数々の名車を手がけたエンジニア、ピーター・デンクによって生み出されたSpecializedの『Aethos(エートス)』。
既存のモデルには存在しない設計思想だったため、エートスについて語られるときは、わかりやく「軽さ」だけに注目されがちでした。でもその本質は、自転車のスタイルに多様性をもたらす全く新しいカテゴリのバイクだということ。
それを感じ取ったサイクリストは、すでにエートスを選んで自分に合った遊び方を楽しんでいます。本企画で取り上げるのは、そんなサイクリストたちのストーリー。
第5回は、ヨガインストラクターとして活動する後輩ちゃんのスタイルにフォーカスします。
後輩ちゃん(@kouhaichaaaaan) ヨガインストラクター。職場の先輩と一緒にロードバイクをはじめたことから「後輩ちゃん」というアカウント名で活動をスタート。ライドとヨガを組み合わせたアクティビティ“サイクルヨガ”を各地で開催しており、サイクリストの身体に寄り添った自転車のスタイルやコミュニティの和を広げている。Specializedインフルエンサー。KAPELMUURアンバサダー。 |
text & photo/Tats(@tats_lovecyclist)[PR]
1. ライド×ヨガの効能
春を感じ始めた3月上旬、待ち合わせ場所の多摩川沿いに向かうと、ヨガマットを背負ってエートスで駆けてくる“後輩ちゃん”の姿が見える。黒のウェアをまとったスタイリッシュな印象と反して、顔を合わせると人懐こい笑顔で挨拶を交わしてくれる。
ヨガのインストラクターであり、自転車乗りでもある後輩ちゃん。以前から型にとらわれないスタイルで仕事や自転車遊びを続けていることは聞いていたが、本職ヨガインストラクターの姿や、自転車とヨガという異なるアクティビティをひとつに落とし込んで実践するようになった経緯などが詳しく知りたくて、実際にサイクルヨガをやってもらいながら話を伺うことにした。
── 自転車×ヨガは新鮮で惹かれる組み合わせですね。この取り組みを始めてみようと思ったきっかけはありますか?
気分転換に自転車に乗るのが好きなんですが、長距離を走るときに疲れにくくなるような方法を模索していました。そこで、ライドの途中でヨガを挟むスタイルを実践してみることにしたんです。
── その効果は。
ヨガをする前後でライドコンディションがまったく違うことに気づきました。ヨガ前は体が重くて疲労感が溜まっていたのに対して、ヨガをやったあとは体が軽くなってペダリングが軽やかになっている感覚があります。
ヨガのポーズは、柔軟性を高めて身体のバランスを改善するのに役立つんですが、このおかげで、ライド中に必要な姿勢とか動きをサポートして、疲れを軽減してくれます。
あとストレスも緩和してくれるので、ライドで昂ぶった気持ちを一度落ち着かせてくれます。実際にやってみて、ヨガとライドはすごく親和性が高いことがわかったんです。
── そこからいろんな人を集めてサイクルヨガというイベントをするようになったんですね。
はい、周りの人たちに聞くとヨガをやったことのない自転車乗りの方が多いということに気が付きました。だから自転車とヨガの相性の良さを体験してもらおうとイベントを開催するようになって、今ではいろんな場所でやっています。公園の芝生の上でやることもあれば、お寺とか水族館とか、色々な施設に協力いただいてイベントを行うこともあります。
内容はそんなに難しいものではなくて、ライドの合間にヨガを1時間ほど挟むという内容がほとんどです。
しかもサイクルウェアを着ていれば着替えなくてそのままできるし、芝生の上とかはマットを敷く必要もないので、走ってきた流れでヨガの動きに入れるのがとても良いんです。
ライドの合間にやると、スタジオレッスンにはない和気あいあいとした雰囲気にもなりますしね。
── 確かに、一緒に走ってきて気心が知れた仲間と同じ動きをするのは、グループライドに似たグルーヴ感を味わえそうです。
だから参加いただいた方の中から、新しい自転車コミュニティのつながりができるきっかけにもなっているんです。
2. 内側と外側に働きかけるアクティビティ
── 今は仕事でヨガのインストラクターをされていると思いますが、自転車とはどういう配分で過ごしていますか?
メインはやはりヨガインストラクターの仕事ですね。平日は毎日レッスンが入っていて、45分のセッションを1日に6本前後こなすスケジュールです。だから自転車は土日休みのときに乗っています。
── 1週間ずっと何かしら身体を動かしている。
これだけ聞くとすごくアクティブに活動しているように感じるかもしれませんが、力を抜くときはちゃんと抜いているんです。自転車はトレーニング志向ではないですし、家ではテレビの前から動かずにめっちゃダラダラしているので(笑)。
── (笑)。そもそも自転車をはじめようと思ったきっかけは。
もともと父がトライアスロンをやっていて、その姿がカッコいいなと思っていたんです。家族で旅行するのはいつも父のレース遠征に同行するときで、だから自転車はずっと身近な存在でした。
それから職場の先輩が薦めてくれた弱虫ペダルがきっかけで、自分でもロードバイクに乗ってみたいなと思って、2019年のクリスマスに買って翌年から乗り始めました。今年で自転車歴は4年目です。
── お父さんの影響が大きいんですね。普段はどんな走り方をしていますか。
父はレースを走っていましたが、わたしの場合はまず大前提として、「楽しめればいいじゃん」という考えで乗っています。
平日フィットネスで働いているので、休みの日は自然と競技っぽさからは離れた走り方になるんです。だから今はInstagramでつながった友だちと一緒に、必要以上にペースを上げないことがほとんど。ただ一緒に走る人がレースに向けてトレーニング強度で走ったりすることもあるので、そのときはがんばって付いていこうとしています(笑)。
実際わたしもレースに出ることはあります。ヒルクライムレースにゲストとして参加させていただくこともあれば、競う側として走ることもあり、そういうときはいつものライドと違う空気感を味わえるのが面白いですね。
── 話を聞いていると、自転車を無理なくライフスタイルに組み込んでいることが伺えます。
そうですね、ライドは単なる運動だけでなくて、大切なセルフメンテナンスのひとつでもあるんです。
そもそもヨガと自転車では、脳の感覚がまったく異なっていて。ヨガは言ってみれば「静的な瞑想」で、動きそのものに集中するもの。だから余計なことを考えることができなくて、外側に思考を向けることもありません。
代わりに、体重の載せ方や余計な方向に力が入っていないかなどを考えて、もしポーズができなくなった場合には、精神面に問題がないかを自分に意識を向けながら調整していきます。すごく内向的なアクティビティなんですね。
「内側」に意識を向け続けるヨガ
一方で、自転車に乗るときには「動的な瞑想」の状態になります。走ることだけに集中して、自分が今何をしているのか、あとで何をする予定なのかということは考えなくなります。でも終わった後には脳がすっきりしている感覚になります。
この状態になると、その後の人間関係や仕事に対する吸収力が全く違うと感じています。
自転車はある程度強度の上がる運動であり、外側に使う神経も多くて疲れはしますが、精神面のセルフメンテナンスには欠かせません。
「外側」に意識を集中するライド
3. Aethosで整う
── そのライドパートナーとして選んでいるのがエートス。
これはですね、出会ったときに本当に運命だと思いました!
去年の神宮外苑サイクルドリームフェスタにゲストとして参加していたんですが、そのときたまたまAethosに試乗してめちゃめちゃ感動したんですよ。走り出しが全然違って、乗り味が優しいし、Rival eTapの電動変速がすごく楽しい。それにロゴがないというのも良くて。ロードバイクにはロゴがないほうが絶対いいと思っていたんです。
── エートスの造形にロゴなしのデザインは刺さりますね。
当時はそれまで乗っていたTarmac以上に欲しいと思えるモデルがなかったんですが、エートスに出会ってその思いが更新されました。走り心地からデザインまですべてが気に入って、新車を買う予定がなかったのに後日すぐ買ってしまいました。
その後Specializedの方から声をかけていただいて、インフルエンサーになることになったんですが、試乗した当日に感動して騒いでいたことがSpecializedの方の目にとまっていたらしいです(笑)。
Aethos Comp – SRAM Rival eTap AXS
←Powerサドルを使用 | ナビはGPSサイコンよりもスマートフォンを使用することが多い→
←トップチューブバッグにはタブレット・鍵・リップなどを収納 | 華やかなバーテープ→
── 最初のバイクがTarmac Disc Sportということで、Specializedのバイクと縁があるんですね。
もともとSpecializedはレース向けのイメージだったんですが、色々なお店を見て回って一目惚れしたのがTarmacだったんですね。今回のエートスも一目惚れだったのでご縁ですね(笑)。
── エートスに乗るようになってから走りに変化はありましたか?
エートスはしなやかというのか、身体に優しい乗り味です。しかも軽くて、ちゃんと進んでもくれるので、トータルで速くなったと感じます。それに疲れにくくもなりました。
なんというか…エートスの乗り味は「整う」という言葉がぴったりなんですよね。さっき自転車はセルフメンテナンスということを話しましたが、エートスに乗っていると一層気持ちがあるべきところにすっと収まっていく感覚になるんです。
整うのはサウナだけじゃないんです。エートスで整うって知ってました?(笑)
── その言葉選び斬新すぎます(笑)。
プロのヨガインストラクターとしての凛とした姿、サイクリストとしてのリラックスした姿、そしてインタビューに答える率直な姿──本企画を通して、後輩ちゃんのさまざまな姿をうかがうことができましたが、そのすべてが“後輩ちゃん”という魅力的なキャラクターを構成していて、そこからつくられる唯一のスタイルだからこそ多くの人を惹きつけています。その魅力はヨガとエートスで整い続ける限り、ずっと色褪せないのだろうと思います。
後輩ちゃん(Instagram)
Specialized Aethos(公式サイト)
執筆・編集・写真/Tats(@tats_lovecyclist)
[PR]提供/スペシャライズド・ジャパン
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