
今回で10回目を迎える年末恒例企画。自転車歴が何年になろうが、新しいプロダクトはいつも次のライドをワクワクさせてくれるもの。
今年もライド環境を最適化するために導入したプロダクトから、3カテゴリ/10アイテムを厳選して紹介する。
text & photo / Tats(@tats_lovecyclist)
Contents
自転車機材・アイテム
ハンドルバー :Polymer Workshop 『Sculpture Handlebar』(¥135,300)

ロードバイクのコックピットをデンマークの新興ブランド『Polymer Workshop』の一体型ハンドルに換装した。これは替えて大正解だった。
身長177cmでハンドル幅は360mmは狭いかもと思ったが、実際に使ってみると身体に馴染むし、バイクコントロールもしやすい。よりアグレッシブにダイレクトに自転車とつながる感覚を得られることで、ライドそのものがずっと楽しくなった。仲間に試してもらっても「これいい!!(でも高い)」という反応をもらう。
コックピットにおける既成概念を覆すプロダクトに興味があればぜひ試してみてほしい。
Polymer Workshopハンドルバー(MAGNET)
GPSサイコン:Wahoo『ELEMNT ACE』(¥99,000)

誰もが「でか!」というGPSサイコン。そのでかさが強みであり、バッテリー持続30時間の安心感、ディスプレイ視認性の高さ、そしてナビゲーションの使いやすさのおかげで、ライドパートナーとして超優秀。
新機能Googleマップ連携も素晴らしい(レビュー記事参照)。発売当初は酷評されたが、未完成だった部分はアップデートでほぼ対応されている。Wahoo未体験の方は、『BOLT 3』や『ROAM 3』も非常に使いやすいので一度試してみてほしいと思う。
サドル:S-Works『Power EVO with Mirror』(¥69,300)

もやは説明は要らない定番サドルのPowerシリーズだが、その完成形とも言える『Power with Mirror』が、別の方向性に進化したのが『Power EVO with Mirror』だ。無印Mirrorがひとつのポジションでしっかり支えるのに対し、EVO Mirrorはポジションの変化を許容する。
この新しい性格が今のバイクのセットアップと相性良く、状況に合わせたポジション変更を以前よりも頻繁にできるようになっている。高価だけれど、所有する満足度は最高レベルだった。
S-Works Power EVO with Mirror(公式サイト)
ウェア・小物
シューズ洗濯ネット『ズックリーンネット』(¥3,740)

これも本当に買ってよかった。シューズを洗濯機で洗うという発想がこれまでなかったが、導入してみると、これこそ“タイパ&コスパ最強”と言わざるを得ない。
使い方は、シューズをブラッシングしたあと「ズックリーンネット」に入れて、通常の洗濯コースにかけるだけ。洗剤はいつもの衣類洗剤でOK。洗濯機だと脱水までやってくれるので、手洗いよりも乾くのが早い(くつ乾燥機にかければ20分で乾く)。
白いシューズがいつも綺麗な状態で履けるのが素晴らしい。毎回汚れる子どもの靴にも使えるので、家事の負荷まで減っている。全家庭持ちサイクリストに全力でおすすめしたい。
MAAP / Pas Normal Studios / hypersupp.各ウェア

10選のひとつにまとめているが、おそらく1年で一番購入点数も出費も多かったウェア類。
デザイン、機能、スタイルの先進性において現在のトレンドセッターは『MAAP』と『PNS』の2ブランドだが、結果的に手に取るウェアもこの2ブランドが中心になった(値上がりで必要以上に所有ブランドを広げるのは割に合わないというのも大きい)。
『hypersupp.』は新興ブランドの中で最も着てみたいと感じられたもので、SSからAWにかけて1年でひと通り揃えた。MAAPやPNSの影響は色濃いが、今後伸びしろが大きいと感じている。
おたふく手袋『ウィンドスマッシュ 3』(¥2,700)

おたふく手袋の製品を着ることには正直抵抗があった(この感覚わかる人はわかるはず)。ただ年々寒さ耐性が落ちてくる中、ライド中に震えていたときに、仲間から「おたふく着れば」と背中を押された。外から見えない部分だし、背に腹は代えられない。
この製品の優れたところは防風素材であること。いくら防風ジャケットで寒さを凌いでいるとは言え、隙間から入り込む冷気を完全にシャットアウトできない。ベースレイヤーでも防風しておくと、冬の寒気がさらに伝わりにくくなるので、冬ライドに強くなれる。汗冷えもしないので、この価格で得られる満足度はものすごく高かった。ブランド名が首元に書かれていないのも良い。
Rapha『Exploreトップチューブバッグ』(¥8,300)

Polymerのハンドルバーにしてから、ハンドルバーバッグが外観上合わないため使わなくなった。とはいえ、バッグが必要なライドのために、形状のシンプルなRaphaのトップチューブバッグを購入した。
取り付け位置は公式とは異なるが、写真のようにフレーム三角の中に付けることが多い。ここだとペダリングに一切干渉しない(トップチューブに取り付けるとどうしても内ももがこすれる)。
特にGR IIIxやInsta360などカメラ系のアイテムを入れるときに活躍している。
Rapha Exploreトップチューブバッグ(公式サイト)
uvexヘルメット『surge aero MIPS(¥44,000)』+アイウェア『pace stage CV(¥19,800)』

uvexはこれまでの自転車歴で一番フィットしたヘルメットだった。完全なユーロフィットなので合う日本のサイクリストは少ないかもしれないが、GIROやSweet Protectionが入るなら合うと思う。
ヘルメット『surge』は被り心地だけでなくデザインも素晴らしい。今っぽいエアロ形状のなか、どの角度から見ても無駄がなく、スタイルとしての完成度が高い。
アイウェア『pace stage CV』はsurgeヘルメットとの相性が良く、視界もクセがなくて使いやすい(このブランドは製品名がわかりづらいのが唯一難点だと思う)。
これまでKASKやPOCを愛用してきたが、uvexのフィット感を知った今年は、この2点ばかり着用していた。
THREE エッセンシャルセンツ R & ZARA ELEGANTLY TOKIO BRUSH-ON

冬ライドはフレグランスを少しだけつけて走る。夏のように汗と混ざることがないし、厳しい寒さの中でもふわっといい香りがあると心地良い。
THREEの『エッセンシャルセンツ R(¥5,940)』は全8種の中で「00 WRITTEN IN STONE」を使用。柑橘系のシャープな爽やかさに、ウッディで落ち着いた深みが残って、軽やかさと渋さがバランスされたクリーンな香り。
ZARAの『ELEGANTLY TOKYO(¥2,190)』はウッディフローラルの香りが大人っぽい。ブラシで塗るタイプなので出先でも付け直しやすく、漏れないつくりでバックポケットにちょうど良い。値段も手頃なので気兼ねなく使える。
カメラ
RICOH『GR IIIx』(¥139,800)

長年ライドにミラーレス機を携行するスタイルを続けてきたが、正直なところ、その重さと仰々しさに疲れ気味だったのも事実だ。そんな撮影における“消耗“から解放してくれたのが『GR IIIx』。
細かい使い勝手はレビュー記事に書いたが、GR IIIxを買ってよかったことのひとつに、「撮影スキルがさらに上達した」というのがある。40mm固定で画角の制約はあるが、NDフィルターが内蔵されていて、コンパクトで手軽に撮れるので、表現自体の幅は非常に広い。絞りやシャッタスピードを調整して実験的な表現を試行錯誤することで、撮影に対する感覚がより鋭くなり、ミラーレスでの撮影にも活きている。
GRは 1台目に難しいカメラだと個人的に思うが、2台を使い分けることでGRならではの扱い方を引き出せるようになる人は多いのではと思う。
著者情報
![]() |
Tats Shimizu(@tats_lovecyclist) 編集長&フォトグラファー。スポーツバイク歴12年。海外ブランドと幅広い交友関係を持ち、メディアを通じてさまざまなスタイルの提案を行っている。同時にフォトグラファーとして国内外の自転車ブランドの撮影を多数手掛ける。メインバイクはStandert(ロード)とFactor(グラベル)。 |
関連記事























