冬のライドの快適性は、いかに風を防ぎ、露出部分を限りなく少なくできるかにかかっています。
特に足先・指先・頭部などのライド中あまり動かすことがない末端は、脚のようにペダリングしていればなんとかなるような部位ではないため、いつだって冷えとの戦いとなりいます。
そこで今回は、以前ビブタイツをレビューした英国のブランド”Endura”から、3つの冬用アイテム──ビーニー・ソックス・シューズカバーを試し、その防寒性能をレビューしていきます。
※Enduraブランドに関する詳細はビブタイツのレビュー記事を参照してください。
※本ウェアはWiggleCRCより提供いただいたものです。
今回レビューする防寒アイテム
- ・BaaBaa Merino Skip Beanie – £25.99
・Pro SL PrimaLoft Sock – £22.99
・Pro SL Overshoe – £39.99
1. BaaBaa Merino Skip Beanie
外観
ビーニーは浅いツバのついたシンプルなデザイン。ウェアやヘルメットのデザインを選ばずに着用することができます。
素材
メリノウール95%とポリエステル5%をブレンドした、密度の高い素材。厚みがあり、冷たい風を通さず頭部がしっかり保温されるようになっています。
肌触りはメリノウールらしくしっかりしていて、天然素材のため肌にやさしくチクチクしません。ユニクロのメリノウールセーターを厚くしたような感じ、というのが一番伝わりやすいかも。
“BaaBaa”はメェメェの意。メリノ素材だからメェメェ。Enduraのほかのメリノアイテム(ベースレイヤーやソックス)もすべてBaaBaaというシリーズ名が付いていて、そう、わかりやすい。
ビーニーの内側にプリントされているのがBaaBaaシリーズのロゴ。つぶらな瞳の羊が目印です。
着用感
通常のサイクルキャップと並べると深くできていることがわかります。これにより耳まで覆うことができるので、冬のライドでは耳の痛みがつらいサイクリストも終始快適に過ごすことが可能。耳全体を覆うわけではないので、周囲の音もきちんと入るようになっています。
厚口の生地のためヘルメットを被るとき少し厚みを感じることになりますが、ビーニー自体は頭部の形に沿ってフィットする形状なので、ヘルメットが極端に浮いてしまうというようなことはありません。
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僕自身、冬は耳がすぐに痛くなってしまうため冬用ビーニーは必須アイテムでした。その中でもこのBaaBaaビーニーは、メリノウールの保温性と耳を覆う形状から、不快感もなく0℃の気温でも寒くない、出来うる限りの真冬専用の強力な装備として使うことができています。
BaaBaa Merino Skip ビーニー(Wiggle)
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Wiggle | Chain Reaction Cycles
2. Pro SL PrimaLoft Sock
デザイン
冷たい天候に履くために開発されたウィンターソックスは、ブランドロゴと白いラインが入ったスポーツソックスらしいデザイン。
全体的に厚みのある生地の上に、つま先のグレーと赤の部分は内側が薄いパッド状になっていて、これにより保温性を高めつつ足先への負担を軽くするようになっています。
素材
ソックス名に入っているPrimaLoft(プリマロフト)とは、羽毛をベースに開発されたマイクロファイバー素材。羽毛のような保温性と柔軟性を持ち、さらに羽毛にはない撥水性があるのが特徴。元々軍用に開発された素材だけに、水に濡れてもある程度暖かさをキープしてくれる高機能なのが特徴。
肌触りは、Raphaソックスのような滑らかで気持ち良いものとは対照的で、固めのしっかりとした素材感。とはいえ決して不快なものではなく、履いたとき守られるような安心感があります。
防寒性能
確かに通常のソックスと比較すると履いたとき暖かさが違い、プリマロフト素材の力を感じますが、真冬を風を突っ切る厳しい寒さの前では大きな差は感じることはできません。
当然どんなウィンターソックスであれ、単体で足先の冷えを対処することはできないため、シューズカバーと併用する必要があります。
個人的に極寒の中を走るときやるのが、ウィンターソックスを履いた足の甲に足裏用カイロを貼り、その上からシューズカバーを履く3点の組み合わせ。防寒・保温・発熱体制ができるため、氷点下でさえすごく暖かくなります(日が昇ると暑くなるくらい)。
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3. Pro SL Overshoe
防寒性能・着用感
ハイクラスの“Pro SL”シリーズのシューズカバー。とても軽量なので着用してもペダリングで重さを感じることはありません。
防水性と防風性を併せ持ち、天候が不安定なときや冷たい風の中を走るときに最適。
ただ素材自体が薄いため、当然ながら保温性はありません。風はシャットアウトされるため強度の高いライドでは寒さを感じにくいのですが、氷点下で少し強度を落とすとウィンターソックスを履いていても足先が冷えます(前述のカイロとの組み合わせであれば問題ありません)。
背面にジッパーがないスリップオンタイプなので、ほとんど水滴の入り込む余地はありません。例え入ったとしても、保温性の高いPrimaLoftソックスとの組み合わせで不快感は抑えられます。
かかとには白い反射素材が埋め込まれています。
ディティール
底面にはクリートとかかとの穴が2つ開いていますが、生地が硬いので装着するときクリートに引っかかって結構苦労します。底面素材はしっかりしているので、歩行で擦ってしまったとしても簡単には破れません。
足首側がずれないように、シリコングリッパーでがっちり押さえ込まれます。
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このシューズカバーの課題として挙げられるのが、とにかく物凄く固いこと。脱着に非常に時間とエネルギーを使います。その分密着性・防水性は高いと言えますが、できればもっと柔軟性を高めるか、(防水性は落ちるものの)ジッパーを搭載してほしいというのが個人的な本音。
ただ一度着用してしまえば、雨風をほとんど寄せ付けない高い防御力を持つので、天候の不安定な真冬の空を終日走るロングライドでは、ずっとそばにいてほしい防具です。
Pro SL オーバーシューズ(CRC)
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ビブロングと3つの防寒アイテムを試してきて感じたのが、Enduraはとても綿密にプロダクトを設計しているということ。
デザイン性はそれほど高くないものの、上質な素材の選択、プロチームとの共同開発による優れた設計思想、製品ごとのはっきりしたコンセプト、レベルに合わせた幅広いラインナップなどから、どんなサイクリストのライドスタイルにも合わせられる多様性を持っています。
つまり決してコストで訴求するようなブランドではなく、共同開発するUCIワールドチームのモヴィスターの選手たちが納得できるレベルのウェアを提供する、プロフェッショナルなブランドである、ということを感じました。
Enduraのウェアをすべて見る
Wiggle | CRC
※両サイトともWiggleCRC傘下ですが、ラインナップや価格に差があります。
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