
Cannondaleの『SuperSix EVO』が3年ぶりにリニューアルされ、第5世代(Gen 5)となった。
正直に言うと、パッと見で「何が新しくなった?」と思うのが大多数の感想だろう。EVOは、第4世代(Gen 4)でプラットフォームが全面的に刷新されたが、Gen 4からGen 5への外見上の変化はわずかだ。Gen 4を詳しく知るサイクリストであれば、細かな違いに気づくかもしれないが、ほとんどは見比べて初めてわかる。
それでもGen 4に乗ってきたHirokoは、Gen 5はGen 4以上に自転車の楽しみを引き上げるモデルだと語る。一体何が変わったのか?彼女が自転車に求めるものとともに、その意味を探っていく。
レビュアー
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Hiroko – ヒロコ
2024年からCannondale SuperSixEVO Hi-MOD(第4世代)に乗る。自転車は4台所有し(ロード、グラベル、クロモリ、小径車)、目的に応じて使い分けている。山で遊ぶことも好きで、自転車以外にも北アルプスの山々を縦走したり、基礎スキーをしたりと、さまざまなアクティビティに精通。過去にOMMで優勝経験あり。地図読みが得意。 |
review / Hiroko[PR]
edit & photo / Tats
※本レビューは、国内代理店インターテックよりバイク貸与を受け、一定期間にわたって実走テストを行ったものです。
外遊びと自転車

Hirokoは都心に住みながら、小さい頃から外で遊ぶことが当たり前の環境で過ごしていた。大人になった今は、自転車だけでなく、登山やスキーなど、あらゆる手段で外の空気へ溶け込んでいく。
「平日は都内で仕事をしていますが、通勤でBromptonに乗っています。自転車で移動すると、空気の冷たさの変化とか、街路樹の色づきとか、色々なものを感じられる。家とオフィスという無機質な2点の間に、色彩のグラデーションが生まれるような感覚が楽しいんですね。」

Bromptonに乗って通勤 ©Chabeck
毎日自転車に乗って自然との接点を持ちながら、平日は多摩川の河川敷を歩いて自然を感じたり、OMM(山岳アドベンチャーイベント)に出る前はランニングしたりとか、特に運動のルーティンがあるわけではないが、そのときどきのイベントに合わせて何かしら運動する習慣がついている。

OMMに参加するHirokoのチーム ©OMM JAPAN official
逆に週末になると、登山、スキー、ロードバイク、グラベルバイクのいずれかで、より非日常な体験を求めている。冬なら雪山でバックカントリーを楽しむし、それ以外の季節は登山やロードサイクリング、グラベルライドを選択する。

「登山やスキーは、しっかりとした装備を整えて山深くへ入っていくので、“遠征”のような感覚が強いですね。それに対してロードバイクは、生活の延長にある感じで、一番手軽なアクティビティです。玄関を出た瞬間からすぐにスタートできて、そのまま非日常へと繋がっていく。
年中楽しめるし、身体のコンディションがダイレクトにわかるので、自分の状態を確認するための基準にもなっています。グラベルはロードと登山の中間くらいかな。道を選ばず、より自然の奥へと分け入っていく楽しさがある。」
ロードバイクに求める楽しさとは

以前にHirokoは、ロードバイクの楽しさを5段階で評価するなら「2」だと言っていた。低すぎないか?と仲間内で笑ったが、それには“生活の延長にある”という自転車の特性によるものだ。
非日常的な要素で構成される登山やスキーは、5段階中「5」だというのもよくわかる。登山で広がる完全な自然で構成された景色、バックカントリーを滑る恐怖心とそれを凌駕する高揚感。それらは自転車の定番コースのような予定調和ではなく、不確実性の中で得られるものだ。
でも不確実なものを乗り越えるときと、日常の延長で走るときとでは、求める楽しさの質が変わってくる。

「基本的には仲間と一緒に走るのが好きです。ひとりでストイックに追い込むというよりは、速い人たちに必死で食らいつきながら、いい景色を見て、美味しいごはんを食べて。距離にもこだわりはなくて、30kmでも100kmでも、みんなと一緒に走る時間を共有できることが何よりも大切だと感じています。」
そういったライドスタイルだから、彼女が求めるロードバイクも、その楽しさを増長してくれるかどうかが鍵になってくる。

「基本的にはホリゾンタルのようなシンプルで綺麗なフレームが好きで、やっぱり自転車選びは見た目から入ります。今乗っているEVO(Gen 4)も好きなかたちですぐ候補になったんですが、乗ってみると性能も格段に良いことがすぐにわかりました。それまでついていけなかった速い仲間に食らいつけるようになって、よりライドが楽めるようになった。EVOを選んだのは、ピュアレーシングロードに一度は乗ってみたかったというのはあるのですが、レースで競うためだけじゃなくて、快適にみんなと一緒に走れるという基準でも、レーシングモデルを選ぶ意味は大きいと思います」
Gen 4で完成されていた?

Cannondaleというブランドに対する印象も、ここ数年で変わっている。
昔はもっと派手で、レース機材としての主張が強いイメージがあったが、ロゴを変えたあとのCannondaleは、彼女のライフスタイルや、普段着ているウェアのトーンにも馴染む大人のプロダクトになったと感じている。

Gen 4 EVO
「EVO(Gen 4)に2年以上乗り続けて、走りの質の高さを実感しています。特に直進安定性が高くて、踏むと自転車自体が走ってくれようで、以前乗っていた自転車にはなかった感覚です。山もちゃんと走っていけるし、5%くらいの斜度なら淡々と回すだけで進んでくれる。色もブラックで格好良く、普段着ているPNSとも合う。Gen 5に乗るまでは、不満を感じることはなくて、これ以上何を新しくする必要があるんだろう?と感じていたのが本音です。」
完成されていたと思っていたGen 4のEVOだが、3年という短い期間で新たにGen 5が生まれた。実際にそのハンドルを握るとどう感じるか。
「全然かたち変わってないじゃん」

「初めて見たときは、『全然かたち変わってないじゃん』というのが正直な感想でした。でもじっくり見てみると、フレームのかたちから徹底的にノイズとか角が取り除かれている。見た目がすごく滑らかで、派手な変化ではないからこそ、G4以上に洗練された佇まいに惹かれました。」

比べると変更箇所がわかる。特に厚みの出たヘッドチューブ、低くなったスタックハイト、傾斜が深くなったトップチューブなどは変化がわかりやすい

角のあったチューブの形状が、よりなめらかな作りになっている

最新のトレンドらしく、ヘッドチューブの厚みは増した

Gen 4よりトップチューブの傾斜が少し深くなり、シートポストが長く出せるようになったので、その分しなるようになっている

ハンドルやトップチューブに入っているゴールドのラインが、ワンポイントとして非常に秀逸。どのグレードのカラーとも調和している

「乗り始めから違うことがはっきり感じられました。単に速い、軽いという次元の話ではなく、ライディング体験そのものの質が一段引き上げられたようなフィーリングです。
乗り手の意思に対して淀みがなくて、まさに『人馬一体』という感覚。素直に反応してくれて、自転車だけが勝手に走りすぎるのではなく、身体と一緒に加速していくような気持ち良さ。この一体感を味わって、改めて『ああ、自転車って楽しいな』と心から思える体験でした。」

かつてスポーツバイクに初めて乗ったときに「すごい、こんなに進むのか」と感動する経験は誰もがみな経ていると思うが、G5はそんな体験を再び味わえるような乗り心地になっている。
G5は“より軽く、より速く、より剛性高くあらゆる面で進化させる”という開発目標で進められ、スペック上の数字だけを見れば、その違いはマージナルゲインによって積み重ねられた僅かな差かもしれない。でも結果的に世に出たものは、「より自然に、より上質に」という側面が加わっている。

新しいハンドルバー「SystemBar Road」も良い。54サイズでデフォルト幅が360mmになったことでバイクコントロールしやすくなった。Gen 4は完成車に420mm幅が付いていたため、Hirokoは380mmに変更せざるを得なかったが、Gen 5では最初から変更する必要はない。

スタックが下がったので少しだけ小さいサイズになった感覚がある。ステム長を伸ばしたほうがさらに一体感が高まりそうに感じた

Gen 5になってから中速度域がより滑らかに加速するようになったため、あらゆる速度域で隙がない

登りではあまり変化を感じられなかったため、やはり中〜高速域こそEVOの真価が発揮されることがわかる
「以前レビューしたSynapseは絨毯の上にいるように快適で、どこまでも連れて行ってくれる安心感がありました。ひとりで走るなら確実にSynapseの方が余力が残せます。でも、EVOの踏み込んだときの鋭さとか、軽快なリズムはやっぱり別物ですね。仲間と心肺を追い込みたくなる私の走り方には、やはりEVOの反応の良さが合っていると再確認しました」

Synapse LAB71
SynapseとEVOの間に優劣はなく、方向性の違いしかない。自分のスタイルにどちらが合うか、ということを考えたときに、HirokoはEVOを選択する。

「Gen 5に乗る前は買い換えるつもりは全くなかったのですが、ちょっと迷っています。乗ったら欲しくなってしまった…。レーシングバイクだけどごつごつして硬い走りではなく、自分でコントロールできて、走っていて楽しいレーシングバイクという感覚が新鮮で、こんなの試乗したら欲しくなるに決まっています。」

Hirokoの乗るテストバイクはフレームセット販売のみ(¥670,000)。落ち着いたゴールドの色味が綺麗で、「Gen 5を選ぶならこの色にしたい」と言う

今回のラインナップはStandard Modもフレームセット販売があり、色も良い(¥330,000)。好きな色で選ぶなら、Hi-ModもStandard Modも両方選択肢になる
純粋だったあの頃へ


スペックだけでは語り尽くせない価値。複数のアクティビティを謳歌するHirokoにとって、Gen 5 EVOは単なる機材のアップデートを超えて、自分の感覚をさらに高揚させるパートナーのような存在だった。劇的な変化を追い求めるのではなく、細部に宿る洗練を感じ取り、走りそのものの質を高めていく。そのプロセスこそが、大人の外遊びの醍醐味と言える。
「ただ走ることが楽しい」という、スポーツバイクを手にしたばかりのころの純粋な高揚感を、最新のレーシングマシンが再び思い出させてくれる。性能の追求が、結果として情緒的な豊かさへと繋がっていく「人馬一体」の心地よさは、我々のライフスタイルをより鮮やかなものへと変えてくれる。


Cannondale SuperSix EVO(公式サイト)
review / Hiroko
edit & photo / Tats
[PR]提供 / 株式会社インターテック



















