昨年に引き続き、7月に開催されたツール・ド・フランス2017において、個人&チーム総合のリザルト上位が使っているバイクのメーカーと使用車種を一覧にしました。
世界で最も有名なお祭りレースだけあって、各メーカーにとってはメディア露出によるセールスへの影響が大きいもの。今年は序盤から波乱があったように、昨年と比較するとリザルトの変化が大きく面白いので、今“強い”ロードバイク選びの参考に。
※2018年版の最新記事はこちら↓
1. チーム総合
算出条件:各ステージのチーム内上位3選手の累積タイムで順位が算出される
- *メーカー名クリックで主な使用バイクへリンクします(メーカーまたは代理店サイト)。
*リザルトとしては後述のマイヨ・ジョーヌ以降がメインですが、全チームを一覧表示するためにチーム総合順位を先に紹介します。
順位 | 前回 | チーム名/国 | バイク |
1 | 2 | チームスカイ/英 | Pinarello |
2 | 4 | AG2R ラ・モンディアル/仏 | FACTOR |
3 | 7 | トレック・セガフレード/米 | Trek |
4 | 3 | BMCレーシングチーム/米 | BMC |
5 | 12 | オリカ・スコット/豪 | Scott |
6 | 1 | モヴィスター チーム/スペイン | Canyon |
7 | 19 | キャノンデール・ドラパック/米 | Cannondale |
8 | 20 | フォルテュネオ・ヴィタルコンセプト/仏 | LOOK |
9 | 21 | ロット・ソウダル/ベルギー | Ridley |
10 | 5 | アスタナ プロチーム/カザフスタン | ARGON18 |
11 | 10 | UAEチームエミレーツ/UAE | Colnago |
12 | 14 | チームサンウェブ/独 | Giant |
13 | 17 | ディレクトエネルジー/仏 | BH |
14 | 初 | ワンティ・グループゴベール/ベルギー | CUBE |
15 | 13 | クイックステップ フロアーズ/ベルギー | Specialized |
16 | 18 | コフィディス、ソリュシオンクレディ/仏 | ORBEA |
17 | 16 | チームロットNL・ユンボ/オランダ | Bianchi |
18 | 15 | ボーラ・ハンスグローエ/独 | Specialized |
19 | 9 | チーム カチューシャ・アルペシン/スイス | Canyon |
20 | 初 | バーレーン・メリダ/バーレーン | MERIDA |
21 | 22 | ディメンションデータ/南アフリカ | Cervélo |
22 | 11 | エフデジ/仏 | Lapierre |
・チームスカイ×Pinarelloの安定感は資本力に拠るが、そのブランド力を堅持。
・サガン、キッテル離脱やキンタナ不調等が影響し、昨年目立ったSpecialized、Canyonあたりは最終的に少し大人しい結果に。
・ただしSpecializedにおいてはキッテルやサガンが勝利を挙げており、トータルステージ優勝数は“7”とメーカー別でダントツ1位。
ピックアップバイク
O2(FACTOR)
2007年創設の英国メーカーFACTORがUCIワールドチームへの機材初供給で、個人総合3位・チーム総合2位・第12ステージ勝利と大健闘。AG2R自体が強いのもあるが、新興メーカーの実力と存在感も示した。
O2は740gの軽量フレームとガチっぽくないフラットデザインが素敵(フレームセット: ¥540,000)。
Litening C:68(CUBE)
ツール初参戦で健闘したワンティ・グループゴベールのフレームは、ドイツのメーカーCUBE。LITENING C:68は軽量・高剛性フレームにDura Ace Di2とFulcrumホイールという王道の組み合わせ (完成車価格: ¥832,000)。
日本には昨年より上陸しており、これから知名度を上げていくか。
Venge ViAS Disc(Specialized)
リタイアしたものの、ステージ通算5勝を挙げたキッテルのVenge(フレームセット: ¥480,000)。実質今回の最強バイクとも言える。
2. 個人総合(1〜10位)
獲得条件:全ステージを合わせた累積タイムの最も早い選手が総合優勝となり、マイヨ・ジョーヌ(イエロージャージ)を獲得
順位 | 選手名(チーム名/チーム総合順位) | バイク |
1 | クリス・フルーム(スカイ/1) | Pinarello |
2 | リゴベルト・ウラン(ドラパック/7) | Cannondale |
3 | ロメン・バルデ(AG2R/2) | FACTOR |
4 | ミケル・ランダ(スカイ/1) | Pinarello |
5 | ファビオ・アル(アスタナ/10) | ARGON18 |
6 | ダニエル・マーティン (クイックステップ/15) | Specialized |
7 | サイモン・イェーツ(オリカ/5) | Scott |
8 | ルイ・メインチェス(UAEエミレーツ/ 11) | Colnago |
9 | アルベルト・コンタドール(セガフレード/3) | Trek |
10 | ワレン・バルギル(サンウェブ/12) | Giant |
- ・フルームが3連覇、4度目の個人総合優勝。アシストのミケルも表彰台まであと一歩のところと、DOGMAどうぞお買い上げ状態。
・FACTORやARGON18など新参メーカーの活躍が新しい風。
・昨年上位10人中3人を占めていたCanyonがTOP10圏外へ。
ピックアップバイク
DOGMA F10(Pinarello)
常勝チームのバイクだけあって、性能に対する信頼性を獲得しているPinarello「DOGMA F10」(フレームセット: ¥625,000)。
SuperSix Evo(Cannondale)
第9ステージ勝利、そしてフルームに54秒差まで迫る個人総合2位と、ウランの活躍を支えた「SuperSix Evo」はCannondaleを代表する軽量・高剛性のオールラウンドバイク(完成車価格: ¥1,220,000)。
3. ポイント賞(1〜5位)
獲得条件:トップスプリンター争い。各ステージの中間スプリントポイントとゴールポイントを最も多く獲得した選手がマイヨ・ヴェール(緑ジャージ)を獲得
順位 | 選手名(チーム名/チーム総合順位) | バイク |
1 | マイケル・マシューズ(サンウェブ/12) | Giant |
2 | アンドレ・グライペル(ロット・ソウダル/9) | Ridley |
3 | エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ディメンション/21) | Cervélo |
4 | アレクサンドル・クリストフ(カチューシャ/19) | Canyon |
5 | ソンニ・コロブレッリ(バーレーン・メリダ/20) | Merida |
- ・マシューズがGiantのプロペル(プロトタイプ)を操りマイヨ・ヴェールを初獲得。世界最速バイクの称号に箔がつく。
- ・グライペルのRidleyは今回ステージ優勝はないものの2位ランクイン。
ピックアップバイク
PROPEL(Giant)
Giant技術の結晶プロペル。画像は2017モデル(完成車価格: ¥780,000)で、マシューズが乗ったプロトタイプは現時点では未発表。発売が待たれる。
※8/29追記…新型プロペルが発表されました(公式プレスリリース)。
4. 山岳賞(1〜5位)
獲得条件:クライマー頂上決戦。各ステージ峠の頂上にある山岳ポイントを最も多く獲得した選手がマイヨ・アポア(赤の水玉ジャージ)を獲得
順位 | 選手名(チーム名/チーム総合順位) | バイク |
1 | ワレン・バルギル(サンウェブ/12) | Giant |
2 | プリモシュ・ログリッチェ(ロットNL/17) | Bianchi |
3 | トーマス・デヘント(ロット・ソウダル/9) | Ridley |
4 | ダルウィン・アタプマ(UAEチームエミレーツ/11) | Colnago |
5 | クリス・フルーム(スカイ/1) | Pinarello |
・バルギルがGiantのTCR ADVANCED SLで登り、2位とポイント差を2倍以上つけて山岳賞を獲得。チームサンウェブがスプリントと山岳の2賞を獲得し、Giantの実力を示す。
ピックアップバイク
TCR ADVANCED SL(Giant)
山岳で結果を出したGiant「TCR ADVENCED SL」は軽量オールラウンドバイク。めまぐるしいアップダウンにも対応した(完成車価格: ¥850,000)。
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今年は主力選手の落車祭りもあり、GIANTの2賞獲得&ステージ通算4賞、FACTORやCUBEの台頭など、機材面でも目立った変化が見られるリザルトとなりました。
選手がツールでどういう走りをするか、どう結果を出すかという点は、その選手が乗っているメーカーのブランドイメージ形成に大きく影響してくるため、今回も観戦者にさまざまなイメージを残したことと思います。もちろん、最終的な結果としては残らなかったものの、Specialized(Venge/Tarmac)やCanyon(Ultimate/Aeroad)といった人気バイクのブランド力は衰えることはなさそう。今後のレースでの活躍も楽しみにしています。
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上記に出てくる各メーカーの特徴/イメージはこちらにまとめています。