Love Cyclist Journal vol.9【2020年8月号】- 好きとか嫌いとかじゃなく。

LOVE CYCLIST JOURNAL vol.9

text by Tats@tats.cyclist

こんにちは。僕が普段感じていることや最近のトピックなどを書く不定期企画“Journal”の第9号です。

スタイルが多様化する自転車界では、毎週のように新しい商品を目にする機会があります。

そういうのを見るのはとても楽しいことですが、自分の感性に合わないものや、理解ができないものが出てくると、「最近の流行り好きじゃない」「全然わかってないなー」といった“好き嫌いの感情”で反応しがちなのが人の性。

僕も以前は、感情で反応することがよくありましたが、今は違う考え方をするようになりました。

感情をあと回しにすることで視えるもの

感性に合わない、理解できない事象が目の前に現れたとき。

 Cannondaleがロゴを変えた。前のに戻して。

 Raphaがセールばかりしている。ダメでしょ。

 Black Sheepが日本語の入った変なジャージを出した。このブランド着るのもう恥ずかしい。

感情的に否定することは容易で、優越感にも浸ることができます。でも一度否定すると、この先その分野を好きになることは二度とできないし、否定を繰り返すたびに自分が向かえる範囲が狭くなっていく。

Love Cyclistをはじめた頃の僕は、今よりも感情的に物事を捉えてアウトプットしていました。でもそこから生まれた不自由さを理解するようになった今は、バサッと切り捨てる代わりに別のアプローチをとってます。
それは、そういうモノや事象が「なぜ」世に出ているのかというのを突き詰めること。

先に挙げた例で言えば、Cannondaleのロゴは「ブランド軸をコンペティティブ枠からライフスタイル枠へと寄せる狙い」が読み取れます。自転車マーケット全体の流れを受けての変更であり、そうなると前のデザインに戻すことは考えられない。

Raphaがかつてセールを頻発していたのは、一連の流れを汲み取ると、リブランディングのために旧シーズンの在庫を捌く必要があったということがわかります。

Black SheepがLIMITED Tokyoで日本語デザインを出したのは、明らかに「欧米人がイメージする日本像」を落とし込んだものであり、日本のマーケットへ当てに行ったものではありませんでした(だからスチール撮影も思い切り“Tokyo感”のあるものにしました)。
リリース後、グローバルサイトでほとんどが1日で完売し、欧米マーケットを捉えることを狙ったLIMITED Tokyoのデザインは大きく成功しています。

目の前の事象を、いったん感情を後回しにして向き合うことで、否定する気持ちが起こりづらいし、マーケットを広く深く理解することにつながる。またそれを踏まえた自身のアウトプットも本質的なものになっていく。

こういう思考のプロセスは、マーケティングや経営戦略などに関わっている人の多くが当たり前のようにやっていることですが、こと趣味の世界になるとそれを忘れてつい感情的になってしまうことがあります。

僕自身も経験していることですが、モノでもアイデアでも、何かを世の中に向けてアウトプットしている人にとって、意図を理解されないまま嫌われるのはつらいものです。

「なぜ」という問いが生み出すのは、受け手側が発信側の意図を汲み取ろうと歩み寄るということ。
感情の前にワンクッション置かれることで、適度な距離感で理解し合うことができる。

そうした思考ができる人が増えるほど世界はより良いものになっていくだろうし、そうした人たちと一緒に、より優しく芯のある世界を作っていきたいとも思う。

だから今もこれからも、好きなものであれ理解しづらいものであれ、まずは僕自身が「なぜ」を問いかけながら思考することを続けていきます。

今号のライド

最近のライドで、素敵だったものをご紹介。

ラブサイライド(時坂峠)

都心に住んでいると峠へのアクセスが本当に悪いので、自走で行ける峠は限られてきます。その中でも手軽に景色を楽しめる時坂峠は、よく選択肢に入るコース。

距離3.5km、平均勾配8.6%と周辺の峠と比べると手頃なスペック。抜けが良い景色が見られる、近辺では数少ない峠のひとつなので写真撮影にも向いています。

頂上にはベンチがあり、山の涼しさを感じながらひと息。

時坂峠の前後に都民の森や風張林道を登るのが山好きの定番ですが、この日は猛暑。そんなときは無理をせず、カフェ休憩をいれてまったり帰途につきます。

今号のカフェ

お気に入りのカフェについて。

御根家

御根家

武蔵五日市駅と都民の森方面を結ぶ道の途中にある一軒家カフェ「御根家」。

オーナー夫婦がご自身で古民家を改装した内装は雰囲気抜群。
2階は宿泊用の部屋になっていて、檜原村周辺でサイクルイベントが開催されるときはいつもサイクリストが宿を予約していたとのこと。

テラス席も利用できるので、オープンな空間で食事が可能。
都民の森・風張林道・時坂峠などを楽しんだあとに、ほっとなれる場所です。

 

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