最初の1枚が、超重要。
冬装備の中でも、肌に密着するベースレイヤー(インナー)は体温調整に影響する重要アイテム。冬場は汗冷えで体調を崩すこともあるので、ウェアの性能がライドの良し悪しを左右します。
とはいえ、生地の素材も厚さも各メーカーによってさまざまなので、どれを選べば良いかわかりづらいかもしれません。そこで自分の走り方に合ったベースレイヤーを見つけられるように、選び方とおすすめのプロダクトを紹介していきます。
text/Tats(@tats_lovecyclist)
*本記事は2017年公開記事を現状に即して改訂したものです。
1. 冬用ベースレイヤー(インナー)の種類
ベースレイヤーは「生地の厚さ」と「素材」で選びます。
生地の厚さ
ライトウェイト(薄手)
オールシーズン使えるのが特徴で、真冬はほかのベースレイヤーと重ね着することもできる。速乾性が高く動きやすく、ストレスがもっとも少ない。
ミドルウェイト(中厚手)
秋冬で最も汎用性が高い中厚手。適度な厚さで動きを妨げないため、気温が低いときでもストレスフリー。
ヘビーウェイト(厚手)
極寒地でのライド、あるいは冬の低強度ライドで活躍する厚手。その分速乾性や放熱性が犠牲になっているため、強度の高いトレーニングライドにはあまり向かない。
生地の素材
メリノウール
素材自体が吸湿して発熱するため保温力に優れ、また肌触りの良さや抗菌力の高さも特徴。
天然素材のため化繊より速乾性は劣ると言われることもあるが、スポーツメリノは化繊と混紡しているため、機能性に差はほとんどない。
化学繊維
最大の特徴は、速乾性に優れている点。汗を透過して濡れ戻りを防ぐため、激しいライド後も快適に過ごすことができる。
保温性においても、ウール素材に劣らないものもある。
2. ベースレイヤーの選び方&組み合わせ
「強度」に合わせて厚さと素材を選ぶ
個々の走り方によって適切なベースレイヤーは変わってきます。強度や気温が高い場合はライトウェイトをベースに必要に応じて重ね着し、逆に低い場合はミドルウェイトやヘビーウェイトを選択します。
素材自体は肌触りの好みに拠るところが多く、着心地を求める場合はメリノ、コストを重視するなら化繊という選び方ができます。
ヒートテックはNG
すでに通説ですが、ユニクロのヒートテックはライドでの着用は非推奨です。タウンユースの肌着として作られているため、スポーツで使用すると汗抜けせず身体が冷えてしまいます。
タイトフィットのものを選ぶ
汗を吸い上げられるように肌に密着するサイズとシルエットのものを選ぶのが鉄則。
登山用のものを選ぶこともあると思いますが、密着しないリラックスフィットの場合もあるので注意してください。
必要に応じて組み合わせる
冬用ベースレイヤーは1枚だけでも使用できますが、夏用のドライレイヤーを下に重ね着するのも冷え対策に効果的。
ドライレイヤーで吸い出された水分は、冬用ベースレイヤー(セカンドレイヤー)に吸い取られていくので、汗冷えしづらくなります。
もし冬用1枚で汗冷えが心配な場合は、夏用と組み合わせて2枚着てみてください。いつもより快適に過ごせるのが実感できると思います。
※夏用インナーの選び方は↓こちらを参考にしてください
4. おすすめベースレイヤーブランド5選
機能的なベースレイヤーをラインナップしているブランドを紹介。普段着ているブランドと同じものを揃えるのもありですが、ここでは広く日本のサイクリストに受け入れられているブランドをセレクトしています。
Rapha – ラファ(UK)
高品質で着心地良いベースレイヤーを展開するRapha。カラーリングやデザインも良く、トップブランドに相応しいパフォーマンスを手に入れることができます。
Raphaのベースレイヤー
● メリノベースレイヤー 【ウール/薄手】
着心地良く、秋から春にかけてロングシーズン活躍する薄手のモデル(¥11,500)。
● Pro Team Thermalベースレイヤー 【化繊/中厚手】
首元まで暖かく、0℃前後から着るための真冬専用ベースレイヤー(¥13,500)。
finetrack – ファイントラック(日本)
夏用のインナーでも知られている、高機能なファイントラック。
冬用の「メリノスピン」シリーズは、メリノウールの保温性と化学繊維の速乾性を組み合わせた高機能なベースレイヤーです。
またファイントラックは前述のようなドライレイヤーとベースレイヤーの組み合わせを強く提唱しています。夏用にドライレイヤーを持っていれば、冬用のメリノスピンは組み合わせに最適。
ファイントラックのベースレイヤー
● メリノスピンライト 【ウール×化学繊維/薄手】
ライトタイプは厳冬期を除く秋冬春の3シーズンに使えるモデル(¥7,920)。
● メリノスピンサーモ 【ウール×化学繊維/中厚手】
サーモタイプはウィンタースポーツにもOKな厳冬期に活躍するモデル(¥9,130)。
Craft – クラフト(スウェーデン)
保温について熟知しているスウェーデン生まれのCraftは、40年近くにわたってベースレイヤーの改良を繰り返してきました。
そのラインナップは、コンフォート/インテンシティ/エクストリーム/ウールの4つのカテゴリーに分けられ、その中でも「インテンシティ」「エクストリーム」の2シリーズがサイクリングに適しています。
クラフトのベースレイヤー
● アクティブエクストリームX 【化繊/薄手】
-5〜+10℃に最適なクラフトのアクティブシリーズ。『エクストリームX』はベース生地にCOOLMAXを使用しており、高強度でも汗抜けが良いのが特徴(参考価格¥8,690)。
● アクティブインテンシティ【化繊/薄手】
『インテンシティ』はエクストリームよりも快適性を重視しており、それほど強度を上げないライドを主体とするサイクリストに最適(参考価格¥4,400)。
mont-bell モンベル(日本)
もともと登山用ベースレイヤーであるモンベルの「ジオライン」は、サイクリストの間でも定番のベースレイヤーとなっています。
制菌効果も高いため、長時間着用していても臭わなく、また価格が手頃なので最初のベースレイヤーとして購入しやすいのが強み。
モンベルのベースレイヤー
● ジオライン L.W. 【化学繊維/薄手】
ライトウェイトタイプは速乾性に優れ、オールシーズン使えるモデル(¥3,562)。
● ジオライン M.W. サイクルアンダーシャツ【化学繊維/中厚手】
ミドルウェイトタイプのサイクリング特化型。蒸れやすい箇所にはL.W.を用いたハイブリッドモデル(¥4,400)。
dhb(UK)
Wiggle CRCの高機能ブランド「dhb」。
暖かいメリノウール素材のベースレイヤーを入手しやすい価格で展開し、初めての冬用インナーを揃えるのに最適なブランドです。
dhbのベースレイヤー
● Aeron Winter 長袖ベースレイヤー【化繊/中厚手】
ダブルニットが気持ち良い、高強度のライドに最適化されたベースレイヤー(¥4,900)。
● メリノ長袖ベースレイヤー【ウール/中厚手】
胸元にロゴがなくて使いやすい、真冬に最適なベースレイヤー(¥7,500)。
さらに寒さ対策を進める
著者情報
Tats Shimizu(@tats_lovecyclist) 編集長&フォトグラファー。スポーツバイク歴11年。ロードバイクを中心としたスポーツバイク業界を、マーケティング視点を絡めながら紐解くことを好む。同時に海外ブランドと幅広い交友関係を持ち、メディアを通じてさまざまなスタイルの提案を行っている。メインバイクはStandert(ロード)とFactor(グラベル)。 |