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自転車乗り的、海外の旅。
前日の武嶺登頂から一夜明け、少しだけ鈍い空色の台北市内に繰り出します。
台湾が日本文化の影響を色濃く受けていることはよく知られていますが、特に都市部に関しては文化的な相違点が少なく、渋谷や銀座っぽい既視感のあるエリアが市内に点在していたりするため、「高い城の男」に出てくる大日本帝国のように、違う世界線の日本にいるかのような感覚に。
その「海外だけどなんとなく馴染みのある街」で、観光しながら自転車ショップを巡っていきます。
その間、常に何か食べています。
1. 自転車ショップを巡る
Yao Bike
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台北中心部から少し北に行った芝山駅の近くにある屈指のハイセンスショップ“Yao Bike(ヤオバイク)”。
重い木製の扉、クラシカルなお店のパネルなど、自転車ショップっぽくない外観が特徴的で、店内もダークでとても良い雰囲気です。
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店内にはRaphaコラボの限定フレームがいくつか飾ってあって垂涎。
もう一台組むならこういうフレームがいい…!とイメージします。
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Chapter2の人気フレームTEREのスペシャルエディション“British Race Green”も。グリーンの発色がとても綺麗。
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日本ミニベロ界の雄“Tyrell”は、SRAMのRed eTapにRIDEAの楕円リングをアセンブルしたアグレッシブな組み方をしていました。
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このお店でいちばん陳列スペースをとっていたウェアは、オーストラリアのAttaquer(アタッキィ)。髑髏のブランドシンボルが可愛らしく、ウェアのダークな色味にすごくマッチしています。フィット感もタイトですごく良い。
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SRMの高級パワーメーターがしれっと棚に置いてあります。これでおそらく30-40万くらい(!)。
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個人的にも愛用しているAlbaOpticsや100%のアイウェア。仕入れのセンスが似通っていてうれしい。
全体的に個人的嗜好にこの上なくマッチした素敵なお店でした。近所にあってほしいレベル。
台湾グルメ① 迪化街屋台の魚介スープ麺
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朝ごはんに屋台で食べた、魚介の出汁でさっぱりと味付けされた麺。
台北の最も古い問屋街「迪化街」の入り口近くにあって、数ある屋台の中でもここのお店だけが超混雑。地元の人たちにすごく愛されているようです。
爽やかな朝にぴったりの、暖かく優しい味のソウルフードで台北の1日が気持ちよく始まります。おかわり。
Rapha Taipei
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Rapha台北は、市内の落ち着いたショッピングエリア東區にあります。
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1Fがカフェで地下1FがアパレルショップなのはRapha東京と同じ。1Fは東京のダークな内装と比較して、全体的に白を基調とした明るい店内でした。
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ショップで売っているものはほとんど変わりなく、値段もほぼ同じ。でも今回の目当ては、台湾でしか購入できないウェア。
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それが胸に「TAIPEI」と書かれた限定の“SUPER LIGHTWEIGHT JERSEY”(約¥14,000)。
デザインは黒×ピンク──それだけでおしゃれに見える、Raphaそのものを表す色合わせ。
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バックポケットにプリントされたシンボルは台湾の国花「梅の花」。それをRCC台北の紋章として使用しています。シンプルなジャージですが、後ろ姿だけ少し華やかな雰囲気に。
帰国してからさっそく着てライドに出かけましたが、Raphaらしい上質感のある優れたスタイルは、相変わらず着ることの喜びを与えてくれます。
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Raphaの店員さん、武嶺を一緒に走った台湾メンバーのことも知っていて、ロードバイクを介してコミュニティの輪が広くつながっているようです。素敵。
台湾グルメ② ICE MONSTERのマンゴー氷
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東京・大阪・名古屋にも進出しているICE MONSTER。表参道店はいつも混んでいるのを見ますが、台北店は空いていて、さくっと入ることができます。やった…!
氷はふわふわ、マンゴーはつやつや。甘くてひと口目から幸せになれますが、途中多すぎて笑いが止まらなくなるほどとにかくボリュームが半端ないレベル。無事完食しましたが、武嶺と同じくらいハードでスペクタクルなスイーツでした。
ARES TAIWAN
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今回の旅でとてもお世話になった、台北の空港からとても近いショップ“ARES TAIWAN(アレス台湾)”。
武嶺で(ちょっとだけ)一緒に走ったBette氏がこのお店の店長。
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自転車ショップらしい、バーテープが巻かれたドアの取っ手。まれに見るグリップ力の高いドアノブでした。
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WilierとCinelliのフレームをラインナップ。広い店内スペースで、ものすごく目の保養になります。
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キャップやサドルを壁に並べる陳列は、買い物が楽しくなるレイアウト。
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ウェアはCafé du Cycliste、DOTOUTのほか、ウィメンズブランドのMachines for Freedom(MFF)を積極的に売り出しています。
MFFのウェアは初めて実物を見ましたがすごく良いつくり。デザインも可愛くて、ついボトルを衝動買いしました。
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ARESは代理店業も務めているため地下に倉庫もありますが、KASKの在庫量がすごい…!
*
台湾のショップで取り扱うメーカーはGIANTとMERIDAだらけ、というわけではなく、(今回の訪問は敢えてそういうショップを外しているのもありますが)日本と同様にこだわりの強いショップはそれぞれが扱いたいブランドを仕入れて独自の店構えで展開しています。
ウェアに関しても日本のショップによく置いてあるブランドは少量で、LOVE CYCLISTで紹介しているような海外ブランドをさくっと置いてあってショッピングがとても楽しい。
そして台湾の方もRaphaが好き。チームジャージ以外では、Rapha、MAAP、Café du Cyclisteあたりがやはりメジャーどころでした。世代問わず全体的なファッション感度は高い印象。
台湾グルメ③ 台北魚市のお刺身
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松山飛行場の近くにある台北フィッシュマーケット。その中にある雰囲気の良いレストランで、台湾の方と一緒に海鮮のコース&お酒をいただきます。
魚市直結だけあって魚介がとても新鮮。刺身は肉厚で甘みがあってぷりっぷりの弾力。牡蠣もちゅるっと一口で濃厚なミルク感を味わえます。
ちなみに台湾では「乾杯」と言うと全部飲み干すのがマナーでした(お酒苦手なのでなるべく言わないようにしました、、)。
2. 都市部のサイクリング事情
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台北市内には4つの河をつなぐ全長111kmの環状サイクリングロードがあります。晴天に恵まれた中を、自転車がひっきりなしに往来していました。
荒川CRのようにずっと平坦なので、まだロードを始めたばかりや、ゆったりサイクリングを楽しみたいサイクリストに最適。だんだんハマってトレーニング志向になると、ここでは満足できず郊外の山々に繰り出すそう。
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サイクリングロード以外の街中の道路は、原付バイクのプロトンがスプリントレースを繰り広げる文化なので、快適に走ることは難しく(日本の都市部よりも恐い)、街中のロードバイク乗りは東京よりもかなり少なめ。
もともと台湾の自転車産業は外需で発展したというのも、こういう点から理解できます。
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街にはシェアサイクルが一般化していて、GIANT製のバイクが至るところに設置されています。
このシェアサイクルを使って武嶺を登頂して話題になった強者がいるそうですが、自転車が痛むのでGIANTからかなり怒られたとのこと。。
やはり台湾の人たちはまずGIANTに触れる機会が多く、最初の1台はコスパの良いGIANTを買う傾向があります。ただ2台目となると、ほかのブランドに移るのが常。自分のカラーを出したいロードバイクでは、自国ブランドではなく好きなデザインのブランドを選択するのはどこも同じ感覚のようです。
実際街中の自転車はGIANTロゴが入ったものをよく見かけましたが、武嶺でGIANTに乗っているサイクリストはごく少数でした。
台湾グルメ④ 釣ったエビ
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台北の夜遊びはエビ釣り。
直前の飲み会で台湾の酒豪に早々に酔いつぶされた勇敢な仲間ひとりをホテルに送り届け(ごめんなさいw)、2時間近くひたすらエビを釣っていました。みんなで釣ったエビはその場で塩焼きにしてくれて、皮をむいていただきます。
すでにお腹いっぱいでしたが、塩だけの素朴な味と弾力のある触感が食欲を呼び起こし、真夜中に完食。ごちそうさまでした。
3. 旅は“X70”と一緒に。
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半年前からライド用カメラとして導入しているFUJIFILMのX70。今回もライド中はもちろん、観光中も常に肌身離さず、そのとき大事な瞬間を忘れないように切り取ってきました。
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ジャージのバックポケットや、アウターのポッケからさっと取り出し、液晶を見ながらアナログ操作で写りを微調整してその瞬間を写す。この一連の流れがとてもスムーズに直感的にできることがとても気に入っています。
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単焦点レンズのX70は見たままを枠内に収めることができるので、歪みなくすっと目の前の画面が写真として残ります。
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いい画を求めてカメラを持ち歩くのではなく、「いいと感じた体験を記憶に焼き付けるためにカメラで瞬時に切り取る」イメージ。
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フルサイズの一眼には劣りますが、APS-Cセンサーが搭載された軽いボディは、どんな環境下でも上質な写りになるすごくいいバランス。軽い&小さいはジャスティス。
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X70は、サイクリング含めた日常を「自分の目線」で写し取るための、僕にとって最高のパートナー。
>> FUJIFILM X70(Amazon)
台湾グルメ⑤ Cho caféのハンドドリップコーヒー
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多分あると思って探したらちゃんとあった、サードウェーブ系コーヒー店。
台北中心部の西門駅近くにある「Cho café」では豆と抽出方法を自由に選ぶことができます。香りと酸味のバランスが良いエチオピアの中煎り豆を選択し、プアオーバーで抽出してもらいました。
5分ほど待って受け取ったコーヒー一式は、氷入りのグラスと何も入っていないグラスがあって、アイスとホット両方を楽しめる素敵過ぎる仕様。
鼻に抜けていくフルーティな香りと程よい酸味を味わいながら、弾丸ツアーの合間のほっと幸せなひとときになりました。
多様性を知る旅
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海外へ行く目的のひとつに、価値観の多様性を知るということがあります。
他国の価値観や文化を知ることで、自分を取り巻いていた価値を相対的に評価でき、今まで内側で固まっていた考え方を柔らかく見直すきっかけにできます。
今回の旅は武嶺ライドを中心に、サイクリングそのものが与えてくれる本質的な喜びを再び蘇らせてくれました。そして一緒に走る仲間の存在の大きさも。これまでより更に走ることが好きになりました。
海外旅行自体、普通に暮らしていると限られた回数しか行けないものですが、さらに海外を走る経験はうまくタイミングが巡ってこなければにできないもの。
改めて企画してくれたPUNTO ROSSO TOKYOの方々に感謝いたします。この先ずっとずっと心に残る、素晴らしい旅路でした。
台湾グルメ⑥ 鼎泰豊の小籠包
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日本でも有名店の「鼎泰豊(ディンタイフォン)」。台北市内に5店舗あり、その中でSOGOの地下にある復興店へ。
相変わらず本場の小籠包は絶品。もちもちした皮を噛んだ瞬間に肉汁がじゅわっと口に広がる旨味は本当に幸せになれました。。
帰国してから早速近くの鼎泰豊へ行き、また幸せになれました。。