自転車趣味を10年以上続けていても飽きる気配がないのは、ひとつに自転車が機材スポーツだからだと感じる。年々進化するギアの新しい使い勝手を楽しめるのはスポーツバイクならでは。
今年もライド環境を最適化するために導入したプロダクトから、3カテゴリ/10アイテムを厳選して紹介する。
text / Tats(@tats_lovecyclist)
Contents
自転車機材・アイテム
ロードバイク:Standert Kreissäge RS
ロードを4年ぶりに乗り換えて、Factor O2からStandertの『Kreissäge RS(クライスゼーゲRS)』になった。今年3月に注文していたが、昨今のさまざまな事情により11月にやっと乗れることに(細かく丁寧に対応してくれたメカニックのYukihiroに感謝)。
これまではロード→Factor O2、グラベル→Factor LSの2台体制で、同じFactor同士乗り味が重複する部分があってO2の出番が少なくなっていたが、スカンジウム素材でつくられたStandertのそれはまったく別物。乗り心地はこの上なくオリジナルで楽しさに溢れる。
ただ希望のパーツがすべて入荷しきっていないため、現在は一部代替パーツを使用している状態。そのため詳細なレビューは後日したいと思う。
ローター:Galfer Disc Wave Rotor(¥9,100)
形状に一目惚れして使うようになったGalferの『Disc Wave Rotor』。
もともとグラベルにシマノの純正ローターを使っていたが、放熱フィンの存在があまりスマートではないと感じていた。Galferはステンレス鋼をレーザーカットで削り出したもので、160mmで98gと軽く、歪みが発生しない(おそらくシマノより頑丈)。
制動性が高いだけでなく、脚回りの抜け感も出るので、気に入ってロード/グラベル2台ともGalferにしている。価格も他メーカーよりこなれているのが良い。かなりおすすめ。
電動ポンプ:CYCPLUS AS2 PRO(¥16,940)
電動ポンプは、CO2ボンベや携帯ポンプを上回る利便性で、グループライドすると大体誰かが持っているくらい広く浸透するようになった。特に今年大ヒットしたのが『CYCPLUS(サイクプラス)AS2 Pro』。
電動ポンプカテゴリには新興メーカーが次々と参入しているものの、使い比べてみるとCYCPLUSの安定性や使い勝手が一段上回っている。
AS2 Proは空気圧指定できるので、フロアポンプ代わりにもなる。普段の空気入れもラクになって、もうこれがない時代には戻りたくない。
ペダルレンチ:equipt キューカンバー(¥11,500)
ロードにもSPD系ペダルを付けるようになり、ロード/グラベル2台体制だとライドのたびにペダルをいじることが多い。だからできるだけ付け外しの手間は減らしたい。
通称“きゅうり”のペダルレンチ『キューカンバー』は、サーディンでも便利だった早回しができる。ボディ部分が握りやすいのでトルクもかけやすく、普通のペダルレンチよりも作業時間が短縮できる。質感が高いので、どこに置いておいても目を引くのも良い。2台体制のユーザーにおすすめ。
↓仲間のRyosukeがレビューしているが、個人的にも同じ感想を抱いている
ウェア・小物
アイウェア:Altalist KISOU PXC(¥9,350)
新興ブランドにも拘らず、2024年の国内販売本数No.1となったAltalist。モデルとカラバリの多様性から、自分に合うモデルが見つかりやすい。
個人的に最も顔立ちに合うと感じているのは『KISOU PXC』。中でも11月に発売された新色「クリスタルスモーク/ゴールドミラー調光」は高級感も加わり、1万円を切るプロダクトには見えない。
アイウェアは着け外しして落としてしまうことも多々あるので、この価格だと心理的ダメージが少ないのも良い。雑に扱っても、なくしたとしても買い直せる価格なので、レース勢、ブルベ勢などさまざまなクラスタから人気を集めていると聞く。今後の新モデルも楽しみ。
アイウェア:AlbaOptics ANVMA Lei(¥22,000)
AlbaOpticsのポップアップで試着して気に入ったモデル『アヌマレイ』。Albaらしい質感の高さとVZUMレンズのクリア感が良く、私服での外出やドライブサングラスとして年中使うようになった。角度によっては光の映り込みが少し気になるので、ライドで使う場合は短めの距離のみ。
こういったカジュアル系のサングラスは汎用性が高いので、いくつあっても良い。
AlbaOptics アヌマレイ(TOKYO WHEELS)
たまたまアヌマレイとスカーフが被ってコンビ芸人になったケース
シューズ:Fizik Tempo Beat(¥29,500)
ロードバイクにSPD系ペダルは選択肢のひとつとして定着したが、それはデザイン性の高いSPDシューズが2024年に多数発売されたことが後押しになっていると思う。
個人的にも2年前から白いSPD系シューズが欲しいと思っていて、やっと今年になって白シューズ発売の波が訪れた。中でも『Fizik Tempo Beat』はロードもグラベルも街乗りも楽しむというコンセプトで、自分のスタイルに最適だった。
履き心地とデザインが最高。アウトソールは柔らかいが、Solestarインソールを入れればちゃんと踏めるシューズになる。
カメラ機材
コンデジ:iPhone16 Pro 256GB(¥174,800)
“カメラはiPhoneで充分”と言われることはあるが、個人的には充分ではない。センサーサイズが小さく、基本的にマニュアル撮影もできないので、ミラーレスの代替にはなりえないし、今の進化の流れを見る限り、今後スマホのカメラがミラーレスの描写を超えることはない。
iPhoneカメラの強みは「手軽さ」に尽きる。撮影機材を別に持ち運ぶ必要がないから、ライドの純粋な楽しみを奪わない。
これまではコンデジが手軽さの役割を担っていたが、16 Proの撮影体験はコンデジを置き換えることができる(特に動画はLog撮影できるiPhoneが圧倒的に強い)。
一部表現の制約はあるものの、それを技術やアイデアでいかに広げていくかを考えるのがiPhone撮影の楽しみでもある。
レンズ:TAMRON 17-70mm F2.8 Di III-A VC RXD(¥93,500)
FUJIFILM X-T5用に今年後半に導入したレンズ。
これまで一番使用頻度の高いレンズは『Sigma 18-50mm F2.8 DC DN』だった。仕事では2本以上レンズを持ち運ぶので必要な画角は用意できるが、普段のライドでSigma1本で使うときには望遠側が足りなくてもどかしいシーンがあった。
もう少し守備範囲の広いレンズがあると便利だなと思い、『TAMRON 17-70mm F2.8』を導入。純正レンズでXF16-80mmという近い画角のものがあるが、F4通しで少し暗い。対してTAMRONはF2.8通しでフルサイズ換算25-105mmをカバーできる。
実際使ってみると、AF速い/純正より軽い(525g)/描写にクセがない、と使い勝手が良く、普段使いの主力レンズになった。
昨今はサードパーティのズームレンズが優秀で、純正の単焦点レンズを使う機会が減っている。
カメラ:Insta360 X4(¥79,800)
Instagramはリール優遇のアルゴリズムになっているので、昨今はリールを投稿しないとリーチしづらくなっている。動画は撮るのも編集するのも工数がかかるので大変な時代になったと思う。
ライド用動画の主力機材は、iPhoneとInsta360の2つ。Insta360はこれまでX3とONE RS(1インチ)の2台を使ってきたが、X4は8Kになって編集の自由度が大幅に上がった。
Insta360のレンズは超広角なので、通常の倍率で書き出すと自転車やサイクリストが歪んでしまう。これが映像としてものすごく気持ち悪さを感じる要因になる。
8Kの良いところは、拡大して書き出しても粗が目立たない点で、人間の視界に近い自然な画角でも映像をつくることができる。
iPhoneのLog撮影もそうだが、Insta360も8K撮影で動画制作が一段階便利になった。
今年レビューしたその他のアイテム
※iRC JETTY PLUSは2024年にラブサイ経由で最も売れたアイテムだった
著者情報
Tats Shimizu(@tats_lovecyclist) 編集長&フォトグラファー。スポーツバイク歴11年。ロードバイクを中心としたスポーツバイク業界を、マーケティング視点を絡めながら紐解くことを好む。同時に海外ブランドと幅広い交友関係を持ち、メディアを通じてさまざまなスタイルの提案を行っている。メインバイクはStandert(ロード)とFactor(グラベル)。 |