Love Cyclist Journal Vol.8【2020年6月号】- サイクリストと新しい生活様式。

Text by Tats@tats.cyclist

こんにちは。僕が普段感じていることや最近のトピックなどを書く不定期企画“Journal”の第8号です。

5月末に緊急事態宣言がすべて解除され、ウイルスと共存する“ウィズコロナ”時代が始まりました。
「新しい生活様式」で暮らしていくこの世界において、サイクリストである僕たちはどうライドするのが正解なのか、まだ判断に迷うのが現状だと思います。

以前に公開した「COVID-19を乗り越えるサイクリストの行動」、およびその後に各メディアや連盟から提示された内容は、外出を制限されていた緊急事態宣言下における厳格な行動様式であり、限りなくゼロリスク思考に近い規範でもあります。

これらを維持し続けることもひとつの判断ですが、国内だけでなく世界的に緩和が進み、社会的な活動が必要となっている今は、サイクリストが新しい行動様式を模索する時期でもあると考えています。

僕たちに与えられている情報

政府のガイドライン

厚生労働省が公表している「新しい生活様式」に提示されているガイドラインでは、スポーツサイクリングについての項目はないものの、関連する記載は以下のような部分です。

基本対策 ・身体的距離の確保
・マスクの着用
・手洗い
移動 ・感染が流行している地域をまたぐ移動は控える
娯楽,スポーツ等 ・ジョギングは少人数で
・すれ違うときは距離をとるマナー
食事 ・屋外空間で気持ちよく
・対面ではなく横並びで座ろう

この中で解釈に幅が生じるのが「少人数」という表現。3-4人なのか5-6人なのか受け取り手によって想定する人数が異なります。

業界団体の声明を見ても、たとえば自転車競技連盟は「3密を避ける」以外のガイドラインはなく、また日本サイクルスポーツ振興会はソロを推奨していますが「様々な意見があるので、提言の趣旨をご理解いただき、 ご判断下さい。」というニュアンスで判断を受け手に委ねています。

そのため僕たちに現在提示されている情報では、どの程度の規模で走ることができるのか明確な線引きができません。

諸外国の状況

対してヨーロッパをはじめ諸外国からは、6/8時点でどのようなガイドラインが出ているか、主要な国の現状と合わせてピックアップします。

英国:新規感染者は減少傾向。カントリー(イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド)によって規制に差異があり、それぞれ屋外の活動についてガイドラインがある程度提示されています。
それによると、イングランドは6人、北アイルランドは5人までのグループ、またスコットランドは家族以外の1世帯と8人まで、ウェールズは家族以外の1世帯と制限なしで過ごすことが許可されています。
ただしいずれも2mのソーシャルディスタンスを空けることが前提です。

フランス:新規感染者が減少し、6/2からフェーズ2へ規制緩和。10人までのグループで走行可能ですが、車間は並走で1.5m、前後で10mを空けることが必要です。

スペイン:新規感染者が減少し、6/21に緊急事態宣言を解除予定。現在でもフェーズ1からフェーズ2〜3への緩和が行われ、屋外スポーツを日中自由に行える環境になりつつあります。アクティブな活動は2mの距離を保った上で20人まで集まることが可能になっていますが、年代によって外出時間帯を振り分けることで集まりが分散されるような政策がとられています。

韓国:一旦新規感染者が減少したため5/6に外出制限を緩和。社会的距離の確保・マスク着用・手洗いは求められているものの、グループライドのような集会は容認されています。ただしその後首都圏のクラブハウス等で集団感染が発生し、5/28〜6/14の期間中ソウルを含む首都圏の外出自粛が再要請されています。

感染者が減少傾向にあるヨーロッパでは、日本と同様に緩和の方向で進んでいることがわかります。
どのガイドラインでも共通するのは社会的距離。
ただし容認されるグループの人数は5〜20人と地域差があり、また人数以外にも世帯や時間帯などの条件も掛け合わされており、地域や感染状況によって取り組み方にかなり幅があります。

ウィズコロナ時代における行動様式

そういった状況のため、どう行動するのが最適なのか/どこまでがリスク回避のために許容できる行動なのか、といった疑問に対しては、「べき論」はあるものの確実な正解がありません。

韓国の事例のように、今後は緩和と規制の揺り戻しが繰り返し発生する可能性もある中で、グループライドはOKなのか、マスクはライド中も着用するのか、お店に立ち寄って良いのかといった点はこれから先解釈に揺れが生じ続ける問題です。

現在は一部を除き全国的に緩和フェーズにあることで、「グループライドは○人まで」のように早急に“正解”をもらってペダルを全開で踏み出したい気持ちもあります。しかし今後は誰かが行動指標を出してくれるのをただ待つのではなく、どう行動するかを今ある情報を元にひとりひとり(あるいはコミュニティ単位)が判断することが必要となってきます。

そうやって一歩ずつ状況を見ながら正解を模索していくこと。それがウィズコロナ時代におけるサイクリストの行動様式だと考えています。(LOVE CYCLISTコミュニティの現状について言えば、以前のような7〜8人のソーシャルライドは行わず、コンテンツのための撮影内容に応じた特定メンバーによる2〜4人のライドが今できることだと判断して進めています。)

模索し続けること

正解がない状況が続くことで、今後コミュニティごとに行動様式の違いが発生するだろうと思います。それによって衝突が起きることも考えられますが、異なるコミュニティが持つ考え方を「悪」や「危険」だと正しく判断できる人は誰もいません。

今やることは、ほかのコミュニティを監視することではなく、自分のコミュニティを守るために考え続けることです
その中で僕たちは、情報をアップデートしながら、新しいライドスタイルを模索し続けていきます。

Text by Tats@tats.cyclist

※『今号の○○』コーナーはお休みします。

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