ペダリングに使われる筋肉を知ることは、ペダリングスキル向上のために役立ちます。
たとえば、引き足がうまくできないときはどの筋肉を使えば良いのか、どの筋肉を意識すればきれいに回せるようになるのか、といったことが感覚ではなくロジカルに把握できます。
チェコのサイクルマガジン”WeLoveCycling“に、ペダルストロークと筋肉の関係性に関する非常にわかりやすいインフォグラフィックが掲載されていますので、日本語化して紹介します。
1. ペダリングでどの筋肉が使われているのか?
Source: http://www.welovecycling.com/wide/2016/05/06/kind-muscles-used-pedal-stroke/
円に描かれている色と同じ色の筋肉が、ペダリングで使われる箇所を表しています。
この図から明確に言えることは2つあります。
・1時〜3時は足の筋肉を総動員させているため出力が最も大きい
・7時〜10時は対応する筋肉が少ないため力を入れても出力は少ない
これを踏まえて、スムーズな美しいペダリングのためには筋肉にどのような意識を向ければ良いでしょうか。
2. きれいなペダリングのために意識するべきこと
きれいなペダリングというのは、回転に合わせて使う筋肉がスムーズに移行していくムラのないペダリングです。
よくありがちな踏み込みだけ強いペダリングだとカクカクとぎこちなくなりますが、回しながら場所によって使う筋肉が自然に変化すると、力が無駄なくペダルに伝わることできれいなペダリングになります。
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もう少し具体的に説明していきます。
まず筋肉を意識しやすいように、上図の10の筋肉を大きく4つに分類し、それぞれの役割を把握します。
ペダリング時の筋肉とその役割
部位 | 役割 |
お尻(0時〜5時) | 出力が大きい[ペダリングの前半]すべて |
もも表(10時〜4時) | [上死点通過]から[踏み込み] |
もも裏(2時〜7時) | [踏み込み]から[下死点通過] |
ひざ下(0時〜12時) | 上記3つの動きを360°補助 |
回すときに意識する筋肉
- ・使われる筋肉が重複している箇所は、図の外側にある筋肉を優先的に意識します(例えば3時ではすべての筋肉が使われているが、意識するのはお尻)。
・つまり、上死点前[もも表]→踏み込み[お尻]→下死点前後[もも裏]という意識分けになります。
・7〜9時の空白は力を入れず、[もも裏]から[もも表]への移行区間とします。
・ひざから下は補助的な役割なので意識しないようにします(「左手は添えるだけ」のようなイメージ)。
これを円運動に当てはめると、もも表→お尻→もも裏→もも表→お尻→もも裏→…というように順番に使われる筋肉が移行していくことになります。
これを意識せずに回せるようになると無駄のないきれいなペダリングが実現できるようになります。
うまく筋肉を移行させるコツ
練習のときは、回すたびにいちいち筋肉の移行を意識すると逆にぎこちなくなってしまうので、コツとしては脚の付け根に意識を持っていって大きく円を描くようにすると、膝上全体の筋肉が使われていくのが実感できると思いますのでお試しください。
あるいは低ケイデンスで、使っている筋肉を意識しながらゆっくりペダリングをすることも、脚の動きを理解する上では有効な方法となります。
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こうやって言うのは簡単ですが、実際にきれいなペダリングを維持し続けるのは非常に大変です。僕も疲れてくるとぐちゃぐちゃなペダリングになってしまうことがよくあります。どんなときでもきれいなペダリングを維持できるように追い込みながら練習していきたいですね。