ロードバイク用ヘルメット購入ガイド&おすすめブランド5選

頭部をスマートにプロテクト。

近年ヘルメットの進化は目覚ましく、安全性・快適性・エアロといった性能面に合わせ、デザインもより洗練されています。ヘルメットはただの機能性アイテムではなく、ファッションの一部として選ぶものとなりました。
そこで自分に合ったヘルメット選びのために、価格帯別に最適なモデルと選び方のポイントを紹介します。

text/Tats@tats_lovecyclist

1. トレンドのヘルメットブランド5選

ロードバイクヘルメット主要ブランド

数多あるヘルメットメーカー。その中でも「KASK」と「GIRO」は世界的に高いシェアを持ち、業界のスタンダードを築いています。
その2ブランドに加え、スタイルと機能性に特に秀でているのが、北欧ブランドである「POC」「Sweet Protection」や台湾ブランドの「KPLUS」。

以下からは、この5つのブランドからトレンドのモデルを紹介。デザイン・機能・安全性(CE EN1078)を満たすモデルをピックアップしています。

※事前にヘルメットの選び方を把握しておきたい場合は第2章からお読みください。

① KASK

KASK着用イメージ

日本人の頭部に合う形状とラインナップ&カラバリの豊富さで、多くのファンを獲得している『KASK(カスク)』。
内部シェルと外部層を連結したIn-Moulding技術を用いて、すべてのモデルが「WG11」という回転衝撃に対する安全基準をクリアしていることが特徴。
モデル数が非常に多いため、価格帯に分けて主要ラインナップを紹介します。

¥8,000〜¥15,000

KASKヘルメット一覧①
モデル 重量 価格相場 リンク
Rapido 220g ¥8,000〜 Amazon
Wiggle
すべてのビギナーにおすすめのエントリーモデル
Sintesi 230g ¥13,000〜 Amazon
ワイズロード
日常でもスポーツライドでも使えるバランス型モデル
Mojito 3 230g
¥13,000〜 Amazon
Wiggle
トレンドを取り入れた進化版ミドルグレード

●Rapido:すべてのビギナーにおすすめの「ラピード」。初心者が一番気になるヘルメットの見た目も、すっきりしたの帽体のKASKなら違和感なく使用できます。フィット感も抜群。

Sintesi:サイクリングマーケットの拡大に合わせて開発された2023年最新モデル「シンテシ」。その由来の通り、通勤やスポーツライドなどどんなシーンでもぴったりなミニマム形状が特徴。安全性もWG11をクリアしており、ニューノーマル時代のスタンダートモデルとなっています。

●Mojito 3:2012年からの超ロングセラーモデル「モヒート」が2020年に「モヒート3(キューブ)」へとアップデート。丸みを帯びたフォルムになり、安全性もヨーロッパの安全基準を48%上回るものに。トレンドのスタイルに進化したことで、ミドルグレードのヘルメット選びには外せないモデルとなっています。

¥20,000〜¥35,000

KASKヘルメット一覧②
モデル 重量 価格相場 リンク
Valegro 180g ¥20,000〜 Amazon
Wiggle
軽く涼しくスマートな軽量ヘルメット
Utopia Y 260g ¥22,000〜 Wiggle
スピードと快適さを両立した進化版エアロヘルメット
Protone Icon 230g ¥25,000〜 Amazon
Wiggle
グローバルスタンダードヘルメットの進化モデル
Wasabi 270g ¥30,000〜 Wiggle
開閉機構を備えたスタイル系エアロヘルメット

●Valegro:2018年からラインナップに加わった、180gの超軽量ヘルメット「ヴァレグロ」。その軽さや風通しの良さから、ヒルクライムや灼熱のライドに最適。またとても頭が小さく見え、被り心地も気持ち良い。このクオリティを安定して担保させることに、さすがKASKと言いたくなる逸品です。

Utopia Y:2018年に発売されたエアロヘルメット「ユートピア」が、「ユートピアY」に進化して2023年に登場。全体の形状に大きな変化はありませんが、OCTOFITシステムを搭載し、フィット感と放湿性が向上。よりエアロダイナミクスを追求するなら快適なユートピアYは有力な選択肢です。

●Protone Icon:もはや説明は要らないほど普及しているグローバルスタンダードヘルメット「プロトーネ」が2022年に進化し「プロトーネ・アイコン」に。完成されていた前作のデザインを踏襲した上でよりスタイリッシュな形状となり、エアロダイナミクス、通気性、フィット感、安全性において前モデルを上回る仕上がりになりました。

Wasabi:2021年にリリースされたKASK第2のエアロヘルメット「ワサビ」。シェルの開閉機構によって、エアロ効果だけでなくさまざまな気候に対応可能(特に秋冬に活躍)。ミニマルな丸みのある形状が美しく、オンロードだけでなくグラベル系のスタイリングにもマッチします。

KASKのヘルメット一覧を見る
Amazon | Wiggle

※KASKヘルメットのレビューはこちら

 

② Giro

GIRO着用イメージ

数々の強豪チームをサポートする信頼性、自社のテストラボを持つ安全性、先進的なデザイン性など、ヘルメットに必要な要件を兼ね備えたブランド『GIRO(ジロ)』。
特に安全性に対する意識は高く、エントリーモデルからMIPSを採用し、あらゆるサイクリストに安心できるサイクリング環境を提供しています。

GIROヘルメット主要ラインナップ

GIRO主要ヘルメット一覧
モデル 重量 価格相場 リンク
Agilis 295g ¥12,000〜 Amazon
すっきりしたシルエットのMIPS搭載エントリーモデル
Synthe 250g ¥25,000〜 Amazon
いつまでも色褪せない孤高のスタイリッシュモデル
Eclipse 275g ¥32,000〜 ワイズロード
冷却性能と空力性能を兼ね備えたエアロヘルメット
Aether 270g ¥30,000〜 Amazon
進化版MIPSを搭載した存在感のある上位モデル
Aries 265g ¥33,000〜 GIROオフィシャル
快適性とエアロ効果を最大化した最上位モデル

●Agilis:エントリーグレードでMIPSを搭載し、GIROの中でもすっきりしたシルエットの「アジリス」。初めてのヘルメットでも抵抗なく安心して導入できます。ユニバーサルフィットも採用されており、アジア型でも被りやすいのが特徴。

●Synthe:孤高のスタイリッシュモデル「シンセ」。少しサイドが膨らんで見えますが、逆にそれが格好良いと思わせるスタイルを確立したパイオニア的存在で、トップモデルの後継が登場した今でもそのスタイルは色褪せません。

●Eclipse:エアロヘルメット「ヴァンキッシュ」の後継モデルとして2022年にリリースされた「エクリプス」。エアロカテゴリに関わらず14個のベンチレーションホールで高い冷却性能を備え、それでいて空力性能は前モデルを上回るハイテクノロジー。レーシーすぎないエクリプスのデザインはどんなスタイルにもフィットします。

●Aether:「イーサー」の特筆すべき特徴は、MIPSの新たなテクノロジー「MIPS Spherical」。前述のようなシート状ではなく、シェル自体が2層に分かれて動く構造(通常のMIPSより衝撃吸収性30%増)。Giroらしい存在感のあるアウターシェルの形状は、今まで以上に道の上で“スタイリッシュなサイクリスト”を演出してくれます。

Aries:2023年に投入された新たなフラッグシップモデル「アリーズ」。イーサーより5%軽く、エアロ効果も4%向上しており、“何も身につけていないかの如く”という着用感が特徴。またコンパクトなフォルムになったことで、よりすっきりした印象に仕上げてくれます。

Giroのヘルメット一覧を見る
TOKYO WHEELS

※Syntheのレビューはこちら

 

③ POC

POC着用イメージ

スウェーデンのブランド『POC(ポック)』が展開するヘルメットは、ミニマムな北欧デザインが特徴。頭部のボリュームを出す形状を「POCらしいスタイル」として定着させたデザイン力はさすがとしか言いようがありません。
ラインナップはミドルグレードの“Omne”シリーズとトップグレードの“Ventral”シリーズに分けられます。

Omneシリーズ(¥21,000〜¥24,000)

POCヘルメットOmneシリーズ
モデル 重量 定価 リンク
Omne Air 305g ¥21,000 Wiggle
TOKYO WHEELS
すっきり可愛いシティスタイルのミドルグレード
Omne Lite 240g ¥23,000 Wiggle
レーシングへの第一歩に最適なオムネ・エアの軽量モデル
Omne Ultra 230g ¥24,000 Wiggle
アタッチメントを備えた唯一のグラベル用軽量モデル

●Omne Air:人気の上位モデルをベースに、シティスタイルに昇華させたミドルグレード「オムネ・エア」。すっきりかわいい外観のPOCヘルメットがこの価格帯で手に入る、非常に魅力的なモデル。

Omine Lite:オムネ・エアをベースに軽量化された「オムネ・ライト」は、その軽さから本格的なレーシングヘルメットを着用する第一歩として選ぶことができるモデル。

Omne Ultra:グラベルライドのために開発された「オムネ・ウルトラ」は非常に軽量。それでいて、側面と後頭部にベルクロのアタッチメントが取り付けられており、タイヤレバーなど小物を携行することができる実用を兼ねたモデル。

Ventralシリーズ(¥31,000〜¥36,000)

POCヘルメットVentralシリーズ
モデル 重量 定価 リンク
Ventral Air 260g ¥31,000 Wiggle | TOKYO WHEELS
空気が流れるスタイリッシュな軽量ハイエンド
Ventral Lite 210g ¥33,000 Wiggle
軽さ&換気性能に特化した夏向けモデル
Ventral 270g ¥36,000 Wiggle
空力性能に特化したエアロ系ハイエンド

●Ventral Air:エアロエルメットの「ヴェントラル」に、前方から後方へ空気を送り出すような設計を追加した軽量モデル「ヴェントラル・エア」。マットカラーのスタイリッシュさが最高にクール。

●Ventral Lite:2021年に登場した「ヴェントラル・ライト」は、ヴェントラル・エアをベースに、よりミニマリスト的な観点で開発された軽量性&通気性特化モデル。夏に最適。

●Ventral:空力に特化した「ヴェントラル」。ヘルメットの外側だけではなく、内部を通気するように設計されているため、空力性能と換気性能を両立した機能的ハイエンドモデル。パフォーマンスを重視するサイクリストに最適。

POCのヘルメット一覧を見る
TOKYO WHEELS
| Wiggle

※Ventral Airアジアンフィットモデルのレビューはこちら

 

④ Sweet Protection

SweetProtection着用イメージ

ノルウェーの『Sweet Protection(スウィート・プロテクション)』がロードヘルメットを初めてリリースしたのは2017年。
そのプロダクトデザインはすぐに世界的に評価され、すでにメジャーブランドの仲間入りをしています。
ラインナップは絞っており、またユーロフィットのためフィットするサイクリストは限られるかもしれませんが、そのデザインは無二のもの。

Sweet Protection主要ラインナップ

Sweet Protectionヘルメット一覧
モデル 重量 定価 リンク
Falconer 2Vi 285g ¥49,500 sputnik(代理店)
ミニマルな形状に安全性・エアロ・スマートさを凝縮したハイエンドモデル
Falconer 2Vi Aero 300g ¥55,000
脱着式エアロカバー付きの2way軽量モデル

●Falconer 2Vi:前モデル「ファルコナーII」が2023年に進化し、「ファルコナー2Vi」に。後頭部の突起が抑えられてよりすっきりとした印象になりました。北欧デザインらしいミニマルな形状は変わらず、安全性とスマートな帽体を凝縮。後部の開口部が広くなってポニーテールに対応するという設計も面白く、変わらず新しいヘルメットのスタイルを生み出しています。

●Falconer 2Vi Aero:Falconer 2Viと基本的な形状は同じですが、より軽く仕上げられた「ファルコナー2Vi エアロ」。脱着できるエアロカバーが付属するため、これ1つでエアロヘルメットと軽量ヘルメットの2つの用途が兼ねられます。ライドの内容や気温によって付け替えできるな便利なモデル。

Sweet Protectionのヘルメット一覧を見る
TOKYO WHEELS

※前モデル「Falconer II」のレビューはこちら

 

⑤ KPLUS

Kplus着用イメージ

2014年に創業した台湾ブランドで、2019年から国内展開も始まっている『KPLUS(ケープラス)』。そのブランドコンセプトはファッション・クオリティ・アジアンフィットの3つ。
ヘルメットを“サイクリストのファッションに欠かせない重要なアクセサリー”と位置付け、コーディネートしやすく、安全性の高いアジアンフィットのプロダクトをつくっています。

KPLUS主要ラインナップ

KPLUS主要ヘルメット一覧
モデル 重量 定価 リンク
NOVA 288g ¥24,200 Amazon
美しい造形を持つ唯一のアジアンヘルメット
ALPHA 295g ¥29,700 Amazon
エアロ形状でMips搭載の パフォーマンス重視モデル
META 289g ¥24,200 公式サイト
オフロードヘルメットの要素を取り入れたグラベル対応モデル

●NOVA:KPLUSを代表するオールラウンドモデル「ノヴァ」。丸みを帯びたシルエット、正円に近いアジアンフィット、後頭部に埋め込まれた反射素材など、日本人の頭部をスマートにする要素に溢れています。豊富なカラー展開も唯一のもの。

●ALPHA:NOVAよりもパフォーマンス寄りにつくられた新世代のオールラウンドモデル「アルファ」。このモデルからフィットシステムが進化し、さらにMipsも搭載されたことで、フィット感も安全性も強化。エアロな外観と合わせてより走りたい気持ちに沿うヘルメットに仕上がっています。

●META:2022年に発売されたグラベル対応モデル「メタ」。オフロードヘルメットの形状を取り入れたフォルム、マグネットで脱着できるバイザーを備え、どのような地形でも駆け抜けることができるヘルメット。ALPHAと同様の新フィットシステムを搭載。

KPLUSのヘルメット一覧を見る
Amazon

※Kplusヘルメットのレビューはこちら

 

2. ヘルメット選びのポイント

①フィッティング

ヘルメットのフィッティング

ヘルメット形状の大分類は、ユーロフィット(楕円)とアジアンフィット(丸形)の2つ。

基本的にメーカーの所在地域に合った形状に仕上げられていますが(OGKやKplusならアジアンフィット、GIROやSweet Protectionならユーロフィットなど)、欧米メーカーでもアジアンフィットを展開していることもあります。
日本人だからといって全員がアジアンフィットに適合するわけではなく、また同じメーカーでもモデルによって微妙に形状が異なる場合があるため、試着しながら最適なメーカーやモデルを探していきます。

②機能性

ベンチレーションとエアロダイナミクス

ヘルメットに空いている穴は通気孔と軽量化の役割があり、それぞれ「空力」「快適性」「重量」といった機材としての性能に関係します。

空力・快適性

通気孔が多いほど涼しく夏に最適ですが、冬はキャップなどを併用して冷え対策が必要です。
逆に穴が少ないモデルは空力に優れます。各メーカーともエアロダイナミクスに重点を置いたモデルも展開しており、少しでもパフォーマンスを最適化したいピュアレーサーは、エアロモデルが選択肢に挙がります。

重量

長時間走る上で、ヘルメットの重量は首の負担に影響します。軽いほど負担が少なく、またわずかながらパフォーマンス向上にもつながります。
ただしほかのパーツと同じように、軽量モデルのほとんどはハイエンドモデル。パフォーマンスをぎりぎりまで追求するか、コストと相談するかという選択が必要になります。

③カラー

これまでは赤や黄色など原色のラインナップが目立っていたヘルメットも、ここ数年でアースカラーやニュアンスカラーの色展開が増加中。自転車ファッションがライフスタイル寄りになっている現在、ヘルメットも幅広いスタイリングができるようになっています。1個目には白か黒を選び、2個目以降にこうしたニュアンスカラーを選ぶとコーデの楽しみが増えるはず。
もちろん安全性を重視したいという場合は、原色を選ぶこともひとつの解です。

 

3. ヘルメット安全性の判断

JCF / CE EN1078

JCFおよび加盟団体が主催しているレースに出る場合は「JCF Approved」シールが貼られたものを選びます。
このシールはJCF(日本自転車競技連盟)が規定する安全性(衝撃吸収性、あごひもの強さ、汗・頭髪油の影響など)をクリアしたことを示すもの。日本の代理店が扱っているメーカーのほとんどはJCFの認証を受けていますが、一部ブランドやモデルによっては、JCF認可がないものもあるので注意が必要です。

またJCFより厳格な安全規格として、EUが規定する「CE EN1078」があります。普段のライドで使う上では、CE規格を満たしていればJCFシールがなくても気にする必要はありません。EN1078はヘルメットの裏面に記載してあります。

関連リンク:JCF公認ヘルメット一覧

MIPS

MIPS

多くのヘルメットに搭載されている安全機構“MIPS”(Multidirectional Impact Protection System = 多方向衝撃保護システム)。
落車するときは頭部に回転性の衝撃が加わることが多いため、その衝撃を緩和して脳障害のリスクを軽減するための仕組みです。MIPS搭載ヘルメットの内部には低摩耗シートが配置されており、回転衝撃が加わったときに、そのシートが頭の動きに合わせてすべることで、エネルギーを逃がすことができます。

ただしMIPSの有効性に対しては疑問視する声も出ており*、MIPS搭載モデルを選ぶかどうかは各自の判断に委ねられます。
*KASK PUTS MIPS ON NOTICE WITH NEW WG11 ROTATIONAL IMPACT TEST(CyclingTips)

ヘルメットの寿命について

メーカー推奨のヘルメット交換タイミングは、新品購入後3年
たとえ転倒などしなくても、経年や細かい衝撃・汗などによる劣化は進んでいるため、3年経ったら買い換えるというつもりで予算を検討します。

また1回でも大きな衝撃を与えると、強度が著しく低下してしまいます。一見問題なさそうでも、次に同じ箇所に衝撃が加わると直接頭部にダメージが加わる可能性があるので、事故などで強く頭部を打った場合は買い替えます。

ヘルメット=身を守るファッションアイテム。

ヘルメットは命を預けるプロテクターであり、コーディネートするためのファッションアイテム。
そのため上記のような信頼のおけるメーカーのものを選択するほか、デザイン観点からも気に入るものをセレクトして、自分のスタイルをつくり上げていってください。 

著者情報

Tats Tats Shimizu@tats_lovecyclist
編集長。スポーツバイク歴10年。ロードバイクを中心としたスポーツバイク業界を、マーケティング視点を絡めながら紐解くことを好む。同時に海外ブランドと幅広い交友関係を持ち、メディアを通じてさまざまなスタイルの提案を行っている。メインバイクはFactor O2(ロード)とLS(グラベル)。