おしゃれな海外ブランド第3弾で紹介したメルボルンのブランド“Pedla – ペドラ”。
先日のNEWコレクション紹介記事で、ジャージデザインの新しい波を感じるようなLinear Collection(リニアコレクション)を見てきました。
このときは主にデザイン面でのアプローチで紹介しましたが、実際に手にとってわかったのが、テクノロジー面が非常に優れているということ。前回のレビューでは着心地の良いブランドだとお伝えしましたが、新しいコレクションは着心地に加えて、特にビブショーツが機能的に素晴らしい仕上がりになっています。
そこで本レビューでは、機能的観点を中心的にどのような設計思想でつくられたウェアなのかを詳細に見ていきます。
※2019年版最新ウェアのレビューはこちら
※本ウェアはPedlaより提供いただいたものです。
今回レビューするウェア
Full Gas Aero / Linear Jersey(ジャージ)
AquaDRY RG2+ / Linear Gilet(ジレ)
SuperFIT G+ / Loops Knicks(ビブショーツ)
今回レビューするのは、ジャージ+ジレ+ビブショーツの3点。いずれも11月に新たにリリースされたラインナップです。まずは特徴的なビブからレビューしていきます。
Contents
1. SuperFIT G+ / Loops Knicks
シームレスな裾
Loops Knicksの中で最も特徴的な裾の部分。通常ビブショーツは裾の部分だけ別素材になっていることがほとんどです。しかしこのビブは見ての通り、同じ生地のままシームレスに裾まで続いています。そして断面もレーザーカットでとても綺麗。
シームレスな裾は着用したときにその特徴がよくわかります。“SuperFIT”と名付けられたそのテクノロジーは、脚のラインが滑らかに流れるように、ビブと脚の境界線が曖昧になり、まるで新しい皮膚を自分の肌の上に被せているかのような感覚を味わうことになります。
ではズレを防ぐグリッパーはどうなっているのかというと、ちゃんと裏側に埋め込まれています。細かい点状のグリッパー自体はとても薄く繊細で、優しく太ももをサポートしてくれるもの。
ビブ
ビブ(肩紐)は紐の両サイドが補強されているため丈夫でヘタレにくく、取り扱いやすいつくり。PowerMESHと呼ばれる生地は軽量で汗抜けが良くなっています。
Cytech製シャモアパッド
様々なブランドが採用している、信頼性の高いCytech製のパッドはPedlaにおいても標準装備。これまで当サイトでレビューしてきたものもCytechパッドが多く、その安定感は折り紙付きです。
この形状は“Road Performance”というシリーズで、高い通気性と速乾性を備えつつ、ロードのポジションに最適化されているものです。推奨耐久時間は7時間と、休憩を挟んだワンデーライドでもOK。
また陰部にあたる部分は「包み込む」ような形状になっているため、プライバシー面での考慮もなされているのがうれしいところです(他社のパッドはフラット形状のものが多い)。
デザインと生地感
ネイビーの地にアシンメトリーなピンクの柄が入ったデザイン。後述するジャージのデザインと対となる柄になっています。
このビブはイタリア製の生地を使っていて、肌触りがものすごく滑らか。触っていると思わずとろけるような感覚になる最上クラスの生地です。
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ビブショーツのつくりによっては裾のゴムが太ももを締め付けてストレスになるケースがあります(かつて持っていたものの中には走行中に裾を裂きたくなるようなものもありました)。
しかし一定価格を超える商品になると、そういったケースはほぼなくなり、その中でもこのLoops Knicksの一体感は今までにない言い知れない気持ちよさを感じさせてくれます。
特にペダリングで太ももが上下運動するときの、ただただ同じ皮膚のように動く感覚は、走り続けたいと思う後押しにもなるほど。
また着たときのシルエットに凹凸が出ないため、(ほんの僅かですが)エアロ効果も得られるかもしれません。例えその効果を感じられなくても、少なくともその見た目から、自分自身がスマートで速いサイクリストになったような気分になれるものです。
2. Full Gas Aero / Linear Jersey
外観
80sのエッセンスを感じる、線をベースにした幾何学模様と鮮やかなカラーリング。
細線、太線、点線、波線など様々なラインが様々な方向からクロスしている様子は、まるで新たな道を常に切り開こうとする開拓精神の旺盛なサイクリストが交わっているかのよう。
また深い緑色の発色が美しく、着るものを活き活きした雰囲気にしてくれます。緑が綺麗なジャージ自体あまりないので、グループにいるときは存在感が出ます。
ディティール
生地全体に用いられている“DimpleDRY”という軽量素材は、柔らかく伸縮性が高く、そして通気性抜群のもの。シルエットがタイトにも関わらず、この柔らかさが作用して着心地の良さを演出しています。
Pedlaジャージの素晴らしさは、この生地とレースカットの組み合わせがあってこそといっても過言ではありません。
そして相変わらず袖のフィット感が素晴らしい。
裏面
高価格帯のウェアなので、もちろんつくりも丁寧。裏面の縫製や細部を見ても、納得の行くクオリティです。
“Designed in XXX”という表記は、Appleの成功によって今ではあらゆる商品で見られるようになりました。ここで表記されている“Designed in Melbourne”は、サイクルファッションの先端を行くメルボルン自体のブランド力を強く感じます。
バックポケット
両サイドぎりぎりまでバックポケットが付けられているため、収容量は最高クラス。均等に入り口が広いので手も入れやすい。
試しにボトル3本もするっと入りました。さすがにこの状態では走りませんが、これだけ容量があるとウィンドブレーカなどちょっとかさばるものも入れやすいのが良いです。
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Pedlaジャージの最大のポイントは、よく考えられた着心地とタイトフィットのバランスの良さだと感じています。さらにLinear Collectionによってトレンド性も加わり、このデザインが気に入った場合、買わない理由がほぼなくなりました。
もちろん、皮膚のようなSuperFITビブショーツと組み合わせれば、上下で最高の着心地とパフォーマンス(自分自身の気分の高揚を含めて)を体験することができます。
3. AquaDRY RG2+ / Linear Gilet
ジレはジャージとセットで使えるようにパターンも同じ柄。色違いで赤がありますが、両者には機能差があり、白のほうが3割ほど値段が高くなっています。
その機能差が強力な防水機能“AquaDRY”。外部からの水滴の侵入を防ぐだけでなく、内部からの汗の排出も可能にする「eVent」と呼ばれる素材を使用しています。eVentは同じ防水透湿素材のGORE-TEXよりも透湿性に優れた素材なので、発汗の多いロードサイクリング用に最適な素材が選択されていることがわかります。
ダブルジッパーも防水加工が施されていて、隙間からの浸水を防ぎます。これだけガードされているため、もちろん防風性についても申し分なく、防寒用途としてオールマイティに使うことができます。
eVentの性能だけではおそらく発汗した水分を一気に排出することは難しいため、サイドだけはメッシュ素材で通気性を高める仕様にしています。
バックポケットがついたタイプのジレなので、収容力の高いジャージと合わせて心置きなく必要なものを持ち運べます。
最近コンパクトタイプのデジカメを持ち運ぶことが多いのですが、そのときはジレに入れるようにするのが便利。
右サイドには反射テープつき。もちろんこのジレはポケッタブルなサイズに折りたたむことも可能です。
4. 着用イメージ
身長177cm/胸囲86cm/ウエスト74cm
ジャージS 、ジレXS、ビブショーツSを着ています。ジレだけはタイトに着るために1サイズ下げていますが、痩せ型でない限り同じサイズで揃えて問題ありません。
タイトフィットなので、サイズガイド通りに選択すれば綺麗に着こなせると思います。
Pedlaのウェアをもっと見る
Pedla公式サイト
※ウィンタージャケットもラインナップにあります。