Text by Tats(@tats_lovecyclist)
サドルを降りているとき、それは僕らの人生のほとんどの時間を占めるものですが、そこでどんな過ごし方をするかは人によって全く異なります。常にロードバイクのことを考えている人、スイッチを切り替えるように仕事に集中する人、自転車と同じような配分でほかの趣味を楽しむ人、といったように。
その中で僕は、自転車と私生活の間には“薄くゆるやかな繋がりだけがあれば良い”と考えています。それは、自転車の世界に極端に入り込みすぎず、常に“私生活”と“自転車”と“社会”という三角形が、バランス良い形に保たれているような状態だと思っています。
だから私生活で選ぶアイテムにも、そういった考え方──自分が自転車乗りであることを、自分やごく一部の人だけがわかる心地よい範囲でファッションに落とし込むこと──が反映されています。
これまでレビューしてきた、MAAPxBellroyの財布やバックパック、鈴木荘のネックレスがまさにそう。そして、今回レビューするIsadoreのシューズも、そんな感じのもの。
※本レビューで使用するシューズはIsadore提供のものです。
Isadore – イザドア
Isadoreは上質なサイクルウェアをつくる東欧スロバキアのブランド。
双子のプロ選手でブエルタなどで活躍したペーター・ヴェリトス(元BMCレーシング)とマルティン・ヴェリトス(元クイックステップ・フロアーズ)が立ち上げ、少人数のチームながらハイクオリティのモノづくりによって世界的に展開するように。
LOVE CYCLISTでもこれまで何度かウェアのレビューをしてきました。
Isadoreはサイクルウェアだけでなく、日常でも着られる“アーバンコレクション”も展開していて、いい意味で自転車ブランドらしくないラインナップが素敵なんです。
NOVESTA x ISADORE MARATHON
Novesta x Isadore Marathon(¥22,280)
これは、同じスロバキアのスニーカーブランド「Novesta(ノヴェスタ)」とコラボしたシューズ“マラソン”。
Novesta自体はIsadore関係なく日本でも展開されていて、ラバーとキャンバス地に特化したハンドメイドのスニーカーをつくるブランドとして知られています(全国の取扱店舗で入手可能)。
Isadoreとのコラボレーションによって生まれたのは、深い緑とイエローの配色が少しノスタルジックな雰囲気を感じさせるスニーカー。70-80年代に東欧で流行していたランニングシューズがモチーフになっていて、半世紀を経た現代では懐かしさの中に新しさを伴って、すごく格好良いデザイン…!
イタリア製のスエードと、メッシュ素材を組み合わせたアッパー。スエードの素材感と発色が綺麗めな印象を与えます。通気性があるので夏でもOK。
幅広なシルエットなので、日本人の足型にも合います。
スニーカーには珍しいダイヤルクロージャーシステムを採用
黒いパネルは反射素材で、夜でも視認性が向上
わかる人にしかわからないレベルのIsadoreのロゴマークが素敵
自転車もOKな“Elevated Urban Trail”ソール
アクセントカラーのイエローが映えるソールは、「Elevated Urban Trail」と名付けられたラバー製のオリジナルソール。
もちろん、クリートを取り付けられるような構造ではありませんが、自転車に乗るときもしっかりグリップしてくれるつくり。
Isadoreを“履いて”、街に出かける。
秋の訪れに合わせて、セットアップにスニーカーを合わせるスタイル。
インソールが土踏まずの部分がせり上がっているので、スニーカー内部でのホールド感が抜群。さくさく歩けます。
ヒールカップもかかとによくフィットします。僕は普段のスニーカーのサイズが26cmで、Marathonは“41”を選択。
いつもライドしているときのように、片手でさくっと締め付けを調整できるのがすごく心地よい。
でもビンディングシューズのようなシリアスさは全く感じさせなくて、普段着でちょうど良い抜け感があります(モデルはRyuji)。
薄くゆるく、自転車の世界と結びつく日常。
日常の中では、自転車乗りを匂わせすぎる(普段着にバックポケットや大きなブランドロゴが入ったような)スタイルはなかなか僕自身恥ずかしくてできないのですが、好きなウェアブランドが提案するさり気ないシティスタイルは積極的に取り入れたいと思っています。
このあたりは個々の線引き次第だとは思いますが、こうしてごく薄く自転車の世界と結びつく範囲のアイテム選びがちょうど良くて、外側との世界の関わりの中で自分自身を心地よい座標軸に置くことができています。
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