シマノが創り出すロードバイク機材の多様な進化。“サイクルモード大阪”ジャーナル前篇[PR]

世界的企業が捉まえる自転車の未来。

スポーツバイク業界はここに来て、さまざまなベクトルで楽しめるような流れが来ています。
ロードバイクとMTBという大きなカテゴリの間に、ダートレースを楽しむシクロクロスや、悪路を走破するグラベルロードといった自由度を与えられたバイクが、当たり前のように各社のラインナップに加わるように。またクロモリやチタンといった金属フレームも再び脚光を浴び始めているし、さらにE-スポーツバイクという新しいカテゴリも生まれました。

このような多様性の中、3/2-3に行われた“サイクルモードライド大阪”へ遊びに行きました。このイベント全体を通してまず感じたのは、国内はロードバイクカテゴリがまだまだ強いということ。展示ラインナップの比率もそうですが、来場者も皆、大手メーカーのハイエンドロードを試乗したいというインサイトが最も多いようでした。
しかし同時に、ほかのカテゴリも少しずつ芽を出している、ということを感じます。

世界の自転車市場を担うシマノは、これから先のロードカテゴリとそれ以外の国内マーケットをどう捉えているのか。イベント内で最も大規模な展示を行っていたブースで話を伺いながら、その狙いを前篇(ロード用機材)・後篇(E-スポーツバイク)に分けて読み解いていきます。

“多様性”に向かうロード用機材の進化

多種多様のギアが展示されたシマノブース

欧州を主要マーケットのひとつにするシマノは、グランツールやトッププロのレースで使われるハイエンド機材の開発で蓄積されたノウハウを、コンシューマー向けプロダクトに落とし込むような流れをつくっています。DURA-ACE→ULTEGRAのような落とし込みがまさにそう。

その流れの中では、ただ上位モデルの性能を移植するだけではなく、より多様なライドスタイルを持つ僕らサイクリストひとりひとりに合ったバリエーションも展開されています。

シマノブースでは、実際にその多様性に対応するラインナップが広く見られました。その中でも僕自身特に刺さったものをピックアップしていきます。

 

1. グループセット – 手のサイズで選べるディスク×ショートリーチ

感激のショートリーチ

展示モジュールで手軽に操作を確認できるコックピット

DI2やディスクモデルが展示されたコックピットまわりの中でも、初めて体験した105ディスクブレーキモデルのショートリーチレバーの操作性は感激するレベル

かつて僕も105ユーザーでしたが、手が小さいので、通常モデルのレバーはかなり握力をかけないと操作できない状態でした(すぐに止まれなくてヒヤッとした場面も)。

おそらくそういった声が挙がって開発されたショートリーチモデルは、引きの面が太く広く取られていて、男女問わず力をそれほどかけずにレバーを引くことが可能に。ドロップポジションからのブレーキレバーアクセスも、数ミリの違いにも関わらずより楽になっていることがわかります。
今僕がシマノのグループセットを新たに選ぶのであれば、間違いなくショートリーチ一択

考え抜かれたディスクブレーキのフィーリング

またこれは試乗でわかることですが、シマノ製のディスクブレーキの感覚はリムブレーキに寄せてあって、握りの強さに応じて滑らかに効いていきます
ディスクだからクイックに効きすぎて逆に怖いということがなく、初めてでも違和感なく使うことができるフィーリングは、ディスクブレーキモデルに対する不安感をすぐに払拭してくれます。

このあたり、安全性に直結する部分だけあってかなり気を遣ってフィーリング周りを調整しているのだと思います。

 

2. ヘルメット – 心躍るギミックとバリエーション

ヘルメットブランドの“LAZER(レイザー)”は2016年にシマノ傘下に入りました。

身に付けるもののうち、ウェア・シューズ・アイウェアは自社で作っていたシマノでしたが、LAZERをパートナーに加えることで、サイクリストに必要なものが包括的に揃うように。あらゆる“”でサイクルライフをサポート・提案できる体制を取っていることがわかります。

僕個人はKASKばかり使うユーザーだったのですが、今回のLAZERはぐっさり刺さりました。その主要ラインナップは3つ。

Century AF – デザイン最高なセミエアロ

デザインが一番素敵!と思ったのがセミエアロ形状をした“Century ”(¥17,500)。
カラーは写真の3つに黒と黄を加えた5種類。センター部分は取り外しのできるキャップになっていて、左の赤モデルのように逆に取り付ければエアロモードになる可変式ヘルメットです。

写真を見て分かるように、グラデーションの色遣いがとても綺麗。

さらに後頭部にライトが仕込んであるギミックが最高。赤くピカピカ光る…!特撮モノっぽくて、失われていた男子の心がくすぐられます。

またこの六角形の形状は、LAZERが生まれたベルギーの街アントウェルペンの形を模しているのだそう。そういうデザインの落とし込み方がとても好きで、このヘルメットに自ずと愛着が沸きます。

国内では幅広なアジアンフィットしか展開していないため(アジアンフィットこそがLAZERの売りではありますが)、幅の狭い僕の頭には合わなかったことがすごく残念。価格もお手頃なので、ユーロフィットがあれば衝動買いしそう…

Bullet 2.0 AF – ON/OFF切り替えエアロ

最近流行のレンズ付きエアロヘルメットもラインナップに。
Bullet(バレット) 2.0 アジアンフィット”(¥27,000)の面白いところは、前面のパネルをスライドさせて空調を調節できるところ。普段は開いておいて内部に空気を送り込んでおき、スプリントするタイミングで閉じてスイッチを入れるような使い方ができます。

レンズが付属しているので、アイウェアをかける必要がなくなります。

レンズを使わないときは後頭部にマグネットでホールドしておきます。

Z1 – フィット感抜群のフラッグシップ軽量モデル

そして3つの中で、幅の狭い僕の頭に最もフィットしたモデルが、軽量タイプの“Z1”(¥22,000)。

その最たる特徴は、頭頂部にあるダイヤルを回して締め付ける、LAZERならではの“アドバンスドロールシス”。このシステムにより、頭全体を均等に守ってくれるようなホールド感が得られます。Sサイズ190gの軽量モデルなので、軽いのにしっかり守られている感じでした。

ほかのアジアンフィットモデルと比較しても、シルエットが横に膨れずとてもすっきりした形状がコーディネートしやすいデザインです。

LAZERは用途に応じたラインナップを揃え、しかもみんなデザインが良い。
チーム右京や宇都宮ブリッツェンからのフィードバックも受けていて、機能性の高さはLAZERならでは。

どのモデルも後頭部にリアライトが装備でき(標準装備と別売に分かれる)、エアロ効果を高めるキャップやエアロシェルなどオプションも豊富。
サイクリストのニーズに合わせて自由にアップデートできる仕様を備えているところに、シマノがLAZERをパートナーとして選んだ理由が垣間見えました。

LAZERの公式カタログを見る(PDF)

 

3. シューズ – シリアスライダーに向け、更に進化

シマノはSPD(MTB/シティ用ペダル)とSPD-SL(ロード用ペダル)を出しているように、シューズのラインナップもそれぞれに適合したモデルが豊富。

シティ用の通勤でも使えるようなファッション性の高いSPDシューズもありつつ、特に気になったのが、シリアスライダーに向けたハイエンドロード用シューズRC9。

S-PHYRE RC9

ロードバイク向けで初めてBOAを採用したRC(Road Competition)シリーズのトップモデルである“S-PHYRE RC9”(¥42,000)。ミッドソールを取り払ってアッパーをソールに直接巻き付けているので、足裏とペダルの距離が非常に近くてダイレクト感に優れています。

アッパーは一枚生地で成形されていて、1世代前のRC9と比べてもかなりすっきり。かつてのシマノシューズとはまったくテイストが違ってシンプルですごく良い感じ
白シューズはトレンドであり、僕も好んで履く色なので、このすっきり感はどんなコーディネートでも綺麗めに仕上げられると感じました。

ヒールは細い丸型。僕はかかとが細い典型的な日本人の足型なので、ホールド感もしっかり。

RC9に搭載されているBOAのIP1ダイヤルは締める方にも緩める方にも1コマずつ回せるので調整がとても便利。
セカンドモデルのRC7は締める方向にしか調整ができないので、こういったディティールでも差別化が図られています。

いろいろなサイズを試しながらフィッティング

シマノのフィッターの方に案内いただいてシューズフィッティングもしてみました。
普段Specializedの42サイズを履いている足で、シマノの場合はノーマルタイプの41サイズがぴったり。

シューズ選びはサイズが重要なので、購入するときはショップでしっかりフィッティングすることが大切。RC9はワイドタイプやハーフサイズなどきめ細かいサイズ展開なので、ジャストフィットを選択できることが魅力だと感じます。

実際に履いてみると剛性がめっちゃ高いのがわかります。ソールはもちろん、アッパーもかなりしっかりしたフィーリング。パワー伝達力はかなり高そう。

シンプルで普通に格好良い

最上位のBOAフィットシステム搭載、1枚成形のかっちりとフォールドするアッパー、高剛性のソールというハイエンドシューズらしい機能を、洗練された外観に収めているRC9。デザインが良いので、今度はちゃんとジャージを着てコーディネートした上で走ってみたい思いました。

RC9の詳細を見る(公式サイト)

 

4. ウェア – 機能性を突き詰めていくスタイル

ハイエンドウェアのS-PHYRE

シマノのウェアは、機能性を極限まで高めていくスタイルが特徴。
またデザインは必要最小限の装飾に抑えたシンプルなものになっています。特にシューズから派生したトップモデル“S-PHYRE”シリーズは、ブランドロゴの主張も少なく、走りを求めるストイックな印象が顕著です。


プロライダーからのフィードバックを受けながら開発しているため、当然レース強度で走るサイクリストがターゲット。“背中から排熱する”というコンセプトを元に、素材は前面・背面ともにメッシュで薄手なのがとてもレーシー。

洗練された印象のEvolve(左)

個人的に刺さったのは、セカンドグレードの“Evolve(エボルブ)”。色が綺麗なことに加え、素材やディティールのクオリティが高いんです

袖や裾部分には一般的な伸縮性のあるゴム素材ではなく、テープを配していて、より身体のラインに沿った綺麗なシルエットで着こなすことができます。

背面に空けられた排熱ベンチレーション

これまで多くのブランドのウェアを着ていますが、ハイブランドと肩を並べる品質だと感じました。
デザインはシンプルに、走りはストイックに」というコンセプトを体現するようなシリアスライダーにぴったり。

Evolveの詳細を見る(公式サイト)

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成熟したマーケットと新たな可能性

こうしてサイクルモードのような大規模イベントで展示されている機材をひとつひとつ見ていくと、本当に色々な切り口から機材を選ぶことができると感じます。
その中から自分に合ったプロダクトが必ず見つけられる、良き時代になっています。

またそれが意味するところは、ロード用機材のマーケットが成熟しているということの表れ
つまり自転車業界としては、新たなマーケットを切り開く必要もあります。その可能性のひとつが、E-スポーツバイクであり、後篇ではそのマーケットのポテンシャルについて詳しく見ていきます。

後篇はこちら

未来を見据えるE-スポーツバイクの可能性。“サイクルモード大阪”ジャーナル後篇