懐かしくて新しい。
いつもミラーレスを持ち歩いている身としては(持ち走る?)、撮ったものがその場で確認できるのはあたりまえ。枚数を気にせず撮影できるのもあたりまえ。
そんな常識で自分の撮影スタイルもバシッとキマっていると思っていたとき、仲間のRinが提案してくれた「写ルンですフォトライド」。デジカメは自宅に置いて、ライドメンバーみんなが写ルンですだけを持って走る。
どんなものが撮れたかすぐにわからない、撮影可能枚数が27枚だけ、というフィルムの制約の中でどんな画が生まれるか。今回は重いミラーレスを背負うのではなく、写ルンですをポケットに入れて軽やかに走ってきました。
Produced by Rin(@f430_lisa_)
photo/Nob, Rokuto, Riku, Rin, & Tats
text/Tats(@tats_lovecyclist)
*この記事の写真は、すべて「写ルンです」で撮影したものです。
写ルンですライド
「写ルンですを持って走りませんか」Rinの呼びかけに集まったのは、プロのフォトグラファーを含む5人の写真好きなサイクリスト。普段は全員がミラーレスで写真を撮っているため、フィルムカメラを使ったらどんな画ができあがるだろうか、というワクワク感しかありません。
写ルンですのレンズの特性をインプット。
もちろん知らなくても直感的に撮れるけれど、普段使っているカメラとは全然違うものなので構図の切り方のために把握します。
写ルンですのレンズは広角の32mm。F値はパンフォーカスとなるように10。かなり絞り込まれた暗いレンズなので(屋外のライドではあまり関係ありませんが)室内ではフラッシュが必須です。また最短撮影距離は1m。だから寄りすぎて撮るとピンぼけしてしまう。
このあたりを知った上で撮影すれば、失敗が減る、はず。
ライド中の撮影に特に制約は設けていません。どこで何を撮っても、どんな配分でフィルムを消費してもOK。撮りたいと感じたら、フィルムを巻いて、シャッターを押す。撮ったときのイメージと現像後の写真が一致しているか、それも楽しみのひとつ。
そんな感じで撮影したものを後日お店で現像しました。昔と違ってプリントアウトはマストではなく、データだけ転送してもらうことができます。その場合でもネガはもらえるので、必要であればいつでもプリントすることも可能。
道中
今回のコースは、多摩川の丸子橋→横浜経由→由比ヶ浜→北鎌倉の古民家で食事というリラックスした感じのプロファイル。余裕のある軽い感じがちょうど良いと思って、それは実際に写真の雰囲気にも表れています。
丸子橋からスタート
産業道路をひた走る
水浴びボーイ
ジージーとフィルムを巻く行為が久しぶりすぎて、それ自体にエモい感情が湧き上がる。よく知っているメンバーとのライドなのに、なぜか20年くらい前を生きていた頃のような感覚になる。
逗子海岸
逗子海岸に到着
海とサイクリストたち
テントサウナから伸びる手
海沿いのスナップ
海岸沿いをコースに入れたのは、フィルムで空や海の色合いを写したかったから(クリートに泥が溜まるので海岸線近くまで行くのは難しかった)。
あいにくの曇り空だったけれど、ほの白い色彩は時代を超えて心に訴えてきます。
北鎌倉 Isayah TIME AND SPACE
ランチは、北鎌倉駅から5分くらい走った場所にある「Isayah TIME AND SPACE」という古民家レストランへ。
最後に激坂を超える必要があるレストラン(サイクリスト歓喜)
日本家屋と庭。ここだけ時の流れがゆるいんじゃないかと思う心地よさで(電波も弱い)、写ルンですの世界では余計にそのノスタルジアが膨らんでいく。
座敷は満席だったため、広い庭でお昼をいただく。また訪れたい
* * *
こんな感じの写ルンですライド、めちゃめちゃ楽しかったです。改めて使ってみると撮影方法がシンプルなのが良いですね。切り取りたいと思った瞬間にパッとシャッターを切るだけ。だからライドそのものが純粋に楽しめるし、写真を後日確認するワクワク感まで含めてライドの思い出になる。
何より写ルンですの仕上がりがすごく良い…!今を撮っているのに、懐かしい雰囲気になる不思議な感覚。写真の楽しさって、スペックや綺麗さだけではない、違うベクトルもあるということを発見させてくれました。
みなさんもぜひ、写ルンですをポケットに入れて走ってみてください。
写ルンです シンプルエース 27枚撮り(Amazon)
Produced by Rin(@f430_lisa_)
photo/Nob, Rokuto, Riku, Rin, & Tats
text/Tats(@tats_lovecyclist)