輪行袋10モデル比較購入ガイド(ディスクブレーキ対応)

サイクリングの行動範囲が一気に広がる輪行。自走で行ける範囲には限界があるので、電車や飛行機を使って輪行するのは、旅と同じようにワクワクするもの。
本記事では、初めての輪行でも楽めるように、輪行袋の選び方とおすすめモデルを紹介。行動範囲を拡げ、新しい道との出会いを楽しもう。

text / Tats@tats_lovecyclist

*本記事は2018年公開記事を現状に即して大幅に改訂したものです。

輪行袋のタイプを選ぶ

どこまで分解する?

輪行袋は【A.前輪を外すタイプ】と【B. 両輪を外すタイプ】の2種類がある。
電車輪行を前提とする場合は、持ち込みサイズの関係から【B. 両輪を外すタイプ】を選択する。

【A.前輪を外すタイプ】は公共交通機関では規約違反となる場合が多いため*、車に積むときやホテルへの持ち込みなど、電車輪行以外のシーンでの利用が推奨される。

*JRの場合は「タテ・ヨコ・高さの合計が250センチ(長さは2メートルまで)」が持ち込み条件となり、前輪外しタイプはこのサイズをオーバーする

どうやって収納する?

両輪外しタイプは、さらに①縦置き②横置きの2種類に分けられる。

①縦置き ②横置き
省スペース
▲収納に時間がかかる
▲高さがあり持ち運びづらい
収納が早い
▲幅があるので場所を取る

それぞれ一長一短があるが、「②横置き」の方が収納時間が短いため扱いやすい。少し場所はとるものの、新幹線の特大荷物スペースでもぎりぎり収まるサイズ感なので、ほとんどのシーンで活躍できる。
「①縦置き」は車内が混雑するシーンに向いている

利用シーンに応じて最適な方を選ぶ必要があるが、両タイプを所持しておけば、基本はさくっと収納できる横置きタイプを常用し、省スペースで輪行したいときだけ縦置きタイプを使用する、というように使い分けもできる。

横置きタイプ(袋に収容する前の状態)

 

比較①縦置きタイプ5モデル

縦置きタイプと言えば「Ostrich(オーストリッチ)」。オーストリッチはショップで取り扱いが多く入手しやすいため、はじめての輪行袋によく選ばれる。豊富なラインナップも特徴で、用途に合わせて生地の厚さや重量を選択することが可能。

Ostrich輪行袋比較

モデル ウルトラSL100
ウルトラSL-100
SL100
SL-100
L100
L-100  定番 
ロード220
ロード220
ロード320
ロード320
重量 110g 200g 235g 320g 500g
価格 ¥9,800 ¥10,010 ¥7,150 ¥10,010 ¥7,480
特徴 超軽量
緊急用に最適
軽量で丈夫 軽くて安価 収納ラク 収納ラク&丈夫
サイズ感 バックポケット◯ ボトルケージ◯ ボトルケージ◯ ボトルケージ◯ サドル下◯
ホイールポケット



エンド金具
肩ベルト
固定バンド
購入リンク Amazon Amazon Amazon Amazon Amazon

どれを選ぶ?

モデル数は多いが、それぞれ特徴がはっきりしているので、用途に合わせて選びやすい。特に気にしたいポイントは、「重量」「ホイールポケットの有無」「価格」の3つ。

●緊急用に常備したい→『ウルトラSL-100(110g)』:バックポケットに入るので、緊急用にいつも持ち運ぶのに最適。生地は普段使いすると破れる可能性があり、常用は避けた方がベター。

●普段使いしたい→ 『SL-100(200g)』『L-100(235g)』:軽量コンパクトで普段使いに最適。オーストリッチ製品で最も売れ筋なのはL-100。ただSL-100の方が35g軽くて丈夫な生地なので、予算が許せばSL-100を選びたい。

●楽に収納したい→『ロード220(320g)』『ロード320(500g)』:ホイールポケットがあり、ホイールとフレームの結束は3箇所→1箇所になるので、収納時間を少し短縮できる。ロード220はエンド金具付き(スルーアクスル用とクイックリリース用の2タイプから選べる)。ロード320の方が丈夫だが、大きくて持ち運びは難しいので、ひとつの駅を拠点としたライドに向いている。

縦置きタイプと一緒に購入するもの

袋の中でパーツが干渉してフレームやホイールが傷つく可能性があるため、各パーツを保護するカバーを一緒に揃える。
ディスクブレーキ車とリムブレーキ車で必要なものが異なるので注意。

◎必須、◯あると良い

*輪行袋に付属している結束バンドでも問題ないが、ワンタッチで固定できるゴムバンドは時短になる

 

比較②横置きタイプ5モデル

横置きタイプは「マルト」を中心にさまざまなメーカーのラインナップがあるが、縦置きタイプ同様に重量や収納しやすさを元に選択するモデルが決まる。特徴の異なる5つの代表的なモデルを比較する。

横置きタイプ輪行袋比較

メーカー ポケットイン マルト プレミア
モデル ポケットイン輪行袋
超軽量輪行袋 PI-1
マルト RK-UK
RK-UK
RK02
RK-02M
RK03
RK-03DR
プレミア輪行袋
かんたん輪行袋
重量 200g 178g 320g 500g 700g
価格 ¥5,480 ¥7,480 ¥6,160 ¥9,000 ¥5,060
特徴 軽量&安価 軽量 縦置きもOK 縦置きもOK
ディスク専用設計
収納ラク&丈夫
サイズ感 バックポケット◯ バックポケット◯ ボトルケージ◯ サドル下◯ サドル下◯
ホイールポケット


肩ベルト
固定バンド 不要
スプロケカバー
ローターカバー
パッドスペーサー
購入リンク Amazon ワイズロード Amazon  Amazon  Amazon 

どれを選ぶ?

●緊急用に持ち運びたい→『ポケットイン超軽量輪行袋(200g)』または『RK-UK(178g)』:こぶし大まで小さく折り畳める。バックポケットやバーバックなどに入るので、ロングライドの緊急用として最適。

●普段使いしたい→ 『RK-02M(320g)』または『RK-03DR(500g)』:「RK-02M」は軽量コンパクトでバランスの良いつくり。「RK-03DR」はカバーやスペーサーなどディスク輪行に必要なものがすべて付属するので、初めて輪行袋を購入するディスクブレーキユーザーに最適。2つともほかの輪行袋と違ってハンドルを真っ直ぐにして収納するため、横幅・縦幅ともに大きくなるが、床に置いたときの安定性が高くなり、またハンドルを大きく切れないエアロロードにも使える。フロントサス側を下にして縦置きもできるので、車内が混雑する場合に使い勝手が良い。

●楽に収納したい→『プレミアかんたん輪行袋(700g)』:ホイールポケットがあり、ホイールとフレームを結束する必要がなく、収納時間を1〜2分短縮できる。持ち運び用の肩紐も袋に縫い付けてあるので、バイクを詰めたらそのまま運べて超簡単。重量は700gとかなり重いため、ひとつの駅を拠点としたライドに向いている。

横置きタイプと一緒に購入するもの

  ディスク リム
パッドスペーサー  –
スプロケットカバー
ローターカバー  –
チェーンカバー
フレームカバー
固定バンド(ゴムタイプ)*

◎必須、◯あると良い

*輪行袋に付属している結束バンドでも問題ないが、ワンタッチで固定できるゴムバンドは時短になる

 

飛行機輪行にはこれ!

飛行機の受託荷物の場合、自転車は破損しても補償の対象外となる。国内線であれば、自転車であることを伝えた上で丁寧に扱ってくれる航空会社が多いので、上で紹介した軽量なものでも問題ないケースはあるが、万が一のために保護性能の高い専用のケースを使用することを推奨する。

国内線:オーストリッチ『OS-500』

国内線輪行の定番モデル『OS-500(¥22,500)』。ホイールポケットに両輪を入れ、フレームは逆さにして収納する。自転車のサイズによってはサドルを下げる必要がある。厚さ約10mmのウレタンを使用しているため保護性能が高い(とはいえ念のためフレームカバーを付けてリアディレイラーは外しておくのが吉)。使用しないときは三つ折りでコンパクトになる。

OS-500(Amazon)

国際線:シーコン『エアロコンフォート3.0』

飛行機輪行バッグの代名詞とも言えるSciconの『エアロコンフォート3.0(¥127,000)』は、プロサイクリングチームも使用するケース。バッグ表面は高強度のナイロン素材と耐衝撃性の高い保護パッドで覆われ、ハンドル・サドル・DHバーを保護するパッドも付属。スルーアクスルにも対応。キャスターが付いているので空港内の持ち運びも問題ない。

エアロコンフォート3.0(Amazon)

 

ディスクブレーキの輪行って何が大変なの?

パッドスペーサーを挟むことが最も重要

「ディスクブレーキは輪行が大変」と言われる。確かにリムブレーキ車と比べると気を遣う部分がいくつかあるが、少し手順が増えるだけなので、時間にすれば+1分くらいのもの
3つのポイントを抑えた上で、一度輪行作業してしまえば、ディスクブレーキでも問題なく輪行できることがわかるはず。

①ホイールを外した状態でブレーキレバーを握らない

ディスクブレーキ車は、ホイールを外した状態でブレーキレバーを握ると、ブレーキキャリパーのピストンが飛び出して戻らなくなる。一応マイナスドライバーなどでこじ開けることはできるが、ブレーキレバーを握らないように、輪行作業するときは車体を逆さにしてからホイールを外すようにする

②ブレーキキャリパーにパッドスペーサーを差し込む

携行中にうっかりブレーキレバーが引かれてしまうケースも考慮して、ブレーキキャリパーにパッドスペーサーを差し込んでおく。スペーサーは市販のものでも良いし、緊急時はボール紙などでも代替可能。

③ブレーキローターを保護する

ローターが汚れたり折れ曲がったりすると制動力に影響するため、ローターカバーを装着する。
ローターカバーは市販のスプロケット用カバーやソックスでも代替可能。ただし、スプロケットに使用したものをローターに使うと油汚れが付着するため、カバーはローター専用にする。

 

Appendix. 電車輪行するときのポイント

初めて輪行するときは、あらかじめ以下のポイントを抑えておく。

事前に自宅で出し入れの練習を

輪行準備は慣れると5分程度で出し入れできるようになるが、最初は試行錯誤しながら作業するため30分以上かかることも。出先でやり方がわからず立ち往生する前に、自宅で2〜3回収納の練習をしておくと現地での作業がスムーズになる。

組み立て/解体する場所を選ぶ

駅前で輪行袋に出し入れする際は、以下の条件に合った場所を探す。

  • ・作業スペースをとるため、人通りが少ない平らな場所
    ・部品が飛んでいかないように、風のない場所 
    ・袋が汚れないように、床のきれいな場所

乗車位置は先頭か最後尾

乗客の少ない先頭か最後尾の列車に乗り、車掌室側の壁に自転車を立てかけると、ほかの乗客の動線を妨げない。空いていれば車椅子スペースにも置くことはできるが、車椅子の方が乗車してきたら速やかに移動する。

電車には常識範囲内の服装で

下半身のラインが出るビブショーツを隠すために、乗車時はショートパンツを履くことを推奨。
また夏場は冷房が効きすぎている場合もあるので、必要に応じてウインドジャケットを用意しておく。

帰りは汗と臭いを拭う

ライドを終えて電車に乗るとき、一日かいた汗をデオドランドシート等で拭き取る。さっぱりして帰りも爽やかに。

著者情報

Tats Tats Shimizu@tats_lovecyclist
編集長&フォトグラファー。スポーツバイク歴11年。ロードバイクを中心としたスポーツバイク業界を、マーケティング視点を絡めながら紐解くことを好む。同時に海外ブランドと幅広い交友関係を持ち、メディアを通じてさまざまなスタイルの提案を行っている。メインバイクはStandert(ロード)とFactor(グラベル)。