Text by Tats(@tats_lovecyclist)
こんにちは。僕が普段感じていることや最近のトピックなどをラフな感じで書く不定期企画“Journal”の第3号です。
長年LOVE CYCLISTを運用していてよく聞かれる質問のひとつが、「記事をどうやって作っているのか?」というもの。これは読者からというよりも、同じようなことをしている/したい人から受けることが多い質問ですが、ここ最近で制作フローがやっといい感じになってきたと思えるようになったので、この機会に残しておきます(わりと専門的な内容です)。
記事ができるまで
全体のフロー
LOVE CYCLISTの記事は、現状4〜6日に1本公開するペース。
1本あたりの制作フローは、①ライティング→②撮影→③RAW現像→④画像制作→⑤仕上げという一般的な記事制作の流れと変わりありません。これを複数の記事で並行して進めます。
僕はほかにフルタイムの仕事があり、またライドや家族と過ごす時間なども大事なので、ほかのものごとが破綻しないように(それが最も重要なこと)リソースとペースを管理しています。
使用デバイス
制作環境に投資することは効率化につながり、さらに更新するモチベーションを生みます。運用に欠かせないデバイスは3つ。
■Macbook Pro 2017(13インチ):メインマシンは昔からずっとMacbook Proを乗り継いでいます。外出先でも作業することが多いので、携行性と使いやすさのバランスが一番良い13インチモデルを使用。
LightroomやPhotoshopなどの重いアプリケーションを頻繁に使うため、メモリは16GBにしています。
■iPad Pro 2018(11インチ):サブマシンとして昨年新たに導入したiPad Pro。これにより作業効率が飛躍的にアップし、フローが大きく変わりました。Smart FolioとApple Pencilが便利過ぎて、そして動作もサクサクすぎて快適。MacOSとの連携もシームレスで、もうこれがないと生きていけないレベルの神機。
■FUJIFILM X-Pro2:いつも撮影に使用しているカメラは、FUJIFILM X-Pro2。これに単焦点レンズを付けています。X-Pro2くらいのサイズに単焦点レンズを装着するのが強度の高いライドで持ち運べるぎりぎりの重量だと思っています。
ストラップは「伸縮エアーストラップ」と「C-Loop」を組み合わせて使用。肩に食い込まず、長さも変えやすくて便利。
①ライティング(Macbook/iPad)
文章は「Ulyssses(App Store/Mac App Store)」というライティングアプリを使って書いています。
iPhone/iPad/Mac版があり、デバイス間で書いた内容を同期できるので、空いた時間に持っているデバイスを使ってすぐ書くことができます。
基本はiPadやMacbookを使って全体を書き、iPhoneで隙間時間を使って細かい部分を修正していくというような流れ。
ライティングが一番時間がかかる部分で、書き終わったあとも何度も何度も通読して、論理展開や文章に違和感がないかをチェックします(客観性を保つために第三者にも見てもらいます)。
ちなみにマークダウン形式で記述することで、後工程が格段に楽になります。
②撮影(X-Pro2)
ウェアや機材のレビューは、レビュー対象アイテムの雰囲気がちゃんと伝わるような場所を探し、ライドを兼ねて撮影します。
“映え”スポットを求めると、ときにはかなり移動する必要があることも(ロケハンはすごく重要)。150kmコースを高強度で走りながら撮影したりもしますが、さすがに2倍疲れます。
③RAW現像(iPad)
そして撮影したデータはその日のうちにRAW現像します。外での撮影はスタジオ撮りと違ってあまりカメラ側の設定を細かくいじる時間はつくれないので、この後工程に工数をかけています。
RAW現像には画像処理スペックの高いiPad Proが活躍。Adobeの「Lightroom(App Store)」を使い、アイテムの内容に合わせた色づくりをじっくり行います。
ここが記事を作る一連の流れの中で一番好きな作業。撮った写真が、現像によってより活き活きしてくるさまに、カタルシスに似たような喜びを感じます。
④画像制作(Macbook)
サムネイルや記事内で使用する画像はほとんどMac標準アプリ「Keynote」を使って作成しています(Photoshopも併用)。
Keynoteは本格的なデザインをするときには用いませんが、記事制作は効率も重視したいので、動作が軽いKeynoteでの作業は圧倒的にスピーディ。僕の経験上、作業時間を最も圧縮できるツールです。
もともとの用途であるプレゼン資料作成だけでなく、画像制作までできるKeynoteは最&高なんです。
⑤仕上げ&公開(Macbook/iPad)
LOVE CYCLISTはWordPressでコンテンツ管理しているので、最後にWordPress内で仕上げをします。
まず④で書き出した画像を①Ulyssesの文章中に挿入。次にその文章をWordpressに下書き投稿します。
UlyssesはWordPress連携機能があり、マークダウンで書いたスタイルがそのままマークアップ形式に変換さます。見出しや強調などを指定し直す必要がないので、これがものすごく便利。
最後にPC/スマートフォン両デバイスで確認しながら微調整を行い、問題なければ公開となります。
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こんな感じで1つの記事ができあがります。
ここに紹介しきれない利用ツールや制作ルールもあり、また最近はほかのメンバーも絡むため、より複雑な動きをするようになっています。そのため「Trello(AppStore)」というダッシュボード型進捗管理アプリを用いながら、スムーズにタスク処理できるようにしています(普通に仕事のプロジェクト管理などでも使える便利なアプリです)。
またデバイスはMacbookとiPadを併用するかたちですが、本当はすべてiPadで完結できれば良いなと思っています。秋のiPad OSの登場によって、その実現が一歩近づきそうで楽しみです。
ほとんど本職の仕事のように環境を整えていますが、「好きなことで生きていく」という言葉のように、走ることも書くことも撮ることも、全部好きだから一応やれているんだと思います。
今月のライド
最近のライドで、素敵だったコースをご紹介。
渋峠
ずっと行きたかった渋峠。
草津側のルートは火山活動の影響で規制されているため、長野側から登りました。景色の変化がある山道は登っていて飽きないですね。
休むポイントがほぼなくてジワジワと脚を削られるルートでしたが、このときレビュー用に借りていたStorckのFascenarioがとても優秀で、10人以上集まったメンバーと一緒に楽しみながら登ることができました。
企画してくれた仲間に感謝です。
山頂は霧がかって何も見えず…
今月の機材
僕の使用機材について。
「ポディウムアイス」で乗り越えるホット・ホット・サマー
これまで保冷ボトルはデザインの観点から気に入るものがなかったので購入を見送っていたのですが、突然訪れた猛暑を走る中で「デザインとか言ってる場合じゃねぇ…!」という命を優先する感情が遂に芽生え、保冷ボトルを導入。4倍の保冷力を持つキャメルバックのボトル“ポディウムアイス”。命が救われるプロダクトでした。
もちろん保冷力4倍だからといって何時間も保冷されるわけではないので、Ryujiの薦めで以下の運用を実施しています。
- ・1時間に1回はコンビニ休憩を入れる
・休憩時に都度ロックアイスと水を購入し、ボトルに入れる
通常のボトルだと氷水も10分でぬるくなりますが、この運用で常にキンキンの冷水を摂取&水浴びすることが可能。残暑にも活躍します。
上手なれ。
記事の制作フローをよく聞かれると話しましたが、実際にそのプロセスを伝えると、「自分にはできない」という反応をいただくことがほとんど。でも、その方にもまた別に得意な領域や熱中できる物事があることは、話しているとよく伝わってきます。
そういう「好き」というエネルギーの塊のようなものを正しいかたちで発散していくことで、この世界は少しずつ良くなっていくのだと信じています。そのためにも、僕たち自身の「好き」というスタンスを大事にしながら、LOVE CYCLISTをベースに色々なことに挑戦していきたいと思います。
質問・感想など募集しています。
記事の感想やLOVE CYCLISTに関する質問、その他僕に聞いてみたいことなどを質問箱からお気軽にどうぞ!質問はJournal等で都度回答していきます。