edit & photo/Tats(@tats_lovecyclist)
ライドするためには、どの機材を使うか/どんなウェアを着るか/どんな小物を持ち運ぶか、といったさまざまな“モノ”に関する選択が僕たちに求められます。
モノ選びの価値基準は、サイクリストによって本当にさまざま。そこからはライフスタイルを含めたそのサイクリスト自身が持つ「ルール」のようなものが見えてきます。
そういった観点で、LOVE CYCLISTのメンバーが今どういうルールで自転車関連のモノを選んでいるかを話すのがこの企画。
第3回のテーマは「ウィメンズアイテム」。女性観点から、どのようにサイクルウェアやスキンケアアイテムなどを選ぶか、どんな悩みを抱えていてそれを解消しているかを、サイクリングファッションに精通しているBekiとMeiが語ります。
Beki(@mooooo000min)
長崎県出身。2010年にロードバイクデビュー以降、ブルベやヒルクライムなどを中心にライドを楽しむ。
自転車ファッションにも精通しており、自身のInstagramでさまざまな着こなしの提案を発信。e-sportsバイク女子チーム「One Lap Angel」メンバーとしても活動中。
Mei(@meisan_no_yakata)
神奈川県出身。スポーツバイク歴は5年。これまでブルベやヒルクライムなどのイベントに参加し、様々な自転車の楽しみ方に触れてきた。自転車を始めた頃からサイクルウェアに対する興味が深く、瑞々しい感性で自転車ファッションを楽しんでいる。
1. 推しのブランド&スタイル
Mei:今回はBekiさんと対談できるということでとても楽しみにしていました!
Beki:こちらこそ、Meiちゃんとウェアの話ができるのが嬉しいです。よろしくお願いします!
Mei:今日はまずウェアの話をして、そのあとスキンケアやコスメの話をしていこうと思います。
Bekiさんはめちゃめちゃウェア持っていると思いますが、サイクリングファッションに興味を持つようになったのはいつ頃ですか?
Beki:私はロード初めて今11年目なんですが、最初は1万円を超えるジャージなんか「高すぎて、一生買わねぇわ!」って思ってました(笑)。でも6年目くらいに試しにと思って手を出してみたんですね、やっぱり最初はRaphaで。
そこでウェアに対する価値観がガラッと変わりました。デザインも着心地もこれまで着ていたものより全然良くて、それ以来色々な海外のブランドを着るのが大好きになりました。それこそラブサイの「海外ブランドリスト」をよく活用しています。
一生買わないと思っていた海外ブランド
Mei:ありがとうございます〜。私もRaphaがきっかけだったんですが、一回手を出しちゃうともうどんどん手を広げたくなりますね。今はどのブランド推しですか?
Beki:う〜ん、悩むなぁ…。Café du Cycliste(以下CDC)もVelobiciも好きだし、もちろんRaphaも良いし。
Mei:最近どのブランドも良すぎるんですよね…!! 私も冬はCDC、夏はIsadoreやBlack Sheep Cycling(以下BSC)とかが好きですが、ほかにも気になるブランドを挙げるときりがないです。Pas Normal Studios(以下PNS)はコミュニティの観点から持ちたいなと思っています。周りを見ているとPNSのつながりいいな〜って。
Beki:九州にはまだPNSの波は来ていないんですよね。たぶんだんだん下りてくると思います(笑)。
福岡に「正屋」さんというIsadoreやCDCを取り扱っているショップがあって、その周辺ではこの2つのブランドが人気です。特にCDCの花柄ジャージは、男性も着ていてめっちゃ流行っています。
Mei:あの可愛いやつですね!
男性にも人気のフロリアン(Café du Cycliste)
Beki:CDCは冬物がカジュアルにも着られる素材なので、私も自転車通勤で週4は着ていました。汗抜けも良いので通勤ウェアとしてもちょうど良いんですよね。
Mei:BekiさんがそうやってCDCを自由に着こなしているように、最近ウェアのスタイルに自由度が生まれてますよね。
Beki:組み合わせを考えるのが楽しいです!女性用ビブショーツも裾が短めなものが出ていますね。可愛く見えるし、脚長効果もあるので積極的に履いていきたいと思っています(笑)。特に韓国系はどれも短いですが、私にとってはAttaquerくらいの丈がちょうど良いかな。
Mei:短い丈良いですよね。私はBSCのやや短い丈がぴったりです。本来ビブショーツの丈って、私服で考えると脚が短く見える一番イケてない長さなんですよね。
Beki:わかる〜!
Mei:なので、もっと短くてもいいのにと思っていたら最近変わってきました。
ビブの丈も短めに(Black Sheep Cycling)
Beki:あとカラーリングも、ここ最近は私服のトレンドと同じでアースカラーの展開が多くて落ち着いてきてますよね。
Mei:アースカラー大好きです!KPLUSのベージュヘルメットを使うようになってから、Arden bikeのウェアと合わせて全身淡い色にするのがお気に入りになっています。
ヘルメット含めてアースカラーで統一
Beki:私はちょっとトレンドとは違うかもしれませんが、以前からずっとビタミンカラーをよく着ています。色味がパキッとした派手なのが好きで、IRISとかTenspeed Heroとかがそれ系ですね。RaphaのEFプロチームジャージを着ているのも、推し*がいるからというよりも、色が好きだからかな。
*別府史之選手
Mei:そこは推し関係なかったんですね(笑)。 今シーズンはアースカラー続きの反動なのか、逆にブルー系やビタミンカラー系のラインナップも各ブランドから出てきてるので、今はどちらも楽しめますね。
鮮やかなデザインを着こなす(左: TSH/右上: IRIS/右下: Rapha)
2. ウェア選びの悩み
Mei:今度はウェア選びの悩みという観点からも話したいと思います。
Beki:それだとまずは「サイズ選び」ですね。ブランドによってつくりが違うから難しい。
Mei:ちょっと余談ですが、海外ブランドを初めて買ったとき、純粋に「サイズ表記間違ってないか?」と不安になりました。日本だとMとかLを普通に着ていた私がXSサイズ?みたいな。実際はサイズガイド通りで大丈夫だったのですが、そのとき以来ちゃんと自分のBWHサイズは測るようになりました。
Beki:めちゃめちゃサイズガイドとにらめっこしますね。私の場合はRaphaがXSなので、Raphaと欲しいブランドのサイズガイドを比較して、このブランドはXSなのかSなのかって選んでます。
Mei:サイズガイド以外にも、サイトに掲載されているモデルの着用サイズをチェックすることもあるんですが、モデルさんが細すぎて参考にしづらいことがありますね。そういうときは、「この人がXSなら私ならワンサイズ上げて…」と想像でうまくやりくりします(笑)。
Beki:わかる。でもときどき微妙に失敗することはあります。でも大抵は着れちゃうからそのまま着ちゃえって。
Mei:(笑)。
あとメンズのデザインが良いことがあってときどき着るのですが、やっぱりシルエットが違うなと思うときがあります。特にウエストラインに差が出ますね。女性の方が骨盤が広いので。
ときにはメンズを着用(Rapha)
Beki:メンズデザインが欲しいときありますよね。以前と比べると男女のデザイン差をなくすブランドが増えてきていますが、まだ全体で見るとメンズの方がバリエーションが多い。
その点Velobiciはよくできていると思いました。男女共通でXXS〜XXLサイズを展開しているのですが、女性が着ても男性が着ても綺麗なシルエットが出るんです。生地とかカッティングでうまくまとめるようにしているんだなって。
Mei:ちゃんと考えられているのすごいですね。ときどき“男女兼用です!”と謳われていてもシルエットがイマイチな服もあるので…。そもそも骨格から違うから、普通に作っても兼用できないはずなんですよね。
ほかの悩みだと、どのくらいウェアが透けるか、という点も結構気にしてウェアを選んでいます。
Beki:ブランドやモノによっては素材薄いよね。
Mei:そうなんです。IsadoreのClimbersジャージとかはデザインが好きなので着るんですが、薄いのでインナーの見え方も気をつけたいなって。最近はMAAPやBSCのようにジャージと同じデザインのインナーを展開しているブランドもあって、「ジャージとセットアップするインナー」という新しいファッションの選択肢ができています。それはすごく嬉しいんですが、実際にライドのときにインナーを見せるかと言うと、男性目線はやはり気になりますね。
Beki:気になるよね。
Mei:なのでそういうインナーは「自分だけが知っているイケてるコーディネート」というくくりで今は楽しんでいます。
インナーもセットアップできるジャージ(Black Sheep Cycling)
3. サイクルスカートの存在
Beki:男性目線という話だと、サイクルスカートの存在がよく話題に挙がりますね。
Mei:スカートはひとつテーマとしてがっつり話せる内容ですね。
Beki:私は最初の頃ははいていました。ぴちぴちしたお尻を隠したい気持ちがあって。でも使っていくうちにものすごく邪魔だって感じたんです。風の抵抗は受けるし、信号スタートするたびにサドルにスカートがひっかかっていちいち直さなくちゃいけない。
Mei:スポーツとしてみたときには邪魔な存在ですよね。お尻まわりを隠したい気持ちはわかるけれど、全身で見たときにスタイルもよく見えないので、自分は着られないな〜と思っていました。
Beki:脚が短く見えるんだよね。
Mei:ですです。サイクルスカートは大体腰の位置ではいているし、トップスは後ろが長いので、まず胴がすごく長く見える。その上スカート丈が膝上まであるから足の見えてる部分が減るし、ビンディングシューズで逆ヒール状態なんていうたら、そりゃ脚短くなるわ!!って(笑)
Beki:(笑)
Mei:個人的な趣向でも、スカートから溢れ出る「女性らしさ」は走る上ではなくていい要素ですね。偏見かもしれませんが、スカートを履いていると男性になめられるというか…。
Beki:うん、見られ方全然違うと思う。
Mei:今のラインナップに流行性もないですしね。私服だったらハイウエストが流行っていますが、サイクルスカートにはそういうトレンド要素が取り入れられない。私の周りでも、新しくロード始める子は「スカート要らない」と言っています(笑)。
Beki:今から始めるとなると選択肢に入らないかもね。
Mei:そういえばベキさん通勤のときにジャージとショートパンツ合わせてますね。
Beki:そうそう。ショートパンツはすごくラクで良いんです。最近サイクルウェアもグラベル化の流れでショートパンツが出るようになって、CDCが出してるウィメンズのショーツとかめちゃめちゃ可愛いです。
ウィメンズ ミカエラ(Café du Cycliste)
Mei:わ〜これ可愛いですね!
Beki:徐々にこういう選択肢が出てきているのがうれしいよね。
最近海外でバイカーショーツが流行っているんですが、自転車のピタッとしたスタイルをみんな普段着で着こなしている。自転車用の服って動きやすいし涼しいし快適なんですよね。
こんな感じで自転車スタイルが普通になると、普段着とサイクルウェアの境界が薄れていって、サイクルスカートだけでなく普段使っているショートパンツを組み合わせてもよい、という考え方もできるんじゃないかなと思います。
ショートパンツを合わせた通勤スタイル
Mei:「これを着なきゃいけない」というのがなくなるのは良いですね。最初はそうやって慣れていって、もしスポーツ寄りの走り方が好きになっていけば、自然と隠さなくても大丈夫ってなりますしね。イメージで言うと、ランニングやヨガやっているインスタグラマーが自信がついてだんだんとレギンス一枚になるような。
Beki:それそれ(笑)
(後編につづく)
starring/Beki & Mei
edit & photo/Tats(@tats_lovecyclist)
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