats_lovecyclist)
[PR]提供 / 株式会社YMSR

















